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真祖となった吸血少女
統合スキルの考察
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ようやく倒したというのに、私は仰向けに倒れたままウィンドウも消さずにいた。その理由は、一気にやってきた疲労感だ。正直、夜霧の執行者よりも遙かに疲れた。あれは、ただただ臭い血を吸っていれば良いだけだったし。
「はぁ……アカリエで休もうかな。突破したって事を、アカリにも知らせたいし」
いつの間にか、雨は止んでいる。雨男が、この雨の元凶だったのかもしれない。これなら、しばらく待っていれば、混乱も解けるだろう。それでも、私は立ち上がって歩いた。途中で、血刃の双剣を拾うのも忘れない。
どっちがどの方角なのかも分からないのに、歩き始めた理由は、私が戦った場所を見ておきたかったのかもしれない。雨で何がどうなっているのかも分からなかったし。
「ただただ平野だ。でも、草は生えてない。日が差さないから?」
でも、何もないわけじゃなかった。所々に武器が刺さっている。多種多様。全部で十以上はある。
「そういえば、私が手に入れたスキル……」
雨男から手に入れたスキルについて思い出して調べる。
────────────────────────
【武芸百般】:【剣】【片手剣】【両手剣】【短剣】【槍】【長槍】【短槍】【鎚】【大槌】【戦棍】【斧】【鎌】【杖】【長杖】【短杖】【弓】【長弓】【短弓】【格闘】【拳】【蹴り】【投げ】【盾】【大盾】【小盾】【騎乗】【水泳】の効果を得る。ただし、技の会得は出来ない。
────────────────────────
思わず呆然としてしまう。でも、同時に、納得した事もあった。それは、何故雨男がありとあらゆる武器を扱えたのか。このスキルの効果が大きかったのだと思う。
「超絶強スキルって思ったけど、技の会得は出来ないんだ。理由で考えれば、すでに覚えている前提。態々書くという事は、これは統合先かな。仮に統合だとして、これだけのスキルを収得しないといけないってヤバいなぁ。それに【武闘術】を収得した時点で、これを取る未来はなかったわけだけど」
私の考えが正しければ、説明に書かれているスキルの統合で手に入れる事が出来るスキルが【武芸百般】だ。そして、これを収得するのに、ただそのスキルを持っている事が条件なわけがない。最低でも【武闘術】を収得した時と同じくらいのレベルが必要と考えた方が良い。
「結構バンバンと統合していたけど、もう少し考えるべきだったかな? いや、今更言っても仕方ないか。フレ姉とアク姉にも共有しておこ」
軽くメッセージで書いて送ったら、すぐに返事が返ってきた。
『アカリエに行く』
『ちょっと詳しく聞きたいな。アカリエか家で話せないかな?』
取り敢えず、アク姉には、アカリエに行く事を伝えておく。フレ姉には、私の行動を読まれていた。
「さてと、早く帰らないと」
走ってボスエリアの端を探すと、唐突にウィンドウが現れた。
『この先のエリアは、未実装です。今後のアップデートをお待ちください』
まだ先のエリアはないらしい。
「次は北か。これは、アカリに防寒具を頼んでからにしよ」
ボスエリアから転移する際に、ファーストタウンに転移する。まだ左目は治らないので、いつものファーストタウンだけど、ちょっと違和感を覚えてしまう。それでも、片目は見えているので、そのままアカリエに向かう。
「おじゃ……」
「ハクちゃ~ん!!」
毎度お馴染みアク姉のハグ攻撃がやってきた。既に、アカリエに来ていたみたい。フレ姉も、アク姉の奥でソファに座っていた。
「その目、雨男にやられたみてぇだな」
「うん。弓で射貫かれた。ギリギリで耐えられたけど」
フレ姉と話していると、アク姉が私を放して口に瓶の口を突っ込んできた。流れ込んでくる液体を飲むと、急に左側の視界が復活した。欠損部位を再生する部位再生薬だ。普通の回復薬が一つ千Gなのに、部位再生薬は一つ十万Gもする高級品だった。
それを迷わず、使ってくれた。アク姉は、そんな判断が出来るくらいには稼いでいると思うけど、仮にそうでなくても使ってくれるはず。
それを狙ってはいなかったから、ちょっと驚いたけど。
「そんじゃあ、話を聞かせて貰うか。アカリも一緒に聞いておけ」
