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一周年の吸血少女
黒い塊
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第十ウェーブが終わるのと同時に、エリアを満たしていた水が引いていった。リヴァイアサンと戦うためだけに水を用意したらしい。水が引いたところで、空の様子が変わっていく。雲が出ているわけではないのだけど、どんよりとした重い空だ。スノウが空を睨んで唸る。スノウを撫でて落ち着かせつつ、私も空を見る。
すると、空から人の形をした黒い塊が落ちてきた。
「何あれ?」
「ハクちゃんも見たことないの?」
「ないね。戦った事のないモンスター」
『じゃろうな。あれは、邪神の依り代じゃ。そうそう見る物ではないからのう』
「じゃあ、邪神を相手に戦わないといけないという事ですね」
『いいえ、そうとは限りません。あれは依り代というだけで、まだ邪神を降ろしていません。今の内に叩けば邪神を降ろす前に倒せるでしょう。ですが、依り代も無抵抗というわけではありません。かなり手強いと思います』
紅葉さんが丁寧に説明してくれる。つまり、邪神が降りてくる前に、依り代を倒すというのが、このフェーズの勝利条件って感じかな。そして、意地悪な事に、このフェーズは邪神の依り代だけが的という訳では無かった。周囲から大量のモンスターが迫ってきている。基本的にはエリアに出て来る通常モンスターばかりっぽいけど、ボスモンスターも何体か交ざっている。
「アカリ達は押し寄せてくるモンスター達を倒して。かなり危ないだろうから気を付けて」
「うん。ハクちゃんもね」
「大丈夫。仮に邪神が降りてきても、私には神殺しがあるからね」
アカリに手を振ってから、空からゆっくりと落ちてきている邪神の依り代に向かって飛ぶ。こうして近づいてみて、はっきりと分かった。依り代は【万能探知】の対象外になっている。いや、隠れるスキルを持っているって事なのかな。とにかく、自分の目で相手を認識しないといけないという事だ。対プレイヤー戦に似ているかも。
依り代に向かって神殺しを振う。依り代は、自身の身体と同じ色の黒い剣を出して受け止めた。【飛翔】を使って勢いをつけたから、そのまま依り代を押して吹っ飛ばした。近くにある高いビルに突っ込んだ依り代に向かって、【雷化】で突っ込む。
その進路を読んでいたかのように、目の前に依り代の剣が迫る。命中する直前に【夜霧の執行者】を任意発動して霧となって背後に抜けた。でも、私のHPは減っていた。どうやら、依り代は霧の状態の私も斬る事が出来るみたいだ。ただ、恐らくはだけど、直接身体を斬られるよりはマシだとは思う。
背後に抜けた私は、振り返りつつ神殺しを振う。依り代は、それを振り返りもせずに防いだ。いや、正確には、依り代の背面が正面に変化していた。振り返るという動作をせずに、身体の前後を入れ替えられるらしい。だから、曲がらない筈の方向に関節が曲がって剣を構える事が出来るみたい。依り代には、背中への攻撃は通用しないというよりも意味がないと考えておいた方が良さそう。
一旦依り代と距離を取りつつ、【神炎】を出して依り代を焼く。一応神聖属性も含まれているので、邪神の依り代になるような闇属性が濃そうな相手には有効だと考えた。その目論見通り、依り代のHPを減らす事が出来たけど、その量は微々たるものだ。
あまり様子見をしていると、こっちがやられかねないと思い【鬼王】と【黒鬼気】を使い、ステータスを上昇させる。そして、蒼天のチャージも始める。正直効くとは思えないけど、試してみないと分からない。
依り代との剣戟を続けていると、依り代の背後に紅葉さんが現れて、大鉈を叩きつける。依り代は、剣を持っている方と別の方の手にも剣を作り出して、紅葉さんの大鉈を受け止めた。現状、どちらも前面という状態になっているのかな。でも、腕の数が二本のみというのは変わらないようで、私達の攻撃を一本ずつの剣で受けきっている。
