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立派な魔法使いへ
因縁の決着
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クライトンの攻撃を避けていると、師匠が肩に乗ってきた。
「師匠、あれの応用ってどうするの?」
「私の中の知識を水琴に読み込んで貰うのよ。それで、魔力を吸収する方法を覚えて貰うわ。そもそも魔力を吸収する魔法自体が危険なものだから、あまり奨めたくはないのだけどね」
「あっ……だから、応用って事ね」
私と師匠が開発していた魔法は、知識を収集して保存し、いつでも閲覧出来るというもの。インターネットみたいなものを魔法や魔術で作れないかと模索して辿り着いた答えだけど、結局人に知識の提供をお願いしないといけないから難しい部分もあり、結構難航しているものだ。
これを応用して、師匠の知識を私の中に入れるという事をするらしい。魔法としては、まだ組み上がっていないので、イメージも何も出来ないのだけど、一体どうやってやるのだろうか。
「魔術に落とし込んだわ。少し頭が痛くなるかもしれないけれど、我慢しなさい」
師匠が私の頭に魔法陣が描かれた紙をぺたりと押し付ける。すると、一気に魔力を吸収する方法が頭の中に入ってきた。そして、本当に頭痛が襲い掛かってくる。一瞬だけ頭をハンマーで殴られたかのような痛みが走るけど、何とか我慢出来た。
ただ、そのせいでクライトンの手を避けるのが一瞬遅れる。それを見越していたかのように、冷音さんが腕に攻撃をして、手の軌道を変えてくれた。おかげで命拾いする。
「痛過ぎ!! これ滅茶苦茶危なかったんじゃないの!?」
「そのためにビビに備えて貰っていたのよ。それより、ちゃんと頭に入ったかしら?」
「そっちなくて……まぁ、いいや。ちゃんと頭に入ってるよ。でも、魔法っていうよりも、技術みたいな感じがするけど」
師匠から貰った知識は、ある程度時間が経っても頭に残り続けている。自分の知識として根付いているようだ。ある意味では、これも凄い魔法かもしれない。頭痛がするのは、ちょっと危ない気もするけど。
「本質的には、そっちになるかもしれないわね。これを知っている魔法使いは、私達みたいに古い時代から転生している魔法使いだけよ」
「他人の魔力が中に入るのは危険だから規制されていたって事でしょ?」
「そういう事。魔力受容体質の水琴には、あまり関係ないけれど、もしもの事があるから心配なのよね。そもそも本当にヤツデの魔力を吸収して融合できるかどうかも分からないもの」
「でも、これが最良の方法なんでしょ?」
あの作戦会議の中で、最終的に賛成していたから、師匠としても他に案が思い浮かばなかったという事が考えられる。
「現状ではね。私は、魔力の回復に専念するわ。水琴は逃げ続けなさい。タイミングの指示は出すから」
「うん」
師匠が私から飛び降りて、少し離れた場所に移動する。人に変身しすぎたから、準備が整うまでに、少しでも魔力を回復させておくみたい。私は、体力は勿論だけど、魔力の方もまだ余裕がある。魔力の融合で、魔力総量が増えたみたいだけど、思っていたよりも跳ね上がっていたみたい。
そのまま十分くらい逃げながらクライトンを魔力弾で攻撃していると、師匠からの念話が飛んで来た。
『ジルと恵の準備が出来たわ。ビビとミアが援護をするから、腕が無くなったタイミングを狙いなさい』
返事は出来ないので、ただ聞くだけだった。でも、私がやるべき事はちゃんと分かる。冷音さんと美玲さんが援護し、茜さんとめぐ姉が腕を封印するので、そのタイミングでクライトンの中にあるヤツデの魔力を引き抜く。正直ぶっつけ本番だから、かなり緊張するけどやるしかない。