「あ、はい」
フレ姉は、ソファから立ち上がって、アカリをソファに座らせた。自分は、近くにある椅子を持ってきて座る。私とアク姉もソファに座る。私が真ん中で左右にアカリとアク姉がいるという感じだ。
「そんで、雨男から獲ったスキルってのは、どれだ?」
「これ」
私は、自分のスキルを見せる。
────────────────────────
ハク:【剣Lv64】【短剣Lv60】【双剣Lv50】【武闘術Lv15】【真祖Lv19】【血液武装Lv21】【操影Lv15】【使役(蝙蝠)Lv25】【執行者Lv66】【剛力Lv42】【豪腕Lv58】【豪脚Lv36】【駿足Lv31】【防鱗Lv12】【未来視Lv3】
控え:【武芸百般Lv1】【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv63】【MP強化Lv20】【物理攻撃強化Lv64】【物理防御強化Lv36】【魔法防御強化Lv26】【神脚Lv42】【器用さ強化Lv30】【運強化Lv55】【視覚強化Lv33】【聴覚強化Lv39】【腕力強化Lv12】【毒耐性Lv25】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv23】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv53】【竜血Lv34】【登山Lv6】【毒霧Lv2】【毒液Lv2】【捕食Lv16】【狂気Lv5】【擬態Lv10】【夜霧Lv18】【感知Lv35】【言語学Lv33】
SP:245
────────────────────────
「あ? 【未来視】まで取ったのか。使えるのか?」
「頭痛い」
「らしいな。まぁ、それは置いておくが、この【武芸百般】ってやつだな」
「うん。基礎の武器スキルとその派生、【盾】とその派生、【水泳】【騎乗】の効果を受けられるけど、技は覚えられないみたい」
【武芸百般】の説明を終えると、フレ姉は目を閉じて考え始める。
「ねぇ、ハクちゃん。武器以外のスキルは、【水泳】と【騎乗】だけ?」
フレ姉が黙る代わりに、アク姉が質問してきた。
「うん」
「武芸百般なんだ。武に関するものが統合されるんだろう」
フレ姉が目を開いてそう言った。考え事は終わったみたいだ。
「じゃあ、アカリちゃんの【細剣】や姉さんの【剛槍】は?」
フレ姉の武に関するものという言葉から、【細剣】や【剛槍】などが省かれていると、アク姉は思ったみたい。付け加えるなら、私の【双剣】も省かれている。
「それは、私も考えた。恐らくだが、派生も含めて基礎スキルという認識なんじゃねぇか? 武芸に必要な基礎スキルに加えて、馬に乗るための【騎乗】、水路を渡るための【水泳】が含まれるんだろう」
「基礎の寄せ集めで、それを一定レベルまで上げないといけないから、そもそも技を得られないデメリットが関係ない。そういうスキルって事?」
アク姉も、私と同じ考えに至ったみたい。統合するって事は、レベルが上がっているという風に考えられるからね。もしかしたら、例外があるかもしれないけど。
「一番に考えられるのはな。お前の魔法スキルも、全部一定レベルまで上げていたら、全属性のスキルとして統合されたのかもしれねぇな」
全ての基礎武器スキルが統合されるのであれば、魔法も同じように統合される可能性がある。確かに、【武芸百般】のスキルを見ると、その可能性はあるように思える。
「全属性魔法スキルかぁ……微妙だなぁ。進化した今の方が有り難い気がするし」
「まぁ、可能性だ。だが、これで統合のシステムの落とし穴が見えてくるな」
「一度統合してしまえば、他の統合には使えないって事でしょ? これって、進化にも言えるよね?」
統合と進化の落とし穴。一度してしまえば、戻す事は出来ない。つまり、進化や統合に使ったスキルが必要な進化と統合が出来ないという事になる。派生に関しては、何とも言えない。何が要因になって派生するのかの確定情報がないからだ。統合と進化では、大体説明やお知らせで分かるのだけどね。
「そうだ。無闇矢鱈に進化、統合するのは、考えものだな。これまで、同じスキルを使った統合が見つかっていねぇのが、気軽に進化や統合をしやすい空気を出していたって感じだな」
フレ姉の知っているものの中では、一つのスキルが複数の統合に使われるものはないみたい。ギルド運営をしているフレ姉が知らないとなると、本当に出回っていないのだと思う。
「あっ、そういえば、ハクちゃんって、モンスターだけが持っているスキルを手に入れられるんだよね?」
「えっ、あ、うん。本当にモンスターだけなのかは分からないけど、スキル収得欄にないスキルがいくつもあるよ」
アク姉とフレ姉で話していたところに、急に話を振られたから、一瞬だけ戸惑っちゃった。こういうとき、アク姉とフレ姉の会話を聞いているだけで勉強になるから、そのまま聞く方に集中しちゃうんだよね。
「【武芸百般】も、ここに含まれないかな?」
アク姉の可能性は、当然あり得るものだ。私も自分が獲得したスキルに関しては、収得欄から取れるスキルなのかどうかの完全な判別はついていない。大抵は、その場で取れないからそうだろうという感じで判断している。
「それもあり得るが、武器に関しては、モンスターだけが持つスキルに含まれねぇと見てる。剣も槍も私達に使えるもんだからな。モンスター系のスキルは、恐らく人から外れたスキルが、多く当てはまるんだろう」
武器は、私達プレイヤーにとって重要なものだ。このメンバーの武器スキルから見ても、その種類は多い。そう考えれば、武器系のスキルに関しては、全て私達が取れると言って良いのかもしれない。ただ、これは、根拠に欠けるので、完全にフレ姉の考えというだけだ。
「プレイヤーが取れてもおかしくない【脚力強化】や【腕力強化】は?」
「私達が条件を満たしていないか、単純にモンスター系かだな。全てが全て、人外スキルってわけじゃないんだろう」
未だフレ姉もアク姉も【脚力強化】と【腕力強化】を手に入れられていない。つまり、これもモンスターからしか獲れないスキルという可能性が濃厚になってくる。他のスキルに関しては、正直、フレ姉の言う通り人外のスキルという印象が強い。
「それじゃあ、基本的にプレイヤーに表示されないスキルは、人が持たないようなスキルって感じ?」
「そういう事だ。この事から【武芸百般】は、モンスターだけが持つスキルというより、私達でも取れる武器系統スキルと見ていいだろう。【水泳】と【騎乗】が邪魔だが、他は全部武器系統だしな」
【武芸百般】に関しては、統合スキルであるというのが、私達の考えとして固まった。
「はぁ……アカリエで休もうかな。突破したって事を、アカリにも知らせたいし」
いつの間にか、雨は止んでいる。雨男が、この雨の元凶だったのかもしれない。これなら、しばらく待っていれば、混乱も解けるだろう。それでも、私は立ち上がって歩いた。途中で、血刃の双剣を拾うのも忘れない。
どっちがどの方角なのかも分からないのに、歩き始めた理由は、私が戦った場所を見ておきたかったのかもしれない。雨で何がどうなっているのかも分からなかったし。
「ただただ平野だ。でも、草は生えてない。日が差さないから?」
でも、何もないわけじゃなかった。所々に武器が刺さっている。多種多様。全部で十以上はある。
「そういえば、私が手に入れたスキル……」
雨男から手に入れたスキルについて思い出して調べる。
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【武芸百般】:【剣】【片手剣】【両手剣】【短剣】【槍】【長槍】【短槍】【鎚】【大槌】【戦棍】【斧】【鎌】【杖】【長杖】【短杖】【弓】【長弓】【短弓】【格闘】【拳】【蹴り】【投げ】【盾】【大盾】【小盾】【騎乗】【水泳】の効果を得る。ただし、技の会得は出来ない。
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思わず呆然としてしまう。でも、同時に、納得した事もあった。それは、何故雨男がありとあらゆる武器を扱えたのか。このスキルの効果が大きかったのだと思う。
「超絶強スキルって思ったけど、技の会得は出来ないんだ。理由で考えれば、すでに覚えている前提。態々書くという事は、これは統合先かな。仮に統合だとして、これだけのスキルを収得しないといけないってヤバいなぁ。それに【武闘術】を収得した時点で、これを取る未来はなかったわけだけど」
私の考えが正しければ、説明に書かれているスキルの統合で手に入れる事が出来るスキルが【武芸百般】だ。そして、これを収得するのに、ただそのスキルを持っている事が条件なわけがない。最低でも【武闘術】を収得した時と同じくらいのレベルが必要と考えた方が良い。
