82 / 127
第三章 大規模調査
新緑の森最下層(2)
しおりを挟む
安全部屋で、キティさんと談笑していると、サリア達が息を切らして帰ってきた。
「何か、異変があったんですか?」
私は、自分の横に置いておいた雪白を手に取る。キティさんも同じく、弓を手に取った。
「異変はあったけど、そこまでの緊急性はないわ」
マインさんが、首を振りながらそう言った。
「そうなんですか?」
「はい。今すぐどうこうという事ではありません。既に殿下達が戻っている事を考え、すぐに知らせるべきと思ったので、急いで来たんです」
「どんな異変?」
「ボス部屋の向こうに、新しい階層へと続く道がありました。ここは、今は新緑の森の最下層ではないんです」
「「!?」」
私とキティさんは、ミリーさんの言葉に驚いた。
「階層が更新される事なんてあるんですか?」
ダンジョンの階層の更新なんて、聞いたことがない事象なので、ミリーさん達にそう訊いた。
「私は聞いたことないですね」
「私も同じよ。こんな事が起きただなんて聞いた事ないわ」
「サリーさんとマインさんが知らないとなると、ここら辺では