私の神殺しはともかく、紅葉さんの大鉈を防いでいる事から、依り代の強さが良く分かる。だから、一手増やす事にした。血の中から血刀を取り出し、血で刀身を形成する。二刀流で攻撃していくと、依り代からもう二本の腕が生えてきた。
「生えるんかい!」
依り代は四本の剣を持ち、私と紅葉さんに二本ずつで対応してくる。このままだと拮抗し続ける事になる。なら、その拮抗を崩すように動くしかない。私と紅葉さんは、どんどんと連携が合っていくようになる。打ち合わせも目配せもしていないのだけど、鬼同士で感じ取れるものがあるって感じなのかな。何となく紅葉さんの動きが分かる。
そうして剣と鉈による攻撃を続けていく中で、私は影を使って、近くにある瓦礫を投げつけた。その一撃で依り代の意識が、一瞬逸れる。
その隙を見逃す私達じゃない。神殺しによる薙ぎと大鉈による振り下ろしが連続で命中する。依り代と言えど、神という種族として認識されているのか、HPはごっそりと持っていく事が出来て、六割も削れた。
ただ、依り代が斬られた箇所は、霧のような状態になり、次の瞬間には繋がった。中心近くを十字に斬られているのだけど、何か実体のあるものを斬った感じはしない。依り代に実体はないという事かな。
このまま次に繋げようとしたら、依り代から黒い衝撃波が飛んで来た。血と影で地面に身体を縫い止めて身体を止めようとしたけど、その前にビル自体が保たなかった。ビルが崩れ落ちるので、血と影で紅葉さんを確保して空を飛ぶ。そして、崩れ落ちるビルに向かって、蒼天を撃ち込む。
ビルと一緒に落ちていった依り代も飲み込む程の熱線が放たれる。その余波で、周囲のビルの壁も融けていった。【反転熱線】になった事で、蒼天の威力も上昇しているみたいだ。
「やったでしょうか?」
『いえ、正直、これで終わるとは思えません』
【万能探知】が使えない以上、ここで倒せたかどうかは分からない。私としては、既に六割まで減らす事が出来ていたので、蒼天で削り切る事が出来た可能性もあると思ったけど、紅葉さんは逆に倒せていないと考えていた。
そして、これは紅葉さんの方が正しかった。瓦礫が吹き飛んで、依り代が姿を現す。
『ハクちゃん、私を落として下さい。この程度でしたら、落ちても支障はありません』
「分かりました」
紅葉さんを支えていた血と影を解除して、私は【雷化】して先に依り代に突っ込む。血刀は血に仕舞い、両手で持った神殺しを依り代に向かって振り下ろす。依り代は、四つの剣で受け止めた。そこに、【神炎】を圧縮して作った簡易的な爆弾を爆発させる。剣での防御が出来ない依り代は、軽く吹き飛ばされた。
そこに上から降ってきた紅葉さんが大鉈を振り下ろす。依り代は、再び上からの攻撃を四つの剣で防ぐ。そこでがら空きになった胴を、【神炎】と光を纏わせた神殺しで斬る。再びHPを減らした依り代は、残り二割になっていた。なので、神殺しから白百合と黒百合の大鎌に入れ替えて、【死神鎌】を使う。
それを見た依り代は、紅葉さんを弾き飛ばすけど、その時には手遅れだ。私の大鎌が依り代を狩る。問答無用の即死攻撃は、依り代も適応内のようでHPを削り切った。
だというのに、依り代はポリゴンにならない。大鎌から神殺しに入れ替えて構える。紅葉さんも一定距離を保って、油断なく様子を見ている。
すると、依り代が黒い霧に変わって、私を包み込んできた。私は、全身を【神炎】で覆い、神殺しを振う。霧を斬っているわけだから、手応えがないのが当たり前なのだけど、何かを斬ったという感覚があった。それと同時に、霧が消え去る。念のため、【神炎】を纏い続けながら、紅葉さんに近づく。
「これで終わりでしょうか?」
『そうですね。ハクちゃんの身体は大丈夫ですか?』
「はい。【神炎】で身体を守ったからか、特に何ともありません。でも、最後のあれは何だったんでしょうか?」
