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高く光へ昇り深く闇へ沈む吸血少女
煉獄の双頭犬
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スノウに乗っていった場所には、いつものボスエリアへの転移場所があった。このまま深き森の双頭犬のボスに挑む事が出来そうだ。
「じゃあ、これからボスに挑むけど、レインとスノウは拘束に集中して。私はボスの血を吸うから」
『ガァ!』
『うん!』
役割分担をしっかりとしてから、私達はボスエリアへと転移した。転移した先も森の中だったけど、正面に開けた場所が見えていた。そこに、三メートルくらいのオルトロスが眠っていた。名前は、パーガトリーオルトロス。意味は分からない。
ただ、予定外の事もあった。それは、その周囲に多数のオルトロスがいた事だった。数は、数えるのも嫌になるくらいだ。森の中にも潜んでいる。
「予定変更。スノウ、周囲のオルトロスを殲滅して。レインは、ボスの拘束をして。完全な拘束じゃなくても良いから」
『ガァ!!』
『うん。任せて!』
二人の頼もしさは、ずっと変わらない。スノウが飛び立ったのと同時に、私とレインも駆け出す。
私達に気付いたパーガトリーオルトロスとオルトロス達が顔を上げる。そこにスノウがブレスを吐く。取り巻きのオルトロス達が凍り付いていき、それをレインが操って森からの侵入を拒む壁代わりにしていく。その中で、自分の手を噛んで出血状態にして、月影に【血液武装】を使ってから、パーガトリーオルトロスに向かって投げつける。片方の頭の左目に命中して、その頭が怯む。その間に、日影に血を纏わせて刀にする。
「【解放・陽光】」
攻撃力と防御力を上げる。同時に高速移動で怯ませた首に突っ込んで斬る。この一回で斬り落とす事が出来れば、かなり楽になるだろうと思ったのだけど、クリティカルダメージを与えられただけで、落とすところまではいかなかった。
背後に着地したところで、怯んでいない方の首が私を追ってきて、口から炎を吐き出した。まさか炎を出すとは思わなかったから驚いた。でも、それだけ。何故なら、私の周囲を水が囲っていたからだ。
「ありがとう、レイン」
『どうする?』
「予定通り。私が沈めるから、拘束して」
『うん!』
ブレスが終わった直後、私は【空力】も利用して、空高く跳び上がった。
「【震転脚】」
パーガトリーオルトロスの身体に踵落としを決め、身体を地面にめり込ませる。同時に【大地操作】で足元の土を陥没させて、より深くめり込ませた。そこに、レインが水を流し込んで固める。更に、口を凍らせて、さっきの炎を封じる。
『う~ん……長く保たないかも』
「十分」
身体に飛び乗って、日影を突き刺す。突き刺した血の刃を変形させて、かえしを作る。これで、そう簡単には抜けないはず。そのまま身体に噛み付いて、吸血を始める。HPの減り具合から考えて、このまま五分くらいで倒せると思う。このままだったらの話だけど。
パーガトリーオルトロスは、その身体を炎で包んだ。ついでに、くっついている私も燃えた。でも、ダメージは、そこまで酷くない。霊峰のブレスレットに含まれる【火属性耐性+】と【竜鱗】のおかげかな。
この炎によるダメージは、【始祖の吸血鬼】によるHP吸収で耐えられる。ただ、その事を気にする必要はなくなった。さっきと同じようにレインが、私を水で覆ってくれたからだ。私が呼吸をするための通り道はしっかりと作ってくれているので、苦しくはない。びしょ濡れだけど。
血を吸い始めて三分で、拘束から抜け出された。でも、刀を刺しているから振り下ろされずに血を吸い続けられる。
でも、口を塞いでいる氷も解かれてしまったので、私に向かって炎が吐き出される。しかも、二つの首からだ。
「【慈悲たる恵】」
レインの魔法で、天候が雨になった。同時に、パーガトリーオルトロスの炎の威力が落ちる。でも、レインの狙いは、そこじゃなかった。降り注ぐ雨を集めて、操る水の量を増やしたのだ。その水を使って、パーガトリーオルトロスの身体を凍結させていく。パーガトリーオルトロスが炎を纏っても、それを即座に消火している。
ついでに、スノウが戦っているオルトロス達の妨害もしているみたいだ。レインの万能さがよく分かる。
レインの妨害もあり、そのままパーガトリーオルトロスの血を吸い尽くした。
『【始祖の吸血鬼】により、パーガトリーオルトロスから【炎装術】を獲得。【操炎Lv50】の進化のため、以上のスキルが収得不可能となります』
【操炎】の先を手に入れてしまった。まぁ、手に入れたら結局進化させるから、手間が省けたと考えよう。
「うぷっ……レイン、水頂戴」
『うん』
レインが操って目の前に持ってきてくれた水を飲む。喉が焼けるような感じがするけど、超強い炭酸って思えば、気にならない。
パーガトリーオルトロスは倒したけど、まだボス戦は終わっていなかった。周囲にいるオルトロスがいるからだ。ちまちま倒すしかないかと思ったら、私の周囲を氷が覆った。直後に、どんどんとオルトロスの反応が消えていった。
「もしかして、スノウが大暴れ?」
『うん。私がやってもよかったけど、スノウがやってくれた』
レインが氷の壁を消してくれると、スノウがやった事が分かった。上空から無差別にブレスを吐きまくったみたい。あっちこっちに氷柱が出来上がっている。
『ガァ!!』
【矮小化】を発動したスノウが目の前に降りてくる。
「殲滅してくれてありがとう」
スノウを労いながら、頭から首に掛けて撫でてあげる。もう片方の手で、レインの頭も撫でてあげる。
そんな私の前にウィンドウが出て来る。
『パーガトリーオルトロスを討伐しました。称号【双頭犬を狩る者】を獲得しました』
────────────────────────
【双頭犬を狩る者】:双頭犬系モンスターとの戦闘時、攻撃力が一・五倍になる
────────────────────────
深き森の双頭犬のダンジョン限定の称号かな。ボスまで倒せば、周回が楽になるって感じだと思う。ダンジョンの宝箱は、周回してでも開けたいと思えるものだろうし、称号効果としては、かなり良い物だと思う。
このダンジョン攻略で得られた素材は、双頭、オルトロスの毛皮、オルトロスの牙、オルトロスの爪、リーダーの双頭、オルトロスリーダーの毛皮、オルトロスリーダーの牙、オルトロスリーダーの爪、煉獄の双頭、煉獄双頭犬の毛皮、煉獄双頭犬の炎牙、煉獄双頭犬の爪、煉獄双頭犬の核だった。オルトロスとオルトロスリーダーの素材は、滅茶苦茶溜まったので、一部を共有ストレージに入れて、後は売ろうかな。
そんな事を考えながら、称号のウィンドウを閉じると、今度はダンジョンから出るかのウィンドウが出て来る。
「それじゃあ、今日はお疲れ様。【送還・スノウ】【送還・レイン】」
二人をギルドエリアに帰してから、YESを押してダンジョンを出る。ダンジョンの入口付近に転移してきた直後に、【第六感】が反応して、迷わず正面に向かって高速移動する。その直後に、さっきまで私がいた場所に雷が落ちる。
「…………」
唐突な出来事に言葉が出ない。でも、ここで困惑している暇などなかった。雷が落ちた場所に帯電した紫色の馬がいたからだ。名前は、ライトニングホース。東の森にこんなモンスターがいた事は知らないので、恐らくエンカウントボスだ。
「じゃあ、これからボスに挑むけど、レインとスノウは拘束に集中して。私はボスの血を吸うから」
『ガァ!』
『うん!』
役割分担をしっかりとしてから、私達はボスエリアへと転移した。転移した先も森の中だったけど、正面に開けた場所が見えていた。そこに、三メートルくらいのオルトロスが眠っていた。名前は、パーガトリーオルトロス。意味は分からない。
ただ、予定外の事もあった。それは、その周囲に多数のオルトロスがいた事だった。数は、数えるのも嫌になるくらいだ。森の中にも潜んでいる。
「予定変更。スノウ、周囲のオルトロスを殲滅して。レインは、ボスの拘束をして。完全な拘束じゃなくても良いから」
『ガァ!!』
『うん。任せて!』
二人の頼もしさは、ずっと変わらない。スノウが飛び立ったのと同時に、私とレインも駆け出す。
私達に気付いたパーガトリーオルトロスとオルトロス達が顔を上げる。そこにスノウがブレスを吐く。取り巻きのオルトロス達が凍り付いていき、それをレインが操って森からの侵入を拒む壁代わりにしていく。その中で、自分の手を噛んで出血状態にして、月影に【血液武装】を使ってから、パーガトリーオルトロスに向かって投げつける。片方の頭の左目に命中して、その頭が怯む。その間に、日影に血を纏わせて刀にする。
「【解放・陽光】」
攻撃力と防御力を上げる。同時に高速移動で怯ませた首に突っ込んで斬る。この一回で斬り落とす事が出来れば、かなり楽になるだろうと思ったのだけど、クリティカルダメージを与えられただけで、落とすところまではいかなかった。
背後に着地したところで、怯んでいない方の首が私を追ってきて、口から炎を吐き出した。まさか炎を出すとは思わなかったから驚いた。でも、それだけ。何故なら、私の周囲を水が囲っていたからだ。
「ありがとう、レイン」
『どうする?』
「予定通り。私が沈めるから、拘束して」
『うん!』
ブレスが終わった直後、私は【空力】も利用して、空高く跳び上がった。
「【震転脚】」
パーガトリーオルトロスの身体に踵落としを決め、身体を地面にめり込ませる。同時に【大地操作】で足元の土を陥没させて、より深くめり込ませた。そこに、レインが水を流し込んで固める。更に、口を凍らせて、さっきの炎を封じる。
『う~ん……長く保たないかも』
「十分」
身体に飛び乗って、日影を突き刺す。突き刺した血の刃を変形させて、かえしを作る。これで、そう簡単には抜けないはず。そのまま身体に噛み付いて、吸血を始める。HPの減り具合から考えて、このまま五分くらいで倒せると思う。このままだったらの話だけど。
パーガトリーオルトロスは、その身体を炎で包んだ。ついでに、くっついている私も燃えた。でも、ダメージは、そこまで酷くない。霊峰のブレスレットに含まれる【火属性耐性+】と【竜鱗】のおかげかな。
この炎によるダメージは、【始祖の吸血鬼】によるHP吸収で耐えられる。ただ、その事を気にする必要はなくなった。さっきと同じようにレインが、私を水で覆ってくれたからだ。私が呼吸をするための通り道はしっかりと作ってくれているので、苦しくはない。びしょ濡れだけど。
血を吸い始めて三分で、拘束から抜け出された。でも、刀を刺しているから振り下ろされずに血を吸い続けられる。
でも、口を塞いでいる氷も解かれてしまったので、私に向かって炎が吐き出される。しかも、二つの首からだ。
「【慈悲たる恵】」
レインの魔法で、天候が雨になった。同時に、パーガトリーオルトロスの炎の威力が落ちる。でも、レインの狙いは、そこじゃなかった。降り注ぐ雨を集めて、操る水の量を増やしたのだ。その水を使って、パーガトリーオルトロスの身体を凍結させていく。パーガトリーオルトロスが炎を纏っても、それを即座に消火している。
ついでに、スノウが戦っているオルトロス達の妨害もしているみたいだ。レインの万能さがよく分かる。
レインの妨害もあり、そのままパーガトリーオルトロスの血を吸い尽くした。
『【始祖の吸血鬼】により、パーガトリーオルトロスから【炎装術】を獲得。【操炎Lv50】の進化のため、以上のスキルが収得不可能となります』
【操炎】の先を手に入れてしまった。まぁ、手に入れたら結局進化させるから、手間が省けたと考えよう。
「うぷっ……レイン、水頂戴」
『うん』
レインが操って目の前に持ってきてくれた水を飲む。喉が焼けるような感じがするけど、超強い炭酸って思えば、気にならない。
パーガトリーオルトロスは倒したけど、まだボス戦は終わっていなかった。周囲にいるオルトロスがいるからだ。ちまちま倒すしかないかと思ったら、私の周囲を氷が覆った。直後に、どんどんとオルトロスの反応が消えていった。
「もしかして、スノウが大暴れ?」
『うん。私がやってもよかったけど、スノウがやってくれた』
レインが氷の壁を消してくれると、スノウがやった事が分かった。上空から無差別にブレスを吐きまくったみたい。あっちこっちに氷柱が出来上がっている。
『ガァ!!』
【矮小化】を発動したスノウが目の前に降りてくる。
「殲滅してくれてありがとう」
スノウを労いながら、頭から首に掛けて撫でてあげる。もう片方の手で、レインの頭も撫でてあげる。
そんな私の前にウィンドウが出て来る。
『パーガトリーオルトロスを討伐しました。称号【双頭犬を狩る者】を獲得しました』
────────────────────────
【双頭犬を狩る者】:双頭犬系モンスターとの戦闘時、攻撃力が一・五倍になる
────────────────────────
深き森の双頭犬のダンジョン限定の称号かな。ボスまで倒せば、周回が楽になるって感じだと思う。ダンジョンの宝箱は、周回してでも開けたいと思えるものだろうし、称号効果としては、かなり良い物だと思う。
このダンジョン攻略で得られた素材は、双頭、オルトロスの毛皮、オルトロスの牙、オルトロスの爪、リーダーの双頭、オルトロスリーダーの毛皮、オルトロスリーダーの牙、オルトロスリーダーの爪、煉獄の双頭、煉獄双頭犬の毛皮、煉獄双頭犬の炎牙、煉獄双頭犬の爪、煉獄双頭犬の核だった。オルトロスとオルトロスリーダーの素材は、滅茶苦茶溜まったので、一部を共有ストレージに入れて、後は売ろうかな。
そんな事を考えながら、称号のウィンドウを閉じると、今度はダンジョンから出るかのウィンドウが出て来る。
「それじゃあ、今日はお疲れ様。【送還・スノウ】【送還・レイン】」
二人をギルドエリアに帰してから、YESを押してダンジョンを出る。ダンジョンの入口付近に転移してきた直後に、【第六感】が反応して、迷わず正面に向かって高速移動する。その直後に、さっきまで私がいた場所に雷が落ちる。
「…………」
唐突な出来事に言葉が出ない。でも、ここで困惑している暇などなかった。雷が落ちた場所に帯電した紫色の馬がいたからだ。名前は、ライトニングホース。東の森にこんなモンスターがいた事は知らないので、恐らくエンカウントボスだ。
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