吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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出会いを楽しむ吸血少女

テイムモンスター達の状況

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 外を歩いていると、空からスノウが降りてくる。

『ガァ!』

 スノウは、頭を私に押し付けて撫でろと要求していた。なので、目一杯頭を撫でてあげる。

「スノウは何か変わったところはある?」
『ガァ?』

 質問に対して、スノウは首を傾げていた。スノウに心当たりはないようだ。スノウの他に竜はいないし、異種族間での交配がどのくらい上手くいくのか分からないから、テイムモンスターの卵がある可能性は低かったかな。そもそもスノウは、寝る時大体一人だし。

「そっか。何か変化があったら言ってね」
『ガァ!』

 スノウは元気に返事をしてから飛び立っていった。ギルドエリアが広くなってから空を飛んでいるのが楽しいみたい。基本的には、ずっと空を高速で飛び続けている。時々ニクスや八咫烏と競争をしているのを見る。ニクスはともかく神様の八咫烏も一緒に飛んでいるのは、皆が仲良くなっている証拠のように思えるので嬉しかった。
 そこからエレクの元に向かう。エレクは、だらっ広い草原を走り回っているので、捜すのが大変になるはずなのだけど、私が草原に近づくと、すぐに私の元に駆け寄ってくれる。

『ブルルッ』
「元気そうだね。エレクは、何か変わった事ある?」

 これに対して、エレクは首を横に振った。エレクも問題なしのようだ。

「そっか。外を駆けるのは楽しい?」
『ブルルッ!』
「それなら良かった。でも、あまり遠くに行き過ぎないようにね」

 エレクにそう言うと、分かったと言わんばかりに頷いてから、また草原に戻っていった。

「エレクも問題なし」

 エレクの様子を確認した直後、私の足元に帯電スライムのデンデンが転がってきた。名前を付けた対象は、分かり易くなっているので、すぐにデンデンと分かる。

「デンデン。何かあった?」
『……』ぷるぷる

 何となく頷いているように見える。でも、何があったのか分からない。

「デンデン達の様子に変化はある?」
『……』ぷるぷる

 特に何か大きな問題がありそうな反応ではない。そう思っていると、デンデンは、コロコロと転がっていった。そして、チラチラとこちらを確認するように止まる。

「付いてきて欲しいのかな」

 そう考えて、デンデンの後に続いていく。すると、スライム達の住処に着いた。帯電スライムだけでなく、スライム、ラヴァスライム、スノースライムが住んでいる場所だ。家というよりも、精霊の集会場に近い形をしている。そして、数が多いので、結構広めに作られている。まぁ、あまり帰って来ない個体もいるみたいだけど。
 その中にいくつものテイムモンスターの卵が落ちていた。恐らくスライムの卵達だ。

「おぉ……マジか……ひとまずアカリに連絡だけしておこう」

 クッションを大量生産する必要がある事をメッセージで伝える。すると、アカリから了解の返事が来た。

「さてと……取り敢えず、皆の家に卵の暖め場所を用意する必要がありそうだね。まさか、こんなに早く卵が増えるとは……皆の分のクッションとかも用意するから、ちょっとだけ時間を頂戴」
『……』ぷるぷる

 デンデンは了承したように揺れる。その後、雷霊のイレと雷獣のビリビリの元に向かった。どちらもまだ卵は出来ていないようだった。イレの方は五人いるけど、ビリビリの方は一人だけだから、なくてもおかしくはない。
 ホワイトラビットのハクト達の元に向かうと、こちらもデンデン達同様に沢山の卵があった。ハクトにも同様の事を伝えて、鉱山に向かう。ジュエルアルマジロのエルとクリスタルラットのスタルの方は、卵はなかった。
 一応あり得ないはずだけど、メロディやリープ達の方も確認する。そちらも卵はなかった。一人ずつしかテイム出来ていないから、ここも当たり前といえば当たり前かな。
 次はニクスの元に向かう。世界樹に住んでいるので、ちょうどソイルとラウネにも会える。

「ニクス」

 呼び掛けると、ニクスが降りてきて肩に留まる。

「卵とか生まれてる?」
『キュイ』

 ニクスは首を横に振る。ニクスと一緒に八咫烏もいるけど、二人の間に卵は生まれないのかな。ニクスはテイムモンスター扱いだけど、八咫烏は神様扱いだし。

「そっか。なら良いんだ」
『キュイ!』

 ニクスは軽く鳴いてから、私に顔を擦りつけて飛んでいった。そこにソイルとラウネがやって来る。

「二人とも元気?」
『うん……』
『うんなの!』

 二人とも元気に返事をしてくれる。まぁ、さすがに大きな問題があるとは思ってなかったから、そこまで心配はしていなかったけど。

「二人は卵とか生まれてない?」
『マシロ達の……?』
「うん。マシロ達みたいに」
『ないの』
「そっか。なら、大丈夫かな」

 二人の頭を撫でてあげてから、ライ、フラムの様子を確認しに行く。ライとフラムは基本的に工場にいるので、会いに行きやすい。

「ライ、フラム、何か変わった事はない?」
『……』ふるふる
『ないな。何かあるのか?』
「メアとマシロの間に卵が出来たから、皆も確認してるの。結構あるみたいだから、二人も何かあったりするかなって」
『……』ふるふる
『ないな』
「そっか。なら良いんだ」

 二人の頭を撫でてあげてから、エアリーを捜す。エアリーは一番真面目で優秀な子だけど、ギルドエリアの中では一番自由でどこにいるのか分からない。だから、こういうときは呼ぶに限る。

「エアリー」
『はい。お姉様』

 名前を呼ぶと、エアリーは上からやって来た。

「何か変わった事はない?」
『いえ、平穏そのものです』
「あっ、ここじゃなくて、エアリーの話ね」

 私の質問がギルドエリアに関する事だと勘違いしていたので、そこを正した。

『私ですか? 特には何もありませんが』

 一瞬きょとんとしていたエアリーだけど、すぐに首を横に振ってそう言った。テイムモンスターの卵が出来るには、ちゃんと条件がありそうだ。ここまでの事を考えるに、一定以上の仲で、同じ場所で寝泊まりをしているとかかな。
 そこを考えると、種族の違いは関係ない可能性が出て来る。まぁ、その検証のために無理矢理一緒に寝させたりはしないから、実際のところは分からないけど。
 私は、次にレインとヒョウカの元に向かう。レインがいつもの泉にいないので、恐らくヒョウカと一緒にいるはず。ヒョウカのいる冷蔵庫に行くと、やっぱり二人が一緒にいた。そして、その二人の間にテイムモンスターの卵があった。

『ハク様』
『あっ、お姉さん』
「二人とも大丈夫? この卵は二人の卵だよね?」

 私の確認に二人は頷く。

「やっぱり……一緒に寝ていたら出来た?」
『うん』
「そっか。じゃあ、二人の分もクッションを……って、この場合温めるのが正解なのかな」

 水神霊と氷女王の卵という事で、この環境で孵化させるのが正解なのか、普通に温めるのが正解なのか分からない。

『温めるのが良いと思う』
『私もそう思います』
「そっか。じゃあ、二人の家を準備してクッションとかも用意するから、少し待っていてくれる?」
『うん』
『はい』

 色々と準備するものが多くなりそうだ。一旦、ドワーフの皆とメアリー達を総動員して、この準備を進めよう。そう考えた私は、急いで皆に状況を伝えに行った。
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