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55.移動手段

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魔法が進化するにつれて機械への文明が衰える今の世界。移動するなら高速移動の方が断然早い。もし学校行事なら遅くてもバスなどの乗り物を使ってみんなで移動するが今から向かうところは競技会。

学校の代表として行くのだ。

会場が遠いと行っても1日かかる。それは高速移動するには遠いという意味だ。どうして3日前に出発するのか、それは一年生のクラスで高速移動が苦手な子のために余裕を持った予定。

競技場はサドワール学園のために作られたと言っても過言ではない。競技場は3校のちょうど真ん中にある。

3日前から好きな時に競技場へ向かっていいことになっており、移動手段は自由。だが、これは実質強制。不得意な人でも長年やり続けている暗黙の了解。

先輩方の中にはクラス対戦だけ唯一出場できたがこの移動がなによりも地獄だったという生徒は少なくない。

事前に高速移動で行くと伝えられていたが回復班のシノたちは試合に勝つための練習をしなければならない。移動手段の高速移動など練習している暇がないのだ。

だがら着く前にヘトヘトになり魔法力が尽きてしまっては試合2日前の練習ができるのかもわからない。それ以前に到着できるかもわからないのだ。

だから3年生と一緒に動く。高速移動が苦手なものは3年生に引っ張ってもらうなどしてできる限り早く到着することを目指す。

会長「そろそろ出発します。体調や気分が優れない人はすぐに声をかけ、無理しない程度で安全に会場へ向かいます!」

「はい!!」と大きな声で返事をして出発した。

リンはこの移動方法を聞いた時に何か出来ないかと思いひっそりと練習していたことがある。そしてそれを実行する許可もあらかじめ会長にとっている。

リン「じゃカナちょっと先行ってくるよ」

カナはシノとミュールの手を握り引っ張りながら「気をつけてね!」と返事した。

2時間後会長は後1時間ぐらいで休憩にしようかなと考えていたところに前から誰か走ってくるのが見えた。その人物は高速移動で帰ってくるリンだった。

会長の所に戻ってきたリンはUターンをし、先頭で会長と走る。

会長「まさか、もう行って帰ってきたの?!」

リン「あ、はい。」

会長「嘘でしょ…。私でも半日は絶対かかる距離なのよ?!そして帰ってきたってことはもう言ってたあれをするつもり?」

リン「そのために帰ってきました。ちょっと試してきます。」

とリンはカナたちのいる後方へと下がっていった。

カナもあまりの速さに驚く。

カナ「ちょっと待っていくらなんでも速すぎない?!」

リン「私は透視能力もあるからね…。じゃ2人を連れていってみるよ」

そう言いながら立ち止まりカナが引っ張っていたシノとミュールの手を握って「行ってくるね」の一言でカナの目の前から3人が消えた。
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