吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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新たなる地へと向かう吸血少女

悪魔界訪問

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 資源エリアへの移動も移民エリアヘ向かったのと同じく自分の【熾天使翼】で飛んでいく。同じく十分くらい飛んでいたら、大陸が見えたので減速し、キャメロットが見えてきたので、ゆっくりと着陸すると、グィネヴィアさんが出迎えてくれた。

「ハク様。本日は御用が?」
「この大陸と他大陸の距離を調べていたのと、毎日やっている状況確認ですね。何かありませんか?」

 資源エリアは割と色々なものの死活問題になりかねないので、しっかりと確認している。

「特には問題ありません。作物の収穫も何度も出来ています。動物達にも変わりはありませんし、坑道も問題ありません。私達の体調も大丈夫です」
「それは良かったです。エリュシオンとの繋がりも大丈夫ですよね?」
「はい。そちらも問題なく繋がっています。民も全員何もありませんので、本当に問題はありません」
「それは良かったです」

 グィネヴィアさんは、モルガンさんと一緒に資源エリアを管理してくれているので信じられる。現状は何も問題ない。まぁ、一週間近く何もないとなれば、もう問題はないと考えて良さそうかな。

「せっかくですからお茶にしますか?」

 グィネヴィアさんがニコニコで訊いてくる。グィネヴィアさんは、割とお茶会が好きだからこういう時はお茶会をしているのだけど、今日はこれから予定がある。

「すみません。アスタロトに悪魔界に来ないかと誘われてしまって。また今度にしましょう」
「そうでしたか。分かりました。では、また今度。その時はアーサー様もご一緒に」

 結構アーサーさんも付き合いが良いので、一緒にお茶会をする事がある。アーサーさんとグィネヴィアさんの仲の良さもその時によく分かるので、二人が仲良くなって良かったと本当に思う。

「はい。では、失礼します」
「はい。ご苦労様でした」

 グィネヴィアさんに労って貰い、私は空を飛んでメインエリアに戻る。こうして空を飛んで確認してはっきりとしたけど、大陸間は、大体同じ距離になっている。地図でもある程度分かっていたけど、それが事実か分からないから実際に確かめてみた訳だ。

「ただいま」
「おかえりなさぁい。どうだったのぉ?」

 アスタロトは私を抱きしめながら迎えてくれる。頭を嗅ぐ

「問題なし。距離は同じくらい。大規模輸送とかがあれば、使える情報だけど基本的には要らないかな。大規模輸送とかほぼしないし。それで悪魔界だっけ?」
「そうよぉ。クリフォトから飛ぶわぁ。付いてきてぇ」
「うん」

 一応悪魔界なので、【悪魔王翼】を広げてアスタロトに付いていく。セフィロト横の泉に飛び込んでクリフォト側に出る。

「こっちよぉ」

 アスタロトが私と手を繋いで、クリフォトに触れる。すると、転移のエフェクトが出て別の場所に移動した。そこは赤い空に黒い土という禍々しい世界だ。遠くの方には黒い幹と白い葉の木が見える。

「何だが予想通りだけど、荒廃してるって感じじゃないね」
「そうよぉ。荒廃している所の方が多いけれどねぇ。ほらぁ、いっぱい来たわよぉ」
「え?」

 そう言われて周囲を見回すと、沢山の悪魔が集まってきた。

「えっと……」
「あっ! ゴスロリで来るべきだったかもしれないわぁ……」
「それはアスタロトの好みなだけでしょ。ルシファーとかは別にって言ってたけど」
「趣味が悪いのよねぇ」
「ノーコメントで。この数の悪魔と会話していくのは難しい気がするし、何か警戒されてるけど」

 悪魔達は私を警戒しているからだと思うけど、遠巻きからこっちを見てきている。

「レメゲトンを持っているからじゃなぁい? 警戒もするわよぉ。だからぁ、私がいるのよぉ」

 そう言ってアスタロトが抱きついてくる。アスタロトが私に懐いているのを見て、警戒を解くほどチョロいものなのだろうか。そう思っていたら、本当に少しだけ警戒心が薄れていった。アスタロトも変な事をしなければ機転が利いて頼もしいのにね。

「私への警戒心は薄れたけど、逆にアスタロトに警戒し始めてない?」
「失礼ねぇ。可愛い主人を可愛がっているだけなのにぃ。さてと、いつまでも主人への無礼を許せる程、私も温厚じゃないわよ」

 一気に空気が冷える。アスタロトも表情が消えており、本気で何かに怒っている事が分かる。

「何に怒ってるの?」
「挨拶しない事よぉ。向こうからしたら知らない悪魔だろうけどぉ、七つの大罪を全て持ってぇ、悪魔の神にまでなっているのよぉ。挨拶しない方が失礼じゃなぁい」
「同感だな」

 そう言って出て来たのは、ルシファーだった。どうやら私達が悪魔界に来た事に気付いていたみたいだ。タイミング的には、どこかで見ていたのかな。ルシファーだけでなく、次々に私と契約している悪魔達が出て来る。全体的に私と契約をしているという事を示すような立ち位置だけど、フェネクスだけは抱っこをせがんだので腕の中にいる。

「ルシファー様だけじゃないぞ」
「大罪の悪魔が全員契約しているのか」
「それだけじゃない。クリフォトの悪魔もだ」
「崇めたい気持ちが溢れてくるぞ」
「ここまで集まったなら本当に俺達の神なのかもしれないな」

 一応神として認識はされているけど、本当に神なのか疑わしいという気持ちがあるらしい。まぁ、そういう風に疑ってしまうのは理解出来る。でも、ルシファーとかがいるおかげで、私が本当に神という事を認識してくれた。悪魔の神というほぼ邪神のような存在だけど。
 皆使役されているはずだけど、私を憎んでいる感じはなく、フェネクスやアスタロトが懐いているという点からも信用されている気がする。ソロモンさんだったら、八つ裂きになっていたと思う。無理矢理は良くないって事だね。後はしっかりと信頼関係を築くとか。

「ここにいるのは基本的に下級悪魔だな」
「皆みたいな名前持ちが少ないって事?」
「ああ。遠くから見ているようだがな。クリフォトを通じて、お前の世界とも繋がった。その内勝手に来ると思うぞ」
「そうなの?」

 ルシファーの言葉に、少し驚いてしまう。そんなお知らせは届いていないからだ。

「お前がここで許可すればだがな。問題は起こさないように俺達で対応はしてやる。天使と問題を起こさないとも限らないからな」
「ありがとう。それなら許可しようかな」

 私がそう言うと、目の前にウィンドウが出て来て、悪魔界と本格的にギルドエリアが繋がったという情報が出て来た。

「あっ、契約すると女性になるって伝えてね」
「ああ……そういえばそうだったな。ハクの呪いとして伝えておこう」
「何か女体化の神みたいで嫌だな……」
「でもぉ、事実よねぇ」
「うるさい」
「あぁ~ん!!」

 アスタロトの顔面を鷲掴みにして黙らせておく。

「取り敢えず、今日はこれくらいにしようかな。あまり動き回って刺激しない方が良いでしょ。世界に挨拶って感じで」
「それが良いだろうな。これから覚悟しておけ。お前でも把握出来ない数の悪魔が契約に来るぞ」
「…………祝福とどっちが多い?」
「さすがに祝福だろうな」
「う~ん……頑張ろう」

 態々ルシファーが忠告するくらいだから、本当に沢山来るのだと思う。この時点で大分興味を引いているという感じかな。ちゃんとルシファー達が御してくれるだろうから、大きな問題には発展しない。そこだけは信じられる。最悪メタトロン達もいるし。
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