吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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世界を楽しむ吸血少女

中盤戦での【蒼天】

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 イベントも中盤に入り、プレイヤーとの遭遇率も減ってきた。

「う~ん……私達の他でつぶし合いが起きてる感じかなぁ。これじゃあ、優勝は難しそうだね」
「そうなの? 結構倒した気がするけど」
「うん。もっと倒してないと、厳しいと思う。集団と戦えたら余裕だと思うけど。まぁ、自分達のペースで行こう。もしかしたら、最後に残れるかもしれないし」
「そうだね」

 アカリと二人で歩いていると、【心眼開放】の第六感が反応した。真横からの攻撃。即座にアカリを背後に庇いつつ、黒百合を取り出し飛んでくる火の槍を打ち払う。続いて、【心眼開放】のスローモーション内で、複数の雷撃が飛んで来ている事が分かった。【吸雷】で雷撃を吸収しつつ【雷電武装】で人斬りに纏わせる。同時に、【暴風武装】で風を纏わせて雷を伴った風の刃を攻撃してきた相手に向かって飛ばす。
 この風の刃は白い盾を持った男性っぽいタンクに防がれた。その後ろには、紫色のドレスみたいな服を着た魔法使いの女性がいる。

「中々に厄介な相手みたいだ」

 タンクの人が私を見ながらそう言う。声が高いので、もしかしたら女性なのかな。見た目が綺麗でイケメン的な雰囲気を持っているので、男装の麗人みたいな感じもする。
 こっちを厄介と言ったけど、向こうも厄介そうだ。ひとまず、場を乱すために【魅了の魔眼】と【呪いの魔眼】を同時に使い、後ろに魔法使いを魅了状態と呪い状態にする。MPを減らしつつ相手をこっちの傀儡にする。

「何っ!?」

 ただ見ただけで魅了状態にされたので、タンクの人も驚いていた。背後から魔法使いに攻撃される。取り敢えず、タンクの人にも【吸魔の魔眼】を使ってMPを吸い取りつつ、アカリと接近する。先にアカリが爆弾を投げて、相手を牽制する。タンクは爆破で蹌踉めく。そこに、魅了で錯乱している魔法使いがタンクに魔法を撃つ。
 熟練のタンクみたいで、魔法も爆弾もしっかりと防いでいる。そこに、足元から血液の杭と土の杭を突き出して、攻撃する。鎧の隙間に入れるつもりだったけど、突き出た杭を全て打ち払われて防がれた。
 そのタイミングで、魔法使いの魅了状態が解ける。

「はっ! わ、私……」
「良いから。油断しないで」
「う、うん!」

 再び魅了状態にしておこうと思ったのだけど、それを先読みしたタンクに視線を遮られた。盾で身体を守っているので、タンクにも魅了状態が付与出来ない。でも、それは相手が動けないという事。【竜王息吹】で二人を焼く。勿論、これはタンクの盾に防がれる。さらに、正気に戻った魔法使いが水の膜を張る。【支配(水)】で剥がすのもありだけど、ここは【属性結合】で炎と水を結合させ水蒸気爆発を引き起こす。その衝撃波は、私の【暴風武装】で防げる。でも、相手は違う。水蒸気爆発の衝撃を諸に受けていた。
 風を使って爆発で生じた煙を晴らし、【電光石火】で背後の魔法使いの元まで突っ込む。そして、【影武装】と【暗黒武装】で影と闇を纏わせて、魔法使いの首目掛けて人斬りを振う。
 それをタンクが、ギリギリのところで防いで来た。盾で人斬りを受け止める。それは読んでいた。だから、耐久を削りやすい影と闇を纏わせた。ここに【腐食】も加わるので、耐久値の削れは、かなりのものになる。そこから、わざとタンクが反応出来る速度で高速移動を繰り返して、今度はタンクを狙う。ここからは手数で攻める。黒百合と白百合に切り替えて、タンクに連続で攻撃をしていく。
 その間、魔法使いの方には、アカリが突っ込んでいった。絶対に距離を開けないように動いていて、魔法使いもやりにくそうにしている。近距離でも魔法を使ってくるから、アカリの方もやりにくそうだ。パリングダガーで、魔法を斬って、細剣で急所を狙うスタイルみたい。
 そんな攻防をしていると、第六感とは違う嫌な予感がした。即座にアカリと私の身体を血液で包んで硬質化させる。アカリの身体に血液を仕込んでおいて良かった。防御態勢を取ったのと同時に、大きな爆発が起こった。硬質化した血液に罅が入っていたので、相当な威力だ。アカリの方の血液を分厚くしておいたので、アカリも無事だ。
 血液の防御を崩して、アカリの元に【電光石火】で向かう。そして、すぐにアカリを抱き抱えて空へと飛んだ。この際に、【飛翔】と【電光石火】を使って、高度を一気に稼ぐ。

「ハクちゃん、ありがとう」
「ううん。無事で良かった。それにしても、あの攻撃はヤバいね。漁夫の利を得ようとしてた感じかな」
「爆発は斬れない?」
「多分斬れるけど、どうなるか分からないからなぁ……」
「そっか……ところで、口が青く光ってるんだけど……」
「ん? アカリにあんな事をしようとしたんだから、やり返されるって思って欲しいよね」

 【蒼天】のチャージをしながら、血液の大きな塊を作って浮かせる。そこにアカリを座らせた。

「おっ……おぉ……ちょっと怖い」
「大丈夫。色々と安全は考えてるから。落ちたら、【電光石火】で先回りも出来るしね。それじゃあ、ちょっと離れさせるね」

 アカリを少し後ろの方に移動させて、私達がいた場所の周囲に向かって【蒼天】を撃ち込む。どこにいるのかは分からないので、頭を動かして【蒼天】で地面を焼き払っていく。
 そんな私を脅威とみなしたプレイヤーから魔法が飛んでくるけど、軌道を操作すれば当たることはない。私よりもアカリに当たらないように調整しながら、魔法を撃ってきた相手に向かって【蒼天】を動かす。ある程度破壊したところで、アカリの元に戻る。【血液変換】で沈黙の状態異常の回復早めておく。

「ハクちゃん、大丈夫そう?」

 この質問には頷いておく。取り敢えず、この場所に魔法を撃たれても、問題はないと思うので、一旦様子を見る事にした。

「ハクちゃん、倒しに行かないでも良いの?」
「うん。あっ、声出た。都市よりも森の方が戦いにくいからね。せめて、私の声が戻るまでは待った方が良いかなって。それに、上から様子を見たかったんだよね。敵の位置とかそういうのも含めて」
「何か分かった?」
「割と消極的というより、目立たずに倒すって感じ人がいるみたい。いつもよりも戦闘が激化してないから」

 戦闘音等は、遠くから聞こえてくるものだけ。前よりも数がかなり少ない。激化するような戦闘が少ないのは、激化する人達が少ないから。そこから考えられるのが、静かに倒す事が出来るプレイヤーがいるという事。潜伏特化の人がいる可能性は、結構高い。暗殺者系の構成は、ゲームじゃよくある構成だしね。

「う~ん……【蒼天】の時点で過激な気がするけどね」
「私が過激なのはいつものことだから。周囲のプレイヤーを巻き込んでソルさんと戦ってたし。さてと、そろそろ降りようか」
「うん」

 いつもとは違う進みのイベント。私達が優勝するには、最後に生き残るチームにならないといけない。ここからは、積極的に狩りにいかないといけないかな。
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