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81.学園長の正体

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魔物が現れてくる入口が大きくなり、複数の悪魔が現れた。

リンたちのいる会場だけでも3人確認ができ、ほかの会場でも悪魔が出現しているとすれば全員の命が危ない。指示を待つにしても指示するにしても待ってくれる時間などなかった。

すると目印のように火柱が見えた。リンは誰かまた呼んでいる?と思い、様子だけ見てくるとカナたちに伝え見に行くと気品のある60歳ぐらいの女性が立っていた。

リン「逃げ遅れた方ですか?!」

女性「あなたを呼んでいるとよくわかりましたね。ここでは自分の直感で動きなさい。今からいう言葉をこの会場だけ、そうね。さっきの条件に10キロ以内と限定して伝えてください。」

リン「貴方は…?」

女性「私はセイル・マトローナ。サドワール学園の学園長です。この情報と共に観客の避難は終わったと伝えて頂戴。」

謎だらけだった学園長が貴族だと驚く暇もないリンは何も言わずに頷きみんなに伝えた。

リン『観客の避難は学園長セイル・マトローナ様の指示のもと無事完了いたしましたことをご報告します。』

学園長が貴族の統率者だとこの状態で伝えられ信用できる情報かはわからないがそれが本当なら安心だと喜んでいる生徒の近くで爆発が起こる。

魔獣や魔人と戦ったことがあったとしても悪魔と戦った人は少ない。人間と同じぐらいの知能を持つ悪魔は人に恐怖を植え付ける。赤い目と目が合ったが最後気の弱い人間はその目に取りつかれたように悪夢に襲われるという。

悪魔たちは会場の破壊をしだした。更地にするように破壊していく。そしてあっという間に違う会場で戦っていた生徒が見えるほどになった。

その間にこちらに向かっていた魔法士が見えてきて生徒たちの役目は終わったはずだった。魔法士が確認できた瞬間にリンのテレパシーが頭の中に響く。

リン『実践経験をしたことにない1年生及び自信のない生徒は直ちに撤退。戦う意思があるものはレイル先生の指示のもと動いてください。』

少し実戦経験をしたことがある2年生も怖いものは怖い。それが惨めだと逃げたなどこの状況では何も言われない。逃げるを選択する生徒は多かった。中途半端な覚悟や実力では魔法士の邪魔になると考えた生徒もいる。

リンは今重要な伝え役としてこの場に残るように指示されそれを受け入れた。

生徒と魔法士が交代すると思われた瞬間に衝撃の事実が発覚する。

それは会場の周りを見えない何かで包囲されており完全なる隔離が発生していた。魔法士たちは何とか中に入るべく努力するが歯が立たない。やっとここから逃げれると思っていた生徒は不安のあまり泣き出す始末。リンたちのクラスもバラバラでシノが今どういう状態なのかもリンたちは知る方法がなかった。
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