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真冬と真夏の吸血少女
当然の如く快諾
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私は、迷わずにアカリエの中に入った。そのまま裏の工房まで来た。アカリは、すぐに私に気付いて、こっちを振り向いた。
「アカリ」
「いらっしゃい。ギルドを作るの?」
ここに来た用事を、即座に見抜かれた。まぁ、アカリなら、このくらい分かってもおかしくないかも。そのくらいの付き合いはあるし。
「正解。頼める?」
「当たり前でしょ。ギルドエリアでの物作りは任せて。快適空間に仕上げてあげる。ところで、決め手は?」
私がギルドを作るという決断をした理由は、アカリも気になるみたい。これまでどのゲームでもギルドを作らなかったし、所属もしなかったから、余計に気になるのだと思う。
「スノウの安全と私の安寧かな」
家を買うと、周囲のプレイヤーから注目を受ける可能性がある。出待ちなども考慮にいれると、誰も近づけないギルドエリアが、一番安全で心の安らぎを得られると判断した。
「はぁ~……私は、ただのんびりと出来れば良いだけなのになぁ……」
思わずため息が溢れる。このゲームが人気だからこそ、そういう人達も他のゲームより多くなってしまうのは仕方ないとは思う。ある程度割り切る事は出来るけど、迷惑だなとは思うし、うざったいなとも思ってしまうのは、仕方ない事だろう。
「まぁ、のんびりするために、ギルドエリアを買うって考えれば良いんじゃない? アンケートの結果で、要望が通らないって分かったから、PKをしたい人達が直接動く確率は減ったけど、まだ怪しいと言えば怪しいし、一旦冒険を休んでもいいと思うよ。他にも、やりたい事はあるでしょ?」
「まぁ、そうだね」
アカリの言う通り、海エリアの探索の他にも、私にはやりたい事がある。それは、溜まりに溜まったクエストを進める事だ。色々なクエストのキーアイテムを手に入れた結果、私の進行中のクエストは、結構多い。
ただ、それらを進めるには、本を読む必要がある。家に籠もるって事は出来ないけど、図書館に籠もる事にはなると思う。外に出なければ、私に近寄ってくるような相手も減るかな。ただ、これには、スノウが一人で留守番出来る環境が出来ている事が前提になる。さすがに、前みたいにずっと図書館に籠もっていたら、スノウは何時間も空を飛びっぱなしになってしまうわけだし。
「それじゃあ、ポートタウンに行こうか。もしかしたら、面倒くさい事になるかもだけど」
「面倒上等。私が、ハクちゃんを守ってあげる」
「どうも。無理はしないでね」
「ハクちゃんもね」
互いに笑い掛け合いながら、アカリエを出て、ウェットタウンに転移した。スノウも一緒に転移しているだろうけど、相変わらず、ここからでは見えない。
「さてと、取り敢えず、アカリをポートタウンに連れて行かないとね」
「うん」
「海のモンスターも、そこまでの強さがあるわけじゃないから、アカリでも大丈夫だと思う」
「それは、どうだろうね。ハクちゃんは、自分が思っているよりも強いから」
確かに、ソルさんとの戦いに身体が付いていった事から、私が成長しているのは間違いない。それでも、私が強いかって訊かれたら、否って答える気がする。
「まぁ、試してみれば良いよ」
そう言って、ウェットタウンを出る。
「スノウ、おいで」
呼び掛けると、すぐにスノウが降りてきた。いきなり現れたスノウに、アカリは、目を点にしていた。
「この子がスノウ。スノウ、こっちはアカリ。私の親友だよ」
『グル? ガァ!』
首を捻っていたけど、すぐにアカリの方を見て挨拶していた。取り敢えず、私の友達だという事は分かってくれたみたいだ。
「本当に雪原の氷炎竜なんだ……」
「うん。だから、目立っちゃうんだよね。まぁ、完全にバレた今となっては、もうどうでも良い事だけど。スノウ、ジャイアントトードのところまで乗せてくれる?」
『ガァ!!』
スノウは、【矮小化】を解いて、元の大きさになる。口をあんぐりと開けているアカリをお姫様抱っこして、スノウの背中に飛び乗る。
「【騎乗】は持ってないよね?」
「う、うん」
「じゃあ、このまま抱えていた方が安全かな。取り敢えず、膝の上にいて」
「わ、分かった」
アカリはそう言って、私の首に手を回して、力を込めた。そこまでする必要があるか分からないけど、安全を考えたら、しっかりと捕まってくれる方が有り難い。
「良いよ」
スノウに声を掛ける。すると、スノウが飛び上がった。しがみつくアカリの力が上がる。私は、昨日の経験があるから、そこまで怖いという感情はなかった。
「やっぱ、夜の方が良いね」
昨日のスノウの背中は、太陽に近かったからか、若干怠さが強くなっていた。まぁ、その前に気分が悪くなるような出来事があったってのもあるかもしれないけど。
「ハクちゃんは、大丈夫なんだね……」
「【武芸百般】があるからね。態々【騎乗】を取る必要はないけど、【騎乗】の上位スキルは取れないから、取っておいた方が良いのかもしれないけどね。取り敢えず、アカリが落ちるとかがなくて良かったよ。【騎乗】の範囲に、アカリも入った感じかな。私が持っているから、私の持ち物的な」
「ハクちゃんのものって言われるのは嬉しいけど、ちょっと複雑かも」
「嬉しいの? アカリは、やっぱり変わってるね」
「ハクちゃんに言われたくない」
そんな軽口を叩いていると、スノウが高度を下げた。街を出て二分くらいだけど、もうボスエリアに着いたみたい。普通に移動したら、二十分くらい掛かる事を考えると、かなりの時短だ。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
ボスエリアに転移して、ジャイアントトードの元まで向かうと、上から突撃したスノウが踏み潰したところだった。さらに、念を入れてブレスまで吐いている。完全にオーバーキルだ。惨いを通り越して、哀れに思えてきた。
「結構、大胆な子なんだね」
「まぁね。頼もしいよ」
ジャイアントトードは倒したので、海エリアに転移する。
「わぁ……海って感じ! 水着!」
「それは、また今度ね。スノウ、もう一回乗せてくれる?」
『ガァ!』
もう一度スノウに乗って、ポートタウンの近くまで移動する。
「それじゃあ、スノウは、空で待ってて」
『ガァ!』
蟹肉を与えて、スノウを空に見送る。
「凄いね。これなら、移動も楽じゃん」
「まぁ、そこは嬉しい部分でもあるけど、悩ましい部分でもあるんだよね。やっぱり、しっかりと探索はしておかないと、隠されたエリアとかもあるからさ」
「確かに、ハクちゃんが言うと説得力あるね」
「あそこを見つけたのは、偶然だけどね」
そんな話をしながらポートタウンに入ると、周囲の視線が私達に集中した。人混みに紛れる前に気付かれたので、【擬態】も効果を発揮しない。
「さっさと、ギルド作っちゃおう」
「うん」
私を避けるように、道が空いている。避けられている事には、特に何も思わないけど、ジロジロと見ないで欲しいとは思ってしまう。
そのまま、広場まで歩くと、昨日程の人で溢れていない事に気付いた。その理由は、ギルド会館前にいた昨日の人達がいないからだと思われる。あそこへのアピール合戦が原因だったわけだから。
「あそこが、目的地のギルド会館。今日は、人が少なくて良かった」
「昨日は、もっといたんだ? 掲示板とかに書かれていたやつかな?」
「多分そうかな。とにかく、さっさと中に入って、設立の申請をしよう」
「うん」
私達は、広場を突っ切ってギルド会館へと向かう。
「アカリ」
「いらっしゃい。ギルドを作るの?」
ここに来た用事を、即座に見抜かれた。まぁ、アカリなら、このくらい分かってもおかしくないかも。そのくらいの付き合いはあるし。
「正解。頼める?」
「当たり前でしょ。ギルドエリアでの物作りは任せて。快適空間に仕上げてあげる。ところで、決め手は?」
私がギルドを作るという決断をした理由は、アカリも気になるみたい。これまでどのゲームでもギルドを作らなかったし、所属もしなかったから、余計に気になるのだと思う。
「スノウの安全と私の安寧かな」
家を買うと、周囲のプレイヤーから注目を受ける可能性がある。出待ちなども考慮にいれると、誰も近づけないギルドエリアが、一番安全で心の安らぎを得られると判断した。
「はぁ~……私は、ただのんびりと出来れば良いだけなのになぁ……」
思わずため息が溢れる。このゲームが人気だからこそ、そういう人達も他のゲームより多くなってしまうのは仕方ないとは思う。ある程度割り切る事は出来るけど、迷惑だなとは思うし、うざったいなとも思ってしまうのは、仕方ない事だろう。
「まぁ、のんびりするために、ギルドエリアを買うって考えれば良いんじゃない? アンケートの結果で、要望が通らないって分かったから、PKをしたい人達が直接動く確率は減ったけど、まだ怪しいと言えば怪しいし、一旦冒険を休んでもいいと思うよ。他にも、やりたい事はあるでしょ?」
「まぁ、そうだね」
アカリの言う通り、海エリアの探索の他にも、私にはやりたい事がある。それは、溜まりに溜まったクエストを進める事だ。色々なクエストのキーアイテムを手に入れた結果、私の進行中のクエストは、結構多い。
ただ、それらを進めるには、本を読む必要がある。家に籠もるって事は出来ないけど、図書館に籠もる事にはなると思う。外に出なければ、私に近寄ってくるような相手も減るかな。ただ、これには、スノウが一人で留守番出来る環境が出来ている事が前提になる。さすがに、前みたいにずっと図書館に籠もっていたら、スノウは何時間も空を飛びっぱなしになってしまうわけだし。
「それじゃあ、ポートタウンに行こうか。もしかしたら、面倒くさい事になるかもだけど」
「面倒上等。私が、ハクちゃんを守ってあげる」
「どうも。無理はしないでね」
「ハクちゃんもね」
互いに笑い掛け合いながら、アカリエを出て、ウェットタウンに転移した。スノウも一緒に転移しているだろうけど、相変わらず、ここからでは見えない。
「さてと、取り敢えず、アカリをポートタウンに連れて行かないとね」
「うん」
「海のモンスターも、そこまでの強さがあるわけじゃないから、アカリでも大丈夫だと思う」
「それは、どうだろうね。ハクちゃんは、自分が思っているよりも強いから」
確かに、ソルさんとの戦いに身体が付いていった事から、私が成長しているのは間違いない。それでも、私が強いかって訊かれたら、否って答える気がする。
「まぁ、試してみれば良いよ」
そう言って、ウェットタウンを出る。
「スノウ、おいで」
呼び掛けると、すぐにスノウが降りてきた。いきなり現れたスノウに、アカリは、目を点にしていた。
「この子がスノウ。スノウ、こっちはアカリ。私の親友だよ」
『グル? ガァ!』
首を捻っていたけど、すぐにアカリの方を見て挨拶していた。取り敢えず、私の友達だという事は分かってくれたみたいだ。
「本当に雪原の氷炎竜なんだ……」
「うん。だから、目立っちゃうんだよね。まぁ、完全にバレた今となっては、もうどうでも良い事だけど。スノウ、ジャイアントトードのところまで乗せてくれる?」
『ガァ!!』
スノウは、【矮小化】を解いて、元の大きさになる。口をあんぐりと開けているアカリをお姫様抱っこして、スノウの背中に飛び乗る。
「【騎乗】は持ってないよね?」
「う、うん」
「じゃあ、このまま抱えていた方が安全かな。取り敢えず、膝の上にいて」
「わ、分かった」
アカリはそう言って、私の首に手を回して、力を込めた。そこまでする必要があるか分からないけど、安全を考えたら、しっかりと捕まってくれる方が有り難い。
「良いよ」
スノウに声を掛ける。すると、スノウが飛び上がった。しがみつくアカリの力が上がる。私は、昨日の経験があるから、そこまで怖いという感情はなかった。
「やっぱ、夜の方が良いね」
昨日のスノウの背中は、太陽に近かったからか、若干怠さが強くなっていた。まぁ、その前に気分が悪くなるような出来事があったってのもあるかもしれないけど。
「ハクちゃんは、大丈夫なんだね……」
「【武芸百般】があるからね。態々【騎乗】を取る必要はないけど、【騎乗】の上位スキルは取れないから、取っておいた方が良いのかもしれないけどね。取り敢えず、アカリが落ちるとかがなくて良かったよ。【騎乗】の範囲に、アカリも入った感じかな。私が持っているから、私の持ち物的な」
「ハクちゃんのものって言われるのは嬉しいけど、ちょっと複雑かも」
「嬉しいの? アカリは、やっぱり変わってるね」
「ハクちゃんに言われたくない」
そんな軽口を叩いていると、スノウが高度を下げた。街を出て二分くらいだけど、もうボスエリアに着いたみたい。普通に移動したら、二十分くらい掛かる事を考えると、かなりの時短だ。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
ボスエリアに転移して、ジャイアントトードの元まで向かうと、上から突撃したスノウが踏み潰したところだった。さらに、念を入れてブレスまで吐いている。完全にオーバーキルだ。惨いを通り越して、哀れに思えてきた。
「結構、大胆な子なんだね」
「まぁね。頼もしいよ」
ジャイアントトードは倒したので、海エリアに転移する。
「わぁ……海って感じ! 水着!」
「それは、また今度ね。スノウ、もう一回乗せてくれる?」
『ガァ!』
もう一度スノウに乗って、ポートタウンの近くまで移動する。
「それじゃあ、スノウは、空で待ってて」
『ガァ!』
蟹肉を与えて、スノウを空に見送る。
「凄いね。これなら、移動も楽じゃん」
「まぁ、そこは嬉しい部分でもあるけど、悩ましい部分でもあるんだよね。やっぱり、しっかりと探索はしておかないと、隠されたエリアとかもあるからさ」
「確かに、ハクちゃんが言うと説得力あるね」
「あそこを見つけたのは、偶然だけどね」
そんな話をしながらポートタウンに入ると、周囲の視線が私達に集中した。人混みに紛れる前に気付かれたので、【擬態】も効果を発揮しない。
「さっさと、ギルド作っちゃおう」
「うん」
私を避けるように、道が空いている。避けられている事には、特に何も思わないけど、ジロジロと見ないで欲しいとは思ってしまう。
そのまま、広場まで歩くと、昨日程の人で溢れていない事に気付いた。その理由は、ギルド会館前にいた昨日の人達がいないからだと思われる。あそこへのアピール合戦が原因だったわけだから。
「あそこが、目的地のギルド会館。今日は、人が少なくて良かった」
「昨日は、もっといたんだ? 掲示板とかに書かれていたやつかな?」
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