3 / 4
マナ1
しおりを挟む
「こんにちわぁ。昨日、隣の402号室に引っ越して来たサワイですっ!」
起きて早々、甘ったるい女の声が頭の中に響いた。
すぐ近くのデパートで買ったであろう見覚えのあるお菓子を持ち、女が玄関前に立っていた。
隣には、背の高い痩せ型の男。男は、女に合わせるようにはにかんでこちらを見てきた。
おいおい。こういう時は男がハキハキと挨拶するもんだろうが。
マナは少し呆れながらも
「ありがとうございます。困ったことがあったら聞いてくださいね」
と愛想の良い声色で返事をした。
大学を卒業し真面目に働いてきたマナだったが、ほんの暇つぶしのつもりで登録した婚活サイトで知り合った医者の男性とトントン拍子で婚約まで話が進んだ。
男の家は曾祖父の世代から続く医者一家で、妻となる女性には専業主婦を担ってもらいたいという義両親の願いがあったため、仕事は好きだったが寿退社という形で約7年務めた会社を退職した。
両家の挨拶も済ませ、いよいよ入籍寸前、という所で婚約者の男の浮気が発覚。
なんと浮気相手は婚約者との子供を身ごもってしまっていた。
そんな男を許せるはずもなく、婚約は破談。男は地元で名の知れた医者一家だったらしく、口止め料と慰謝料で相当の金額を手にしたマナは、決して安くはない今のマンションで、週3日のアルバイトをしながら傷心の日々を送っている。またしっかり働きキャリアウーマンとして返り咲きたいが、10年は働かなくてもいい程の貯金があるため、就活サイトを斜め読みしながら1歩踏み出せない暮らしが続いている。
起きて早々、甘ったるい女の声が頭の中に響いた。
すぐ近くのデパートで買ったであろう見覚えのあるお菓子を持ち、女が玄関前に立っていた。
隣には、背の高い痩せ型の男。男は、女に合わせるようにはにかんでこちらを見てきた。
おいおい。こういう時は男がハキハキと挨拶するもんだろうが。
マナは少し呆れながらも
「ありがとうございます。困ったことがあったら聞いてくださいね」
と愛想の良い声色で返事をした。
大学を卒業し真面目に働いてきたマナだったが、ほんの暇つぶしのつもりで登録した婚活サイトで知り合った医者の男性とトントン拍子で婚約まで話が進んだ。
男の家は曾祖父の世代から続く医者一家で、妻となる女性には専業主婦を担ってもらいたいという義両親の願いがあったため、仕事は好きだったが寿退社という形で約7年務めた会社を退職した。
両家の挨拶も済ませ、いよいよ入籍寸前、という所で婚約者の男の浮気が発覚。
なんと浮気相手は婚約者との子供を身ごもってしまっていた。
そんな男を許せるはずもなく、婚約は破談。男は地元で名の知れた医者一家だったらしく、口止め料と慰謝料で相当の金額を手にしたマナは、決して安くはない今のマンションで、週3日のアルバイトをしながら傷心の日々を送っている。またしっかり働きキャリアウーマンとして返り咲きたいが、10年は働かなくてもいい程の貯金があるため、就活サイトを斜め読みしながら1歩踏み出せない暮らしが続いている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる