吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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出会いを楽しむ吸血少女

悪徳

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 三人の悪魔から寵愛を受けた瞬間、再びウィンドウが開いて、別のスキルも増えたメッセージが届いた。

『条件を満たしました。クリフォトより【悪徳・無感動】【悪徳・色欲】【悪徳・不安定】を貸し与えられます』

 いつもとは違うメッセージだった。獲得した訳では無く、貸与という形らしい。

────────────────────

【悪徳・無感動】:無感動の悪徳を貸し与えられる。流れ込んでくるクリフォトの力により効力の強さが変わる。怒り、混乱、魅了の状態異常に耐性を持ち、敵対者の怒り、混乱、魅了の状態異常耐性を減少させる。アスタロトと魂で繋がる。控えでも効果を発揮する。

【悪徳・色欲】:色欲の悪徳を貸し与えられる。流れ込んでくるクリフォトの力により効力の強さが変わる。魅了の力を支配し増幅する。バエルと魂で繋がる。控えでも効果を発揮する。

【悪徳・不安定】:不安定の悪徳を貸し与えられる。流れ込んでくるクリフォトの力により効力の強さが変わる。対象が詠唱または溜めている魔法や技などを暴発させる。リリスと魂で繋がる。控えでも効果を発揮する。

────────────────────

 ぶっ壊れという訳では無いけど、結構強いものを手に入れた。問題があるとするならば、本当にスキルが増えすぎて把握しきれていないという点かな。これら全てを把握して戦える人は、脳が五つくらいあると思う。

「何かクリフォトが悪徳を貸してくれたんだけど、これって大丈夫?」
「……」
「……」
「……」

 アスタロト、バエル、リリスが顔を見合わせている。完全に予想外の事態らしい。

「どうしてかしらぁ?」
「知らん。お前達の方が状況に詳しいだろう」
「もしかして、悪魔の神格かしら。悪魔の力が強くなってクリフォトが認めるくらいになっているとか」
「悪魔の神格? なるほど、それで寵愛を受けても身体が爆散しないのか」
「えっ!? そんな事になるかもしれなかったの!?」
「しれなかっただけよ。クリフォトと繋がっている状態だから、このままだと向こうに引っ張られないかしら?」

 私の驚愕をあっさりとリリスに流された。リリスからすれば、そんな事にはならないだろうと思ったらしい。そして、向こうに引っ張られるというのは悪魔の世界に引っ張られるという事だろうか。

「それはないんじゃなぁい? 主人は神としての位も高くなっているからぁ」
「そうだな。私もそう思う。寧ろ、向こうの世界が引っ張られる可能性を危惧した方が良いだろう」
「一瞬で浄化されそうね……まぁ、その時に考えれば良いわ。取り敢えず、クリフォトからの力が安定して流れているという事だから。このまま様子見で良いと思うわ」
「そうねぇ」
「そうだな」

 話は様子見でまとまったらしい。様子見されている私は不安でいっぱいなのだけど。

「取り敢えずぅ、様子見ねぇ。基本的に私が傍に居るわねぇ」
「いつもと同じじゃん」
「安心するでしょぉ?」

 アスタロトが抱きしめながら頭を撫でてくる。アク姉の無の視線が痛い。アク姉の方が無感動の悪徳を持っているのではないかと思ってしまう程だ。

「取り敢えず無事なようだな。取り敢えず、私達はログアウトするが、あまり夜更かしするなよ」
「うん」
「あっ! ちょっ! 姉さん!? 私はまだ……」
「お前も明日は朝早いだろうが。私に叩き起こしに来て欲しいか?」
「…………」

 アク姉はフレ姉に引き摺られて、手を振りながら連れて行かれた。どうやら明日は二人で同じ予定があるみたい。仕事関係の話かな。アク姉は別にショートスリーパーなわけじゃないから、予定を把握しているらしいフレ姉に連れて行かれるのは当たり前かな。

「そういえば、この悪徳って私自身のものが出来たりはしない? ほら、今の神格と同じみたいな」
「ないわねぇ。クリフォトもセフィロトも持っている力が増える事はないわぁ。数が決まっているからねぇ」
「増えるって事は、新しいセフィラやクリファが増えるって事だから一大事よ。世界の構成から変わる事になるわ」
「そういう事だ。こればかりは奇跡でもどうにもならないだろう」

 こればかりは増える事はないらしい。元々数が決まっているものみたいだし、何か世界の構成とか言っているから、これを乱すような事はしないと思う。言ってしまえば、七つの大罪に自分専用の大罪を増やしますって言っているようなものだから当たり前か。

「それじゃあ、私は行く」
「うん。ありがとう。バエル」

 ここでバエルと別れる。バエルはどちらかというと必要以上に話し込まないタイプだ。何もない時でも人を抱きしめてくるアスタロトとは、真逆の悪魔だ。
 ただ、今回はそれだけではなくて、闇霧の始祖の監視をするために移動しているのだと思う。早く誤解が解けると良いな。
 無感動のアスタロト。不安定のリリス。色欲のバエル。こうして考えてみると、皆の悪徳の名称って、あまり悪魔自体に影響していないのかな。

「ねぇ、アスタロトもだけど、悪徳の名前ってあまり関係ない?」
「ん? いや、アスタロトは向こうでは本当に無感動だったわよ。何が起きても凪いだ心をしていたもの。召喚されても、基本的には相手を冷ややかな目で見ているって有名だったし」
「主人みたいな召喚主はいないものぉ。当たり前じゃなぁい」
「じゃあ、リリスの不安定は?」
「割と情緒不安定よ」

 リリスはピースサインを出しながらそう言った。そんな誇って言うような事なのだろうかと疑問に思ってしまう。

「多分主人が見る事はないと思うわぁ」
「そうなの?」
「えぇ、色恋沙汰とかの時にそうなるからぁ。感情が揺さぶられた時に弱いのよぉ」
「へぇ~、じゃあバエルは?」

 私がそう訊くと、アスタロトとリリスは顔を見合わせる。

「いや、そうよね。魅了の全てを支配しているご主人様には効果はないし、この場では使う事もないから知らないわよね」
「バエルはぁ、戦闘時とかに相手を魅了する力を振りまいているわよぉ。まぁ、相手が魅了されて動けなくなった瞬間にトドメを刺しているから分かりづらいと思うけれどねぇ」
「へぇ~、まぁ、悪魔の皆が戦っているところを見たのは、あの時とかだし気が付くタイミングがなかったのかな」

 悪魔の皆と一緒に戦う事が少ないので、皆の戦闘をつぶさに観察した事がない。だから、私の知らないところで魅了の力を使っている可能性は否定出来ない。

「じゃあ、アスタロトがおかしいだけ?」
「そうよ。まぁ、ここまでアスタロトの心を動かしているご主人様がおかしいとも言えるけれどね」

 私かアスタロトのどちらかか両方ともおかしいらしい。まぁ、私はスキルから分かる通りおかしいので、私に引っ張られているのかもしれない。

「ふぁ~……ぼちぼち眠いや。私も今日はこれで寝るね。リリスの屋敷が出来るまではアスタロトの屋敷にでも泊まって」
「えぇ~……」
「分かったわ」

 アスタロトはあからさまに嫌な顔をしていたけど、私の指示なので渋々頷いた。
 そんな二人を見送ってから、私もログアウトする。本当に今日は色々とありすぎたな。
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