吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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吸血少女と邪神?

クトゥルフを勧誘

 ルルイエを飛んでいき、クトゥルフの前で止まる。他の建物も大きいから若干目算が狂ったけど、このクトゥルフ滅茶苦茶でかい。多分百メートルくらいはある気がする。

「さてさて。ここまで来れば会話できるでしょ」

 念のため自分の手に血を溜めて、即座に武器を出せる準備はしておく。
 クトゥルフは、さっきと同じような声を出す。

『汝』『教徒』『ない』

 どうやらクトゥルフの言葉の認識も、他の邪神同様に単語で聞こえてくるだけみたい。ここら辺を自分で解釈しないといけないのは、大分怠いけど、全く分からない訳では無いからマシかな。

「何のかは知らないけど、教徒じゃないよ。なった覚えもない。私自身が神だし」

 これだけ言うと、ヤバい人の発言だけどゲーム内では実際に神なので間違いはない。ニュクスさんの眷属という事になるけど、信徒ではなく娘だし、多分違う。

『納得』『汝』『何故』『神』『気配』『内包』

 他の邪神よりも大分単語っぽい喋り方だ。寝起きだからとかかな。

『器』『船』『別次元から』『奴等』『来る』『準備』『力』『蓄える』

 ナイアルラトホテプが私の胸の中からクトゥルフに伝える。

『角』
『違う』『別次元』『詳細』『不明』『以前』『皆』『知覚』『危険』

 何だかよく分からないけど、他にも脅威になりそうなのはいるけど、今回来るのはそれとは別種の何からしい。その存在は知覚出来ているけど、詳細は分からない。そんなのが来るみたい。

『迎え』『行く』
『死』
『否』『器』『頑丈』

 そこまで話したところで、クトゥルフの方が黙った。思考する時間が生まれる。私が本当に生きていられるかどうかの思考なのかな。そんな心配になるほど迎えに行く対象であると予想されるアザトースはヤバいのかな。アカリもヤバそうって感じだったけど。

『了承』

 クトゥルフも納得したら、私の中に入ってきた。あの巨体が入ってくる事も驚愕だけど、そのクトゥルフが入りきった後に、ルルイエまで私の中に入ってきた。

「何でやね~ん……」

 弱々しいツッコミしか出ない。私の中にどんどんと邪神が集まってくる事も何とも言えない状況だけど、まさか都市までも私に入るとは思わなかった。

「私の中で世界を作ってるとか? まぁ、安全になったのは変わりないか」

 アカリが入った血の球体を私の方に引き寄せてアカリを解放する。

「あれ? もう終わったの?」
「うん。クトゥルフもルルイエも私の中に入ったよ」
「ええ……何それ……ハクちゃんの身体の中どうなってるの?」
「さぁ……? 私の身体の中で世界でも作ってるんじゃない?」
「スキルは?」
「増えてないよ。ただ気になる事を言ってたかな。角がどうとか。でも、それは関係ないって」

 私が聞いた情報を伝えると、アカリは難しい顔になっていた。何かしらアカリの中で引っ掛かる内容があったみたい。角がどうとかでそんな引っ掛かる事なんてあるのかな。

「関係ない……って言ってたんだよね?」
「うん。それとは違う別次元から詳細も分からない何かが来るって」
「ティンダロスの猟犬じゃない何か……何だろう?」
「そのティンダロスの猟犬が分からないんだけど」

 取り敢えず移動はしないといけないので、アカリを抱き抱えて飛び始める。そうして移動している中でアカリから説明してもらう。

「角ってワードが鍵になるの。ティンダロスの猟犬は、鋭角な角から現出するって設定があってね。何かよく分からないけど生まれた不浄を体現する存在なんだって。人間との普通の生き物が曲線を祖先とするのに対して、ティンダロスの猟犬たちは角度を祖先とするものらしいの。色々な個体もいるんだけど、悪臭を伴って現れたり、注射針みたいな舌を持ってたりするの。身体に付いた粘液が付着すると汚染されたりするから、かなり危険だね。それに狙った相手を執拗に追いかけてくるの」
「へぇ~……」

 よく分からないけど、ヤバい相手っぽい。角度があると来るって事は大抵の場所が出現できる場所になる気がする。曲線だけで出来た場所なんてそうそう存在しないだろうし。

「ちなみに、シュブ=ニグラスとマイノグーラの子供であるヘルハウンドの子供がティンダロスの猟犬とも言われてる」

 どっちも女性っぽい感じだけど、どっちかが男性にもなれるって事なのかな。ちょっと驚きだけど、邪神だし何でも有りだよね。神様達だって、そういうのあるし。

「それならここまで皆警戒しないか」
「そうでもないけど、シュブ=ニグラスとマイノグーラは、まだ焦らないと思うかな。だから、これは本当に別種の何かだね」
「それこそオリジナル邪神か……邪神の依り代が、もしかしたら、ナイアルラトホテプ達じゃなくて、オリジナル邪神を喚び出すためのものだったって可能性だね」

 邪神の依り代という存在。それだけが元々邪神の手掛かりだった。この邪神が、ナイアルラトホテプだと考えていたけど、アク姉達との考察
でオリジナルの邪神が出て来る可能性があるとなったため、オリジナル邪神を喚び出すための方法という考えもあった。
 それがここに来て、どんどんと形になっている気がする。

「それはそれで色々と凄いけどね。ハクちゃんが初めて邪神の依り代と戦ったのって、大分前でしょ?」
「まぁ、そうだね。あの頃に本当に邪神が出て来たら、確実に終わってたと思う。まぁ、イベントの中だから、ここまで警戒する必要はなかったかもしれないけど」
「今は、普通にプレイエリアだからね」

 そう。前はイベントエリアにて現れただけだった。でも、今邪神が私に集まってくるという事は、普通のプレイエリアで別次元の邪神が現れるという事になる。
 他のプレイヤーがどこまで役に立ってくれるかが、これに勝てるかどうかの鍵になったりするのかな。
 何はともあれ、今はここから出る方法を探しつつ、邪神達の目的である私の中に取り入れたい邪神の元に向かう。取り敢えず、ここで邪魔してこないって事は真っ直ぐ出口がある方向へと行って良いはず。
 なるべく早く着くように、アカリに血の膜を張って、少しだけスピードを上げた。それでも何日もかかるかもしれないけど。
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