吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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吸血少女は救いの手を差し伸べる

新しいスキルの検証

 夕飯とお風呂を挟んでログインした私は、開拓領域の外に出て【穿孔】の効果を確認しに向かった。アスタロトとメタトロンも付いてきている。確認に使うのは、戦場跡の奥にある平原だ。そこに土の壁を縦長に生み出した。大体一キロの長さだ。

「それじゃあ使うから、私の後ろにいてね」

 私がそう言うと、二人とも後ろで並ぶ。それを確認してから、私はMPを半分消費して【穿孔】を使用する。
 すると、私の正面に私の身長と同じ直径の孔が生まれた。完全に貫通しており、その向こう側に見える景色の一部も同じように孔が空いているのが見えた。

「おぉ……中々危ない力だね。大体十キロ近くまで届いていそうかな」
「そんなに?」
「そうねぇ。本当に遠くまで真っ直ぐに伸びているわぁ。この星は球体の惑星だかぁ、地上と平行ではないけれどねぇ」

 これで分かったのは、【穿孔】の軌道は私の正面から重力などの影響を一切受けずに真っ直ぐ。そして、私のMPの半分を消費した【穿孔】は十キロ近く届くらしい。

「う~ん……割と危険だから封印かな」
「まぁ、下手に使って人に被害が出たら困るしね。距離の調整をしっかりと出来るようになったら、採掘に使えるかもしれないよ」
「いや、採掘はソイルがいるから」
「ああ、そっか。こういうとき属性特化の精霊がいるっていうのは良い事だね」
「そういう事。次は【触手体】か」

 MPを消費して、魔力で出来た触手を身体から生やしていく。メタトロンは若干引いて、アスタロトは目をキラキラと輝かせていた。なので、アスタロトを触手で縛り付ける。

「う~ん……まぁ、猛毒の触手と似たようなものかな。何も効果がないから、本当に縛り付け専門って感じ。これなら血で良いかな」
「君は血を自由に操れるからね。私もそっちで良いと思うよ。態々これを使う理由がないと思うし。このド変態のお仕置き用じゃないかな?」
「いや、これ喜んでるから意味ないと思う」
「欲を言えばぁ、主人の身体で縛って欲しいわぁ」
「ほらね。ただ私に抱きついて欲しいだけだよ。まぁ、これの方がお仕置きになるかもね」

 触手を解除してアスタロトは放すと、アスタロトは物足りなさそうに私に抱きついてきた。邪魔なので引っぺがす。

「次は【魔力剛角】だね」

 発動すると、私の頭から魔力で出来たカブトムシの角が出て来た。私の頭の動きに合わせて動くので、若干使い勝手が悪い。強度を確かめるためにアスタロトを持ち上げてみると、普通に持ち上がった。角の上を転がってアスタロトは私の背後に落ちていく。

「どうやって使えば良いんだろう?」
「主人の場合角よりも素手で持ち上げる方が良いものねぇ」
「結局こっちも血で作った方が強い気がするしね。君の場合、こういう系の力は血で解決出来るから、あまり必要なさそうかな」
「まぁ、そうかも」

 メタトロンの言う通り、大抵の事は血で作る事が出来るから、魔力で作るこういう系のスキルは、あまり意味がない。

「【魔力眼球】だけは、血で再現出来ないけど、そもそも血液兵にすれば【感覚共有】でそれっぽく出来るし、ラートリーさんの祝福で見下ろしも出来るし意味がないんだよね。【亀甲羅】の耐久度だけでも調べてみようか」

 背中に魔力で出来た甲羅を作り出して、アスタロトやメタトロンに叩いて貰う。

「う~ん……まぁ、硬いね」
「多分主人の力によるものねぇ。主人自体の防御力がそのまま反映されているような感じねぇ」
「そうなんだ。まぁ、使えなくはないのかな。普通に尻尾生やすから邪魔になるけど」

 若干血の尻尾に干渉するような大きさなので、邪魔という感じが強い。

「使えるのは【寄生体】くらいかな。こっちも試してみよう」

 【寄生体】を使うと、口からスライム状の何かが出て来た。完全に吐き出す形だ。

「きも」
「出した本人が言う?」
「これをどう使うのぉ?」
「さぁ?」

 そんな事を言っていたら、スライム状の寄生体が動き出して、どこかに向かっていった。

「行っちゃった」
「宿主を探しに行ったのかもね。ちょっと待つ?」
「そうだね」

 寄生体スライムを待つために、玉座を出して座って待っていると、牛がやって来た。感覚的にスライムが寄生しているという事が分かる。

「う~ん……何に使えるんだろう?」
「完全に操っているという事で間違いないの?」
「ないかな。これが何の役に立つか本当に分からないなぁ。普通に魅了を使えば操る事は可能だし、意味がない気がするけど……」
「そういえばぁ、竜や精霊の子達は連れ出せる数が限られているわよねぇ? これはぁ?」

 アスタロトに言われて、私はテイムモンスターの枠を奪っているかどうかを確認する。

「その枠は奪ってないかな」
「ならぁ、このまま放逐して数を増やしていけたりしないかしらぁ? 寄生体ならぁ、本能的に数を増やすための行動をするでしょぉ?」
「ああ、なるほどね。それじゃあ、取り敢えず、開拓領域の外で自由に動いて。ただし、私の仲間達には一切危害を加えない事。寄生もしない事。これを徹底するように」

 私が指示を出すと寄生体牛は、頷いて草原の向こうに走っていった。

「さて、この星が終わりを迎える事になるか。あの寄生体が倒されるか」

 あるいは、私のログアウトと同時に消えるか。恐らくは、こっちだと私は考えている。あの寄生体が繁栄してしまったら、色々とゲームを壊す事になりそうだし。
 多分、この【寄生体】は、私の血液兵と似たような感じで使うのだと思う。血液兵の場合は、私の血液を使えば良いだけなので、一気に軍勢を作る事が出来る。
 でも、【寄生体】は、地道に数を増やしていくしかないと考えられる。面白いスキルだけど、有効活用は難しそうって感じだ。
 ある程度の確認を終えたので、開拓領域に戻ってくる。検証出来ない能力もあるけど、そこは気にしないでおく。アカリの作業部屋に入るので、アスタロトとメタトロンとは別れた。

「アカリ。これ飲んで」
「ん? うわっ!? 真っ黒!」

 アカリは、私が渡したコップに入っている黒い液体をジッと見ていた。これは私が出した墨だ。【墨吹き】で出したもので、若干美味しい気がするので、アカリに確かめてもらう。ゲーム内の私の味覚は馬鹿になっている可能性があるし。

「飲んで大丈夫なやつ……?」
「うん。私の口から出したものだし」
「そっか…………え? 口から!?」
「そう。【墨吹き】ってスキルなんだけど、口から出るからか、味がちゃんと感じられて美味しい気がするんだよね。ほら、イカ墨みたいな感じ」
「へぇ~……いただきます」

 アカリは、墨を少しずつ飲んでいく。そうして全部一気に飲み干した。

「う~ん……美味しいと言えば美味しいけど……ハクちゃんの口から出たものなら、料理には使えないかな。私が食べる分には良いけど、皆の分ってなると、私が嫌かな」
「そう? じゃあ、アカリにだけあげるね。取り敢えず、口直しに使えるって事は分かったし、そういう時に使うかな」
「本来は目潰しのためだと思うけどね」
「確かに」

 取り敢えず、今回得られたスキルの検証は概ね完了した。取り敢えず、使えそうなスキルもあるけど、あまり使う事はないと思うかな。
 明日は、リリィルーナの攻略だ。目一杯頑張ろう。
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