「結構バンバンと統合していたけど、もう少し考えるべきだったかな? いや、今更言っても仕方ないか。フレ姉とアク姉にも共有しておこ」
軽くメッセージで書いて送ったら、すぐに返事が返ってきた。
『アカリエに行く』
『ちょっと詳しく聞きたいな。アカリエか家で話せないかな?』
取り敢えず、アク姉には、アカリエに行く事を伝えておく。フレ姉には、私の行動を読まれていた。
「さてと、早く帰らないと」
走ってボスエリアの端を探すと、唐突にウィンドウが現れた。
『この先のエリアは、未実装です。今後のアップデートをお待ちください』
まだ先のエリアはないらしい。
「次は北か。これは、アカリに防寒具を頼んでからにしよ」
ボスエリアから転移する際に、ファーストタウンに転移する。まだ左目は治らないので、いつものファーストタウンだけど、ちょっと違和感を覚えてしまう。それでも、片目は見えているので、そのままアカリエに向かう。
「おじゃ……」
「ハクちゃ~ん!!」
毎度お馴染みアク姉のハグ攻撃がやってきた。既に、アカリエに来ていたみたい。フレ姉も、アク姉の奥でソファに座っていた。
「その目、雨男にやられたみてぇだな」
「うん。弓で射貫かれた。ギリギリで耐えられたけど」
フレ姉と話していると、アク姉が私を放して口に瓶の口を突っ込んできた。流れ込んでくる液体を飲むと、急に左側の視界が復活した。欠損部位を再生する部位再生薬だ。普通の回復薬が一つ千Gなのに、部位再生薬は一つ十万Gもする高級品だった。
それを迷わず、使ってくれた。アク姉は、そんな判断が出来るくらいには稼いでいると思うけど、仮にそうでなくても使ってくれるはず。
それを狙ってはいなかったから、ちょっと驚いたけど。
「そんじゃあ、話を聞かせて貰うか。アカリも一緒に聞いておけ」
「あ、はい」
フレ姉は、ソファから立ち上がって、アカリをソファに座らせた。自分は、近くにある椅子を持ってきて座る。私とアク姉もソファに座る。私が真ん中で左右にアカリとアク姉がいるという感じだ。
「そんで、雨男から獲ったスキルってのは、どれだ?」
「これ」
私は、自分のスキルを見せる。
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ハク:【剣Lv64】【短剣Lv60】【双剣Lv50】【武闘術Lv15】【真祖Lv19】【血液武装Lv21】【操影Lv15】【使役(蝙蝠)Lv25】【執行者Lv66】【剛力Lv42】【豪腕Lv58】【豪脚Lv36】【駿足Lv31】【防鱗Lv12】【未来視Lv3】
控え:【武芸百般Lv1】【魔法才能Lv46】【水魔法才能Lv8】【支援魔法才能Lv45】【HP強化Lv63】【MP強化Lv20】【物理攻撃強化Lv64】【物理防御強化Lv36】【魔法防御強化Lv26】【神脚Lv42】【器用さ強化Lv30】【運強化Lv55】【視覚強化Lv33】【聴覚強化Lv39】【腕力強化Lv12】【毒耐性Lv25】【麻痺耐性Lv6】【呪い耐性Lv1】【沈黙耐性Lv4】【暗闇耐性Lv1】【怒り耐性Lv5】【眠り耐性Lv1】【混乱耐性Lv23】【気絶耐性Lv1】【消化促進Lv53】【竜血Lv34】【登山Lv6】【毒霧Lv2】【毒液Lv2】【捕食Lv16】【狂気Lv5】【擬態Lv10】【夜霧Lv18】【感知Lv35】【言語学Lv33】
SP:245
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「あ? 【未来視】まで取ったのか。使えるのか?」
「頭痛い」
「らしいな。まぁ、それは置いておくが、この【武芸百般】ってやつだな」
「うん。基礎の武器スキルとその派生、【盾】とその派生、【水泳】【騎乗】の効果を受けられるけど、技は覚えられないみたい」
【武芸百般】の説明を終えると、フレ姉は目を閉じて考え始める。
「ねぇ、ハクちゃん。武器以外のスキルは、【水泳】と【騎乗】だけ?」
フレ姉が黙る代わりに、アク姉が質問してきた。
「うん」
「武芸百般なんだ。武に関するものが統合されるんだろう」
フレ姉が目を開いてそう言った。考え事は終わったみたいだ。
「じゃあ、アカリちゃんの【細剣】や姉さんの【剛槍】は?」
