吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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出会いを楽しむ吸血少女

ボスラッシュイベント終了

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 皆でお茶を飲んでいたら、段々と波状攻撃が酷くなってきた。それでも皆は平然と対応しているけど。地上で動き回るラストナイトとかはアーサーさん達英雄が蹴散らしている。剣が錆びるはずだけど、皆の剣は神器に等しいからなのか全然問題ないみたい。

「違和感」
「何が?」

 私の膝の上でお茶を飲んでいるフェネクスが何か違和感を覚えているらしい。でも、それが何なのかは私には分からなかった。

「あのモンスター達の動きがだと思うよ」

 ラファエルさんが教えてくれる。モンスターの動きに違和感を覚えるくらいには何かしらがあるらしい。私が見てもただ向かってきているようにしか見えないけど。

「段々と数が増えているけど、その動きが一直線過ぎる。つまりハクちゃんを狙っているという事だね」
「まぁ、そうなるのは当然だと思うよ。私がいなくなれば皆もいなくなるわけだし、大元を狙うのは普通でしょ?」
「障害排除が最優先。でも、あれは一直線」

 そう言われてみると、ボスモンスター達は私に向かってきて返り討ちに遭っているように見えてくる。一応、邪魔をする皆を倒そうとしているけど、それにしては単調な動きが目立つ。視線や意識が私に集中している。

「う~ん……魅了の力を垂れ流しにしているから?」
「それかもあるかもしれませんね」
『寧ろそれしかないと思うけど。あなたの魅了の力の効果範囲は、ここら一帯を覆っているから』
「既に魅了されている私達には効果はないね」

 ラファエルさんは笑いながらそう言う。ここにいるのは大体私を好いてくれている人達だから、私が魅了を出していても通常時と変わらないって事なのかな。ともかく、私の魅了で、攻撃が単調になって、フェネクスには違和感のある動きになっていたらしい。

「そういえば、テューポーンは来てないんですね」

 ここまでの怪獣大決戦のようになっている状況下で気付くのが遅れたけど、テューポーンの姿がない。テューポーンがいたら、もっと激しい戦闘になるかもしれないけど、他の皆がいるから何でなのだろうと気になった。

「はい。向こうの街を見守っています。その代わりに、私達が来たのです」
「あっ、なるほど。それは感謝しないとですね」

 テューポーンは、ギルドエリアの監視をしてくれているらしい。確かに、普段監視を頼んでいる人達も多いから、テューポーンの百の首があれば安心ではある。

『お姉様』
「どうしたの、エアリー」

 エアリーが私の傍にやって来た。エアリーは、ここまで土埃が来ないようにずっと風の結界を張ってくれている。そんな事をしながらも、全員の援護をしているのだから凄い子だ。

『段々とモンスターの数が減ってきました。そろそろ終わりが近いかと』
「そっか。他にも大きなボスが出て来ると思ったけど、そんな事もなかったね。でも、最後の最後にヤバいのが出て来るかもしれないから油断はしないようにね」
『はい』

 エアリーは頷いてから戦場に戻っていった。イノとグラキを守るようにして動いている。

「結局大して変わらなかったなぁ。殲滅戦の方が沢山のモンスターが出て来て危なかったような気もする。まぁ、あの時は神様の皆がいたから、もっと圧倒的ではあったけど。でも、こっちの方が素材も経験値も多いか。アカリのためになるなら良いかな」
「前にも似たような事があったのですか?」

 エキドナさんが首を傾げていた。エキドナさんは殲滅戦の後に仲間になったから、あの時の出来事とかは知らない。怪物である皆は、殲滅戦を経験していないから初めての経験となっている。

「はい。その時は神様も出て一気に殲滅していました。同じようなモンスターも出ていましたが、向こうの方が種類は多かったです。こっちは限定的なモンスターの波状攻撃という感じですね。でも、得られるものは大きいです」
「それなら私達も出張ってきて良かったです。あっ、もう終わりますね」

 エキドナさんがそう言ったのと同時にボスラッシュイベントの終了メッセージが流れた。最後までやり遂げたという事で、選択式レアアイテムボックスを五つ手に入れた。
 これはアカリにあげようかな。最近はイベント参加出来ていないから、こういうのを手に入れる機会も少ないし。防具やアクセサリーを強化してくれたお礼だ。
 皆が一気にギルドエリアに戻っていき、私もファーストタウンに戻った。そこからギルドエリアに転移した。転移した先で、皆にお礼を言う時間が発生した。まぁ、これは私の自己満足的な側面が強い。皆にお礼を言って回ってから、アカリの作業小屋に向かった。

「アカリ」
「ハクちゃん。イベントは問題なく?」
「うん。途中から皆にやって貰った。殲滅戦のボス限定版って感じだったよ」
「ボスラッシュってくらいだもんね。何か報酬面で違いは?」
「いつもよりも素材がいっぱい取れたから、ボスモンスターの素材がいっぱい増えたよ。皆から採れるって言っても数は少ないしね。派遣で得られる素材も含めれば大分増えたと思うよ。それとこれはお土産ね」

 そう言って、アカリに選択式レアアイテムボックスを渡す。すると、アカリは少しむすっとしながら私を見る。まぁ、想定の範囲内の反応だ。

「ハクちゃん、こういうのは自分で使う方が良いよ」
「良いって。私が使うとしても血瓶しか興味ないし、アカリは最近イベントに参加していないから、レアアイテムを手に入れる機会が少ないでしょ?」
「う~ん……ハクちゃんが強化してくれた設備で奇跡が起きるから、割と増えてはいるよ?」

 これは事実だ。錬金術なので素材を錬成する必要がある時に奇跡が起きれば、レアアイテムに変化する事はある。そうでなくても錬金術などである程度のレアアイテムは作る事が出来る。

「あぁ~……でも、奇跡は起きる確率が低いんだから貰っておいて。それに、錬成出来るようなものばかりじゃないでしょ? ここからしか出ないようなものもあるんだから、使って。後は私みたいに確定で起こせるなら、それでも良いんだけど」
「確定で起きる奇跡は奇跡なのか、未だに疑問だけどね」
「あはは……」

 誰しもが思う事。奇跡が確定で起こせるのであれば、奇跡とは呼ばないではという事。まぁ、ゲームシステム的に奇跡と名付けられている現象を引き起こしているだけだから仕方ないと言えば仕方ない。そう考えよう。
 後は来週にソロPvPイベントがあるけど、こっちは参加しないで良いかな。色々と面倒くさいし。
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