吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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出会いを楽しむ吸血少女

半神半人

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 後は三人に任せるとして、他の英雄の方々とも話をしないと。移住希望なら家を用意しないといけないし。続いて来たのは、弓を背負った人だった。緑色の服を着ている。

「初めまして。私はロビン・フッド。御手の通り狩人だが、義賊でもある」
「義賊……貧しい人達のためにお金持ちから物を盗む人ですね」
「その通りです。あまり褒められた行為ではないですが、そうしなければ救わぬ人もいる。私にはその選択しかありませんでした。ここでは盗みを働くつもりはありません。エリュシオンでの日々に、少々退屈していたところです。私を配下に加えて欲しい」
「良いですけど、多分女性になりますよ?」
「構わない。あなたからは、そうしても良いだけの強さを感じる」
「分かりました。ここかもう一つの街で基本的に暮らして貰います。どちらが良いかはロビンさんが選んで下さい」
「感謝する」

 ロビンさんを受け入れると、それが契約となったようでロビンさんの身体が変化した。可愛い系女性になった。ロビンさんにも派遣で色々としてもらうかな。住む場所はロビンさん自身に決めて貰う。特にトラブルとかは持っていないみたいだから。
 続いて来たのは、筋骨隆々の人……いや、気配では神様だ。

「あなたは……英雄なんですか?」
「英雄であり神でもある。元々は半神半人で貴殿と似たようなものだ。本来であればオリュンポスにいるはずだったのだが、エリュシオンの中に送られてしまった。英雄としての側面が強かったのか、そこら辺の理由は分からんがな。俺はヘラクレス。父はゼウス、母はアルクメネーだ。よろしく頼む」
「あっ……なるほど。ハクです。よろしくお願いします」

 ヘラクレスさんと握手をする。母親がヘラさんじゃないという事はゼウスさんが浮気をした結果生まれた人なのだと分かる。

「ヘラ様とは和解しているから気を遣わなくとも問題はない」
「あっ、そうなんですね。それなら安心です」
「ああ。どうやらここにはヒュドラーやラードーンなどがいるらしいな」
「はい。住んでいますね」
「住む? ふむ……そうか。過去俺はヒュドラーやラードーンを殺した。ここでもそうしなければならないかと思ったが、そうではないらしいな」
「あっ、はい。そうですね。普通に住人としています。あの……もし良ければ仲直りしませんか? 色々と事情はあるでしょうし、一緒に住むのならある程度歩み寄って頂けると私は嬉しいです」
「ふむ……了解した。では、俺の祝福を授ける」

 ヘラクレスさんはそう言って本当に祝福を授けてくれた。

────────────────────

【英雄の神の祝福】:武器の扱いに大幅な補正が入る。全ステータスが大幅に上昇する。物理攻撃力が大幅に上昇する。控えでも効果を発揮する。

────────────────────

 ステータス強化系の祝福だ。純粋に使いやすく嬉しい。防具のステータス強化がなくなった分を補っても余りが出来るくらいには上昇していると思う。

「ここの上に神様の住宅街がありますので、そこをご利用下さい。普通の人達だと萎縮しちゃうと思いますが、ヘラクレスさんは神様なので」
「そうか。では、久々に父達に挨拶をするとしよう。これからよろしく頼む」
「はい。よろしくお願いします」

 ヘラクレスさんは私の頭を撫でると、そのまま神様住宅街へと向かって行った。ヘラクレスさんは神様だから、性別が変わるとかはない。
 ヘラクレスさんの後に来たのは、金髪の綺麗な女性だった。

「すまない。既に仕えようと決めていたためか、女性の身体になっていた。私はペルセウス。ヘラクレスの先祖であり、ゼウスの子だ」
「えっ……」

 つまりヘラクレスさんの兄であり、先祖という事になる。複雑だ。神様って本当に複雑な家系過ぎる。私の理解が及ばない。そもそもゼウスさんとヘラさんは姉弟だし。

「一応メデューサという怪物を討伐したという偉業を持っている」
「あ~……ここの住人ですね」
「む……そうなのか……復活していたのだな。それであれば、私は会わない方が良いかもしれないな」
「いえ、アテナさんに仲介して貰いましょう。絶対会わないという事は難しいと思いますので、アテナさ~ん」

 こっちから念話は送れないので、取り敢えず呼び掛けてみた。そうしたらすぐにアテナさんがやって来た。

「呼んだかしら? あら? ペルセウス? 久しぶりね。見ない間に女性になったみたいだけれど、この子に引っ張られたかしら?」

 アテナさんが来た瞬間、ペルセウスさん達が全員跪く。

「はっ。彼女に仕えるために来ました。そして、無礼ながらアテナ様にお頼みしたい事があります」
「何かしら?」

 どうやらペルセウスさん本人が交渉するらしい。神様に物怖じしないのは、アテナさんと知り合いだったからというのがあるのかな。いや、半神半人という事もあるのかもしれない。

「メデューサとの仲介をお願いしたいのです」

 ペルセウスさんがそう言うと、アテナさんが私を見る。なので、頷いておく。
 これは、この案は私発信のものであるかの確認とそれをして本当に大丈夫かの確認だ。これに対して頷いた事で、ここからはアテナさんが管理してくれという風にも伝えられる。これはアテナさんなら無事にやってくれるだろうと思ったからだ。

「分かったわ。じゃあ、連れて行くわね」
「はい。終わったら、下の二つの世界のどちらに住みたいかの確認を」
「分かったわ」

 アテナさんは私の頭を撫でると、ペルセウスさんを連れて行った。
 私がアテナさんと対等に話していたからか、他の人達の私を見る目が変わった。私は神様であるけど、同時に他の色々な存在でもある。それ故に神様である部分を強く感じにくいのかもしれない。その分化物感は強くなっているけどね。
 続いて来たのは、背の高い偉丈夫だった。私の前に来ると、すぐに跪く。

「俺はオリオン。狩人だ。俺も仕えさせて欲しい。この腕をあなたの役に立てよう」
「はい。お願いします」

 私に仕える事で女性になるという事を理解しての事だろう。態々確認しなくても既にそれを目撃しているから理解しているはずだと考えられた。
 オリオンさんはすぐに女性へと変化する背の高さは変わらず、綺麗な美人さんになった。

「一応、ここか下の街のどちらかに住んで貰います。どちらが良いか見て決めて下さい」
「分かった。これからよろしく頼む」
「はい。よろしくお願いします」
「それと、もし良ければなのだが、この世界にアルテミス様がいらっしゃるか教えて欲しい」
「アルテミスさんですか? いますよ。アルテミスさ~ん!」

 私が呼び掛けると、アテナさんと同じく即座にアルテミスさんが現れる。そして、さりげなく私を抱きしめた。

「呼んだかしら? あら? オリオン。あなたも来たのね」

 アルテミスさんと知り合いなのは間違いない。でも、アルテミスさんはそう言った後に私の事を撫で回してきた。最近、アルテミスさんの私へのスキンシップが激しくなっている気がする。欲求不満なのだろうか。

「なるほど……お久しぶりです。アルテミス様。こちらに来たので、一応、ご挨拶をと」
「そう。ここはこの子の世界だから、この子への失礼がないようにしなさい」
「はっ!」
「積もる話もあるかもしれないですし、アルテミスさんが案内をしてくれませんか?」
「そうね。分かったわ」

 アルテミスさんはそう言うと、私をぎゅっと抱きしめてオリオンさんを先導し始めた。後を追うオリオンさんは、少し寂しげに見えた。
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