フレ姉の武に関するものという言葉から、【細剣】や【剛槍】などが省かれていると、アク姉は思ったみたい。付け加えるなら、私の【双剣】も省かれている。
「それは、私も考えた。恐らくだが、派生も含めて基礎スキルという認識なんじゃねぇか? 武芸に必要な基礎スキルに加えて、馬に乗るための【騎乗】、水路を渡るための【水泳】が含まれるんだろう」
「基礎の寄せ集めで、それを一定レベルまで上げないといけないから、そもそも技を得られないデメリットが関係ない。そういうスキルって事?」
アク姉も、私と同じ考えに至ったみたい。統合するって事は、レベルが上がっているという風に考えられるからね。もしかしたら、例外があるかもしれないけど。
「一番に考えられるのはな。お前の魔法スキルも、全部一定レベルまで上げていたら、全属性のスキルとして統合されたのかもしれねぇな」
全ての基礎武器スキルが統合されるのであれば、魔法も同じように統合される可能性がある。確かに、【武芸百般】のスキルを見ると、その可能性はあるように思える。
「全属性魔法スキルかぁ……微妙だなぁ。進化した今の方が有り難い気がするし」
「まぁ、可能性だ。だが、これで統合のシステムの落とし穴が見えてくるな」
「一度統合してしまえば、他の統合には使えないって事でしょ? これって、進化にも言えるよね?」
統合と進化の落とし穴。一度してしまえば、戻す事は出来ない。つまり、進化や統合に使ったスキルが必要な進化と統合が出来ないという事になる。派生に関しては、何とも言えない。何が要因になって派生するのかの確定情報がないからだ。統合と進化では、大体説明やお知らせで分かるのだけどね。
「そうだ。無闇矢鱈に進化、統合するのは、考えものだな。これまで、同じスキルを使った統合が見つかっていねぇのが、気軽に進化や統合をしやすい空気を出していたって感じだな」
フレ姉の知っているものの中では、一つのスキルが複数の統合に使われるものはないみたい。ギルド運営をしているフレ姉が知らないとなると、本当に出回っていないのだと思う。
「あっ、そういえば、ハクちゃんって、モンスターだけが持っているスキルを手に入れられるんだよね?」
「えっ、あ、うん。本当にモンスターだけなのかは分からないけど、スキル収得欄にないスキルがいくつもあるよ」
アク姉とフレ姉で話していたところに、急に話を振られたから、一瞬だけ戸惑っちゃった。こういうとき、アク姉とフレ姉の会話を聞いているだけで勉強になるから、そのまま聞く方に集中しちゃうんだよね。
「【武芸百般】も、ここに含まれないかな?」
アク姉の可能性は、当然あり得るものだ。私も自分が獲得したスキルに関しては、収得欄から取れるスキルなのかどうかの完全な判別はついていない。大抵は、その場で取れないからそうだろうという感じで判断している。
「それもあり得るが、武器に関しては、モンスターだけが持つスキルに含まれねぇと見てる。剣も槍も私達に使えるもんだからな。モンスター系のスキルは、恐らく人から外れたスキルが、多く当てはまるんだろう」
武器は、私達プレイヤーにとって重要なものだ。このメンバーの武器スキルから見ても、その種類は多い。そう考えれば、武器系のスキルに関しては、全て私達が取れると言って良いのかもしれない。ただ、これは、根拠に欠けるので、完全にフレ姉の考えというだけだ。
「プレイヤーが取れてもおかしくない【脚力強化】や【腕力強化】は?」
「私達が条件を満たしていないか、単純にモンスター系かだな。全てが全て、人外スキルってわけじゃないんだろう」
未だフレ姉もアク姉も【脚力強化】と【腕力強化】を手に入れられていない。つまり、これもモンスターからしか獲れないスキルという可能性が濃厚になってくる。他のスキルに関しては、正直、フレ姉の言う通り人外のスキルという印象が強い。
「それじゃあ、基本的にプレイヤーに表示されないスキルは、人が持たないようなスキルって感じ?」
「そういう事だ。この事から【武芸百般】は、モンスターだけが持つスキルというより、私達でも取れる武器系統スキルと見ていいだろう。【水泳】と【騎乗】が邪魔だが、他は全部武器系統だしな」
【武芸百般】に関しては、統合スキルであるというのが、私達の考えとして固まった。
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