吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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吸血少女は救いの手を差し伸べる

特殊な天使

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 天使達はサンダルフォンから説教されたためか大人しい状態になっていた。まぁ、これから話をするのに騒がしいとやりにくいから、このくらいで丁度良いかもしれない。
 サンダルフォンが私の傍に控えて腕を組む。先程説教をしたサンダルフォンが控えていれば、他の天使達も偉そうに出来ないだろうみたいな感じかなと思っていたら、背後に守護天使が揃い踏みしていた。
 全員で圧迫面接だろうか。その中に平然と入って来て抱っこを求めるフェネクスが癒しでしかない。
 フェネクスを抱っこしながらの面会が始まった。
 最初に来たのは、赤い髪と赤い瞳、白い翼の天使だった。顰め面の天使だけど、私に怒っているような感じではない。

「我が名ウリエル。神の炎とも称される天使だ。自然現象などを司る。大地の支配の力も持っている。貴方様を貶す者がいるのなら、我が裁きを与えよう」

 ウリエルの自己紹介の後にメタトロンが耳打ちしてくる。

「神を貶す者達への断罪などもするから破壊天使とか懺悔の天使とかの呼び方もあるよ。基本的に厳格な性格だから、正直に接するのが一番かな」

 裁く立場なのなら、厳しい性格というのも理解出来る。顰め面もそういう立場にいたからというのが理解出来た。

「よろしく。神の炎なのに大地の支配を司ってるんだね?」
「ああ。そういうものだ。戦闘に関しても問題ない。いつでも召喚してくれ。普段は何をすれば良い?」
「う~ん……基本的に何かしらのお手伝いだけど、今は開拓領域で護衛を頼みたいかな。アーサーさん達がやってくれているけど、戦力は多い方が安全になるから。見張りはグリゴリの堕天使達がやってくれるらしいし」

 堕天使と聞いて、ウリエルは眉間に皺を寄せる。やっぱり天使と堕天使は、仲が悪い。私は神様成分が強くなっているから、そういう対象にならないのだと思う。

「分かった。微力を尽くそう」
「うん。よろしく」

 ウリエルと交代で来た天使は、水色の髪と水色の瞳、白い翼を持つ天使だ。ちょっとおっとりしているように見える。ただ、その水色の瞳は仄かに光っているような感じがする。

「私はサリエルです。医療に精通しており、ラファエル様の右腕として仕えております。お怪我の際はお申し付け下さい。また魂の穢れを防ぐための監視という仕事もありますが、人が増えすぎたために手が回らない状態が続きました。そして、最早防ぐ事は叶わないという判断に至り、現在は行っておりません。
 月の支配を司り、魔法にも長けております。そして何よりも私は魔眼を持ち、見た対象の行動を封じ死に至らしめる事が出来ます。余程の事がない限りは、私も行使致しません。この事が原因なのか、私の事を堕天使と勘違いするような者もおります。ですが、私はこの通り天使です」
「そうなんだ。確かに堕天使っぽくはないよね。サリエルには……取り敢えずラファエルと一緒に行動して貰おうかな。割と稽古とかで怪我人が出たりするから、その治療とかをお願いね」
「はい。仰せのままに」

 サリエルは嬉しそうに微笑んでから下がっていった。

「サリエルは神の意志を執行する司令官でもあるの。だから、神である君には従順だと思う。魔眼の危険性も自分で分かっているから、あまり心配しないでも大丈夫かな」
「オッケー」

 メタトロンが補足してくれるから、相手の事をちゃんと理解できる。多分、私が不安に思うような要素があるだろうからって感じかな。正直なところ、ウリエルにもサリエルにも不安な感じはなかった。魔眼自体は私も持っているし。色々な点から不便な事もあるから、常時使用はしていないけど。
 サリエルと交代で来たのは、金髪碧眼で白い翼の天使だった。背筋がピンとした真面目な印象の天使だ。

「私の名はラグエルと申します。神に背く天使を処断する者であり、地上に天罰をもたらす者でもあります。同じく堕天使ではなく天使ですので、お間違いのないようにお願い申し上げます」

 やっている事が凄いけど、真面目な性格そうだから、きちんと処断とかもしているのだと思う。確かに天使の処断と聞いたら、天使との敵対をイメージして堕天使というイメージが出来上がりそう。その辺りはサリエルと同じで気にしているみたい。

「対天使としては、天使の中でも最上位に位置する強さかな。それでも返り討ちに出来る天使もいるけど。基本真面目だから、しっかりと言い聞かせれば無闇矢鱈と力を振う事はないよ」

 メタトロンの補足を受けて、最初に掛ける言葉が決まる。

「取り敢えず、力の行使は私の許可制ね。勝手な使用は禁止。約束出来る?」
「はい。勿論です。主の御心に従います」
「うん。ありがとう」

 ラグエルは、即座に頷いてくれたので、一安心出来る。皆が間違って処断されるとかはやめて欲しいし、そもそも元天使がいっぱいいるからね。しかも敵対者の方面で。ルシファーとかも対象になりそうと考えると、私が許可した場合のみという制限を付けるのが一番だと考えた。これに頷いて貰えないのなら、受け入れられないところだった。
 ラグエルと交代で来たのは、金髪に金の瞳と白い翼を持った天使だった。

「私はラミエル。雷や幻視を司る天使だよ。よろしくね」
「ラミエルは、神のお告げを人間の夢の中で告げるって仕事があるけど、君にはあまり関係ないかな」

 確かに神だから、神のお告げとかはあまり関係ないかもしれない。そもそも神様から直接聞く方が普通に早いし。

「ラミエルには……普通に開拓領域の防衛に回って貰おうかな」
「オッケー。任せてよ」

 ラミエルはそう言うと元気そうに去っていった。雷を司るとか言っていたし、そういう点で元気……ではないか。ライは大人しい方だし。普通にラミエルの性格かな。
 ラミエルと交代で来たのは、白髪に白い瞳で白い翼を持つ天使だった。眼鏡を掛けて、理知的な雰囲気だった。

「初めまして。私はラドゥエリエルと申します。私には特別な力があり、天使を生み出す事が出来ます。本来は神の特権ですが、私にも与えられた力です。この力は貴方様にも行使しています」
「あっ、守護天使の羽根?」
「はい。天使にする許可を与え、力を行使しました。その見極めをしたのは、セラフです。お望みであれば、他にも天使を生み出しますが」
「今はいいや」
「かしこまりました」

 天使を生み出すというのがどういう事なのか分かっていないので、ひとまずは先送りにする。

「世界の記録を収める書庫の門番でもあるよ。君ならラドゥエリエルの能力をしっかりと考えて使えると思うよ」
「う~ん……やっぱり保留で。ラドゥエリエルには、倉庫の整理とかを頼もうかな」
「かしこまりました」

 書庫の門番という事なので、倉庫の門番と整理も出来るのではと思って頼んだら、即答で受け入れてくれた。それで良いのかと思ったけど、まぁ、良いのだと思う。
 天使を生み出すという力。それがどういうものなのかという事をしっかりと考えてから使うかどうかを決めようと思う。
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