『恐らくですが、ハクちゃんの身体を奪おうとしたのではないでしょうか? あるいは、ハクさんを邪神にしようとしたのかもしれませんね。ハクちゃんには、その素質がありますから』
「なるほど……」
あれを受け入れていたら、邪神になれていたのだろうか。まぁ、もう燃やし尽くしたし、意味のない事だけど。
その後、私と紅葉さんも加わって群がってくるモンスター達を蹴散らしていった。どう考えてもギルド規模で行うような殲滅戦だったけど、何とか切り抜ける事が出来た。
そして、このフェーズにて殲滅戦は終了となる。
「ふぅ……これで終わりみたいです」
『ふむ。中々に面倒くさい相手が多かったのう』
『そうですね。でも、うちの子は満腹になったみたいです』
清ちゃんの蛇は、お腹一杯というような満足げな表情をしながら、私の方に来た。褒めて欲しいのかと思ったので、取り敢えずスノウ達にやるように撫でてあげると、さらに満足げな表情になる。それに嫉妬したスノウが大きい身体のまま顔を近づけてくるので、全力で撫でてあげる。
『清の蛇は、少々大食らい過ぎると思うがのう……』
『取り敢えず、わっち達は妖都に帰りんす。今日は楽しゅうござりんした』
『うむ! その通りじゃな! また来るのじゃ!』
玉藻ちゃん達は、私とアカリの頭を撫でてから妖都に帰って行った。そして、私達の前にウィンドウが現れる。
『殲滅戦クリアおめでとうございます。今回討伐したモンスターの素材に加えて、選択式ランダムアイテムボックス十五個、選択式レアアイテムボックス三個、五百万Gを授与します。三十秒後、ファーストタウンへと転移します。そのままお待ちください』
前よりも選択式ランダムアイテムボックスの数が五個多い。正直、あまり普通のアイテムに興味がないので、選択式レアアイテムボックスの方が増えて欲しかったかな。皆が先にギルドエリアに送還されて、私達もファーストタウンに転移する。
「それじゃあ、アカリに普通の方のアイテムボックスあげるね」
「えっ!? 良いの?」
「良いの良いの。私は、レアの方があれば良いから。どうせ、こっちで出て来たアイテムは、アカリにあげる事になるしね」
「そっか。じゃあ、貰うね」
「うん。今日は軽くレベル上げして終わりにするかな。また夜にね」
「うん。いってらっしゃい」
殲滅戦を終えたけど、もう少しレベル上げをするために、アカリと別れて氷点下エリアに向かった。
すると、空から人の形をした黒い塊が落ちてきた。
「何あれ?」
「ハクちゃんも見たことないの?」
「ないね。戦った事のないモンスター」
『じゃろうな。あれは、邪神の依り代じゃ。そうそう見る物ではないからのう』
「じゃあ、邪神を相手に戦わないといけないという事ですね」
『いいえ、そうとは限りません。あれは依り代というだけで、まだ邪神を降ろしていません。今の内に叩けば邪神を降ろす前に倒せるでしょう。ですが、依り代も無抵抗というわけではありません。かなり手強いと思います』
紅葉さんが丁寧に説明してくれる。つまり、邪神が降りてくる前に、依り代を倒すというのが、このフェーズの勝利条件って感じかな。そして、意地悪な事に、このフェーズは邪神の依り代だけが的という訳では無かった。周囲から大量のモンスターが迫ってきている。基本的にはエリアに出て来る通常モンスターばかりっぽいけど、ボスモンスターも何体か交ざっている。
「アカリ達は押し寄せてくるモンスター達を倒して。かなり危ないだろうから気を付けて」
「うん。ハクちゃんもね」
「大丈夫。仮に邪神が降りてきても、私には神殺しがあるからね」
アカリに手を振ってから、空からゆっくりと落ちてきている邪神の依り代に向かって飛ぶ。こうして近づいてみて、はっきりと分かった。依り代は【万能探知】の対象外になっている。いや、隠れるスキルを持っているって事なのかな。とにかく、自分の目で相手を認識しないといけないという事だ。対プレイヤー戦に似ているかも。