私がクライトンの手を避ける。その直後、クライトンの足元の地面が割れ、急に膝を突いた。見た感じ、身体が重くて動かせないみたいだ。それでも、背中から生えている腕は違う。私の事を常に追ってきていた。
『水琴ちゃん! そのまま時計回りに回ってきて!』
茜さんから念話が届く。その指示に従って、クライトンを中心に時計回りに回っていった。私を追って手も伸びてくる。そうして私が走っていると、上から茜さんが、横からめぐ姉が出て来た。
「「【其方に永劫を刻もう】!」」
二人が声を揃えて詠唱すると、私を追っていた手が動きを止めた。そして、二人が持つ絵画に吸い込まれていく。
「ガがアア嗚呼アアああアアああああ嗚呼ああああ!!!」
クライトンが絶叫していた。それも当然だった。腕を引き千切られるような感じだろうから。
「水琴ちゃん! ゴー!」
茜さんがそう言ったのと同時に、クライトンに向かって走る。クライトンの背中から伸びていた腕は、どんどんと絵画の中に吸い込まれていき、クライトンの背中からも抜けてった。その背中に手で触れる。
「【吸魔】!」
クライトンの中から、ヤツデの魔力を吸収していく。ちょっと心配だったけど、ヤツデの魔力は次々に私の中に入っていき、私の魔力に融合していった。身体の中に一つの魔力しか感じないのが、その証明だ。
クライトンの中から、全てのヤツデの魔力を抜き取ると、クライトンは力なく横たえた。意識はあるみたいだけど、身体を動かす事は出来ないみたい。
「な、何が……」
「ヤツデの魔力に乗っ取られていたのよ。自分の中の魔力を探ってみなさい。ヤツデの魔力がなくなっているはずよ」
「な、何だと……」
クライトンは、懐疑的な目をしていたけど、すぐに目を見開く事になった。
「ど、どういう事だ……!?」
クライトンは身体を起こそうとしていたけど、力が入らないみたいで、全く動けていなかった。
「水琴に吸収して貰ったわ。ついでに言うと、水琴の中にヤツデの魔力はないから。全て水琴自身の魔力として融合したみたいだから」
「な、何……!? 融合だと……!? ありえん……俺でも、下準備なしに出来る事ではないんだぞ……!」
「そう。一つ訊くけれど、貴方の仲間は、今日攻めてきた人達だけかしら?」
「…………答えると……思うか……?」
「そう。なら……」
師匠は人に変身して、一枚の紙を取り出した。
「何だ……それは……?」
「貴方もよく知っているものでしょう?」
「まさか……!?」
「これ以上貴方が好き勝手に動く可能性は潰さないといけないの。安心しなさい。ちゃんと改良しておいたから」
そう言って、師匠が紙をクライトンの上に落とす。紙には魔法陣が刻まれていて、クライトンに触れると燃え上がった。それだけでは、何が起きたのか分からない。でも、二人の会話で考えれば、恐らく短命の呪いを掛けたのだと思う。目には目を歯には歯をって事かな。
「それじゃあ、もう二度と会わない事を祈るわ」
「や、止めっ……!」
最後まで言うことは叶わずに、クライトンの首が刎ねられた。師匠の復讐が叶ったという風に見るべきなのかな。でも、それにしては、師匠の表情も晴れ晴れとはしていなかった。
ちょっと重い空気が流れそうになった時、私の肩に後ろから誰かが手を置いた。首だけで後ろを見てみると、笑顔の茜さんが立っていた。
「茜さん?」
「取り敢えず、水琴ちゃんは検査ね」
「あ、はい……」
私の魔力が一つに融合しているという状況。それを精密検査出来るのは、茜さんだけだ。なので、ここでしっかりと検査を受けて、現状を把握するべきなのだと思う。
「そうね。周辺の警戒と後片付けはやっておくから、検査を受けてきなさい。正直なところ、もっと早く調べたい事でもあったのだから」
「は~い」
師匠からも言われるので、大人しく茜さんの検査を受ける。その間、めぐ姉は絵を燃やして、冷音さんと美玲さんがクライトンの死体の処理。師匠は周辺の警戒をしていた。幸いな事に検査を受けている間に、クライトンの仲間が襲ってくる事はなかった。
「師匠、あれの応用ってどうするの?」
「私の中の知識を水琴に読み込んで貰うのよ。それで、魔力を吸収する方法を覚えて貰うわ。そもそも魔力を吸収する魔法自体が危険なものだから、あまり奨めたくはないのだけどね」
「あっ……だから、応用って事ね」
私と師匠が開発していた魔法は、知識を収集して保存し、いつでも閲覧出来るというもの。インターネットみたいなものを魔法や魔術で作れないかと模索して辿り着いた答えだけど、結局人に知識の提供をお願いしないといけないから難しい部分もあり、結構難航しているものだ。
これを応用して、師匠の知識を私の中に入れるという事をするらしい。魔法としては、まだ組み上がっていないので、イメージも何も出来ないのだけど、一体どうやってやるのだろうか。
「魔術に落とし込んだわ。少し頭が痛くなるかもしれないけれど、我慢しなさい」
師匠が私の頭に魔法陣が描かれた紙をぺたりと押し付ける。すると、一気に魔力を吸収する方法が頭の中に入ってきた。そして、本当に頭痛が襲い掛かってくる。一瞬だけ頭をハンマーで殴られたかのような痛みが走るけど、何とか我慢出来た。
ただ、そのせいでクライトンの手を避けるのが一瞬遅れる。それを見越していたかのように、冷音さんが腕に攻撃をして、手の軌道を変えてくれた。おかげで命拾いする。
「痛過ぎ!! これ滅茶苦茶危なかったんじゃないの!?」
「そのためにビビに備えて貰っていたのよ。それより、ちゃんと頭に入ったかしら?」
「そっちなくて……まぁ、いいや。ちゃんと頭に入ってるよ。でも、魔法っていうよりも、技術みたいな感じがするけど」
師匠から貰った知識は、ある程度時間が経っても頭に残り続けている。自分の知識として根付いているようだ。ある意味では、これも凄い魔法かもしれない。頭痛がするのは、ちょっと危ない気もするけど。
「本質的には、そっちになるかもしれないわね。これを知っている魔法使いは、私達みたいに古い時代から転生している魔法使いだけよ」
「他人の魔力が中に入るのは危険だから規制されていたって事でしょ?」
「そういう事。魔力受容体質の水琴には、あまり関係ないけれど、もしもの事があるから心配なのよね。そもそも本当にヤツデの魔力を吸収して融合できるかどうかも分からないもの」
「でも、これが最良の方法なんでしょ?」
あの作戦会議の中で、最終的に賛成していたから、師匠としても他に案が思い浮かばなかったという事が考えられる。
「現状ではね。私は、魔力の回復に専念するわ。水琴は逃げ続けなさい。タイミングの指示は出すから」
「うん」
師匠が私から飛び降りて、少し離れた場所に移動する。人に変身しすぎたから、準備が整うまでに、少しでも魔力を回復させておくみたい。私は、体力は勿論だけど、魔力の方もまだ余裕がある。魔力の融合で、魔力総量が増えたみたいだけど、思っていたよりも跳ね上がっていたみたい。
そのまま十分くらい逃げながらクライトンを魔力弾で攻撃していると、師匠からの念話が飛んで来た。
『ジルと恵の準備が出来たわ。ビビとミアが援護をするから、腕が無くなったタイミングを狙いなさい』
返事は出来ないので、ただ聞くだけだった。でも、私がやるべき事はちゃんと分かる。冷音さんと美玲さんが援護し、茜さんとめぐ姉が腕を封印するので、そのタイミングでクライトンの中にあるヤツデの魔力を引き抜く。正直ぶっつけ本番だから、かなり緊張するけどやるしかない。
私がクライトンの手を避ける。その直後、クライトンの足元の地面が割れ、急に膝を突いた。見た感じ、身体が重くて動かせないみたいだ。それでも、背中から生えている腕は違う。私の事を常に追ってきていた。
『水琴ちゃん! そのまま時計回りに回ってきて!』
茜さんから念話が届く。その指示に従って、クライトンを中心に時計回りに回っていった。私を追って手も伸びてくる。そうして私が走っていると、上から茜さんが、横からめぐ姉が出て来た。
「「【其方に永劫を刻もう】!」」
二人が声を揃えて詠唱すると、私を追っていた手が動きを止めた。そして、二人が持つ絵画に吸い込まれていく。
「ガがアア嗚呼アアああアアああああ嗚呼ああああ!!!」
クライトンが絶叫していた。それも当然だった。腕を引き千切られるような感じだろうから。
「水琴ちゃん! ゴー!」
茜さんがそう言ったのと同時に、クライトンに向かって走る。クライトンの背中から伸びていた腕は、どんどんと絵画の中に吸い込まれていき、クライトンの背中からも抜けてった。その背中に手で触れる。
「【吸魔】!」
クライトンの中から、ヤツデの魔力を吸収していく。ちょっと心配だったけど、ヤツデの魔力は次々に私の中に入っていき、私の魔力に融合していった。身体の中に一つの魔力しか感じないのが、その証明だ。
クライトンの中から、全てのヤツデの魔力を抜き取ると、クライトンは力なく横たえた。意識はあるみたいだけど、身体を動かす事は出来ないみたい。
「な、何が……」
「ヤツデの魔力に乗っ取られていたのよ。自分の中の魔力を探ってみなさい。ヤツデの魔力がなくなっているはずよ」
「な、何だと……」
クライトンは、懐疑的な目をしていたけど、すぐに目を見開く事になった。
「ど、どういう事だ……!?」
クライトンは身体を起こそうとしていたけど、力が入らないみたいで、全く動けていなかった。
「水琴に吸収して貰ったわ。ついでに言うと、水琴の中にヤツデの魔力はないから。全て水琴自身の魔力として融合したみたいだから」
「な、何……!? 融合だと……!? ありえん……俺でも、下準備なしに出来る事ではないんだぞ……!」
「そう。一つ訊くけれど、貴方の仲間は、今日攻めてきた人達だけかしら?」
「…………答えると……思うか……?」
「そう。なら……」
師匠は人に変身して、一枚の紙を取り出した。
「何だ……それは……?」
「貴方もよく知っているものでしょう?」
「まさか……!?」
「これ以上貴方が好き勝手に動く可能性は潰さないといけないの。安心しなさい。ちゃんと改良しておいたから」
そう言って、師匠が紙をクライトンの上に落とす。紙には魔法陣が刻まれていて、クライトンに触れると燃え上がった。それだけでは、何が起きたのか分からない。でも、二人の会話で考えれば、恐らく短命の呪いを掛けたのだと思う。目には目を歯には歯をって事かな。
「それじゃあ、もう二度と会わない事を祈るわ」
「や、止めっ……!」
最後まで言うことは叶わずに、クライトンの首が刎ねられた。師匠の復讐が叶ったという風に見るべきなのかな。でも、それにしては、師匠の表情も晴れ晴れとはしていなかった。
ちょっと重い空気が流れそうになった時、私の肩に後ろから誰かが手を置いた。首だけで後ろを見てみると、笑顔の茜さんが立っていた。
「茜さん?」
「取り敢えず、水琴ちゃんは検査ね」
「あ、はい……」
私の魔力が一つに融合しているという状況。それを精密検査出来るのは、茜さんだけだ。なので、ここでしっかりと検査を受けて、現状を把握するべきなのだと思う。
「そうね。周辺の警戒と後片付けはやっておくから、検査を受けてきなさい。正直なところ、もっと早く調べたい事でもあったのだから」
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