依り代に向かって神殺しを振う。依り代は、自身の身体と同じ色の黒い剣を出して受け止めた。【飛翔】を使って勢いをつけたから、そのまま依り代を押して吹っ飛ばした。近くにある高いビルに突っ込んだ依り代に向かって、【雷化】で突っ込む。
その進路を読んでいたかのように、目の前に依り代の剣が迫る。命中する直前に【夜霧の執行者】を任意発動して霧となって背後に抜けた。でも、私のHPは減っていた。どうやら、依り代は霧の状態の私も斬る事が出来るみたいだ。ただ、恐らくはだけど、直接身体を斬られるよりはマシだとは思う。
背後に抜けた私は、振り返りつつ神殺しを振う。依り代は、それを振り返りもせずに防いだ。いや、正確には、依り代の背面が正面に変化していた。振り返るという動作をせずに、身体の前後を入れ替えられるらしい。だから、曲がらない筈の方向に関節が曲がって剣を構える事が出来るみたい。依り代には、背中への攻撃は通用しないというよりも意味がないと考えておいた方が良さそう。
一旦依り代と距離を取りつつ、【神炎】を出して依り代を焼く。一応神聖属性も含まれているので、邪神の依り代になるような闇属性が濃そうな相手には有効だと考えた。その目論見通り、依り代のHPを減らす事が出来たけど、その量は微々たるものだ。
あまり様子見をしていると、こっちがやられかねないと思い【鬼王】と【黒鬼気】を使い、ステータスを上昇させる。そして、蒼天のチャージも始める。正直効くとは思えないけど、試してみないと分からない。
依り代との剣戟を続けていると、依り代の背後に紅葉さんが現れて、大鉈を叩きつける。依り代は、剣を持っている方と別の方の手にも剣を作り出して、紅葉さんの大鉈を受け止めた。現状、どちらも前面という状態になっているのかな。でも、腕の数が二本のみというのは変わらないようで、私達の攻撃を一本ずつの剣で受けきっている。
私の神殺しはともかく、紅葉さんの大鉈を防いでいる事から、依り代の強さが良く分かる。だから、一手増やす事にした。血の中から血刀を取り出し、血で刀身を形成する。二刀流で攻撃していくと、依り代からもう二本の腕が生えてきた。
「生えるんかい!」
依り代は四本の剣を持ち、私と紅葉さんに二本ずつで対応してくる。このままだと拮抗し続ける事になる。なら、その拮抗を崩すように動くしかない。私と紅葉さんは、どんどんと連携が合っていくようになる。打ち合わせも目配せもしていないのだけど、鬼同士で感じ取れるものがあるって感じなのかな。何となく紅葉さんの動きが分かる。
そうして剣と鉈による攻撃を続けていく中で、私は影を使って、近くにある瓦礫を投げつけた。その一撃で依り代の意識が、一瞬逸れる。
その隙を見逃す私達じゃない。神殺しによる薙ぎと大鉈による振り下ろしが連続で命中する。依り代と言えど、神という種族として認識されているのか、HPはごっそりと持っていく事が出来て、六割も削れた。
ただ、依り代が斬られた箇所は、霧のような状態になり、次の瞬間には繋がった。中心近くを十字に斬られているのだけど、何か実体のあるものを斬った感じはしない。依り代に実体はないという事かな。
このまま次に繋げようとしたら、依り代から黒い衝撃波が飛んで来た。血と影で地面に身体を縫い止めて身体を止めようとしたけど、その前にビル自体が保たなかった。ビルが崩れ落ちるので、血と影で紅葉さんを確保して空を飛ぶ。そして、崩れ落ちるビルに向かって、蒼天を撃ち込む。
ビルと一緒に落ちていった依り代も飲み込む程の熱線が放たれる。その余波で、周囲のビルの壁も融けていった。【反転熱線】になった事で、蒼天の威力も上昇しているみたいだ。
「やったでしょうか?」
『いえ、正直、これで終わるとは思えません』
【万能探知】が使えない以上、ここで倒せたかどうかは分からない。私としては、既に六割まで減らす事が出来ていたので、蒼天で削り切る事が出来た可能性もあると思ったけど、紅葉さんは逆に倒せていないと考えていた。
そして、これは紅葉さんの方が正しかった。瓦礫が吹き飛んで、依り代が姿を現す。
『ハクちゃん、私を落として下さい。この程度でしたら、落ちても支障はありません』
「分かりました」
紅葉さんを支えていた血と影を解除して、私は【雷化】して先に依り代に突っ込む。血刀は血に仕舞い、両手で持った神殺しを依り代に向かって振り下ろす。依り代は、四つの剣で受け止めた。そこに、【神炎】を圧縮して作った簡易的な爆弾を爆発させる。剣での防御が出来ない依り代は、軽く吹き飛ばされた。
そこに上から降ってきた紅葉さんが大鉈を振り下ろす。依り代は、再び上からの攻撃を四つの剣で防ぐ。そこでがら空きになった胴を、【神炎】と光を纏わせた神殺しで斬る。再びHPを減らした依り代は、残り二割になっていた。なので、神殺しから白百合と黒百合の大鎌に入れ替えて、【死神鎌】を使う。
それを見た依り代は、紅葉さんを弾き飛ばすけど、その時には手遅れだ。私の大鎌が依り代を狩る。問答無用の即死攻撃は、依り代も適応内のようでHPを削り切った。
だというのに、依り代はポリゴンにならない。大鎌から神殺しに入れ替えて構える。紅葉さんも一定距離を保って、油断なく様子を見ている。
すると、依り代が黒い霧に変わって、私を包み込んできた。私は、全身を【神炎】で覆い、神殺しを振う。霧を斬っているわけだから、手応えがないのが当たり前なのだけど、何かを斬ったという感覚があった。それと同時に、霧が消え去る。念のため、【神炎】を纏い続けながら、紅葉さんに近づく。
「これで終わりでしょうか?」
『そうですね。ハクちゃんの身体は大丈夫ですか?』
「はい。【神炎】で身体を守ったからか、特に何ともありません。でも、最後のあれは何だったんでしょうか?」
『恐らくですが、ハクちゃんの身体を奪おうとしたのではないでしょうか? あるいは、ハクさんを邪神にしようとしたのかもしれませんね。ハクちゃんには、その素質がありますから』
「なるほど……」
あれを受け入れていたら、邪神になれていたのだろうか。まぁ、もう燃やし尽くしたし、意味のない事だけど。
その後、私と紅葉さんも加わって群がってくるモンスター達を蹴散らしていった。どう考えてもギルド規模で行うような殲滅戦だったけど、何とか切り抜ける事が出来た。
そして、このフェーズにて殲滅戦は終了となる。
「ふぅ……これで終わりみたいです」
『ふむ。中々に面倒くさい相手が多かったのう』
『そうですね。でも、うちの子は満腹になったみたいです』
清ちゃんの蛇は、お腹一杯というような満足げな表情をしながら、私の方に来た。褒めて欲しいのかと思ったので、取り敢えずスノウ達にやるように撫でてあげると、さらに満足げな表情になる。それに嫉妬したスノウが大きい身体のまま顔を近づけてくるので、全力で撫でてあげる。
『清の蛇は、少々大食らい過ぎると思うがのう……』
『取り敢えず、わっち達は妖都に帰りんす。今日は楽しゅうござりんした』
『うむ! その通りじゃな! また来るのじゃ!』
玉藻ちゃん達は、私とアカリの頭を撫でてから妖都に帰って行った。そして、私達の前にウィンドウが現れる。
『殲滅戦クリアおめでとうございます。今回討伐したモンスターの素材に加えて、選択式ランダムアイテムボックス十五個、選択式レアアイテムボックス三個、五百万Gを授与します。三十秒後、ファーストタウンへと転移します。そのままお待ちください』
前よりも選択式ランダムアイテムボックスの数が五個多い。正直、あまり普通のアイテムに興味がないので、選択式レアアイテムボックスの方が増えて欲しかったかな。皆が先にギルドエリアに送還されて、私達もファーストタウンに転移する。
「それじゃあ、アカリに普通の方のアイテムボックスあげるね」
「えっ!? 良いの?」
「良いの良いの。私は、レアの方があれば良いから。どうせ、こっちで出て来たアイテムは、アカリにあげる事になるしね」
「そっか。じゃあ、貰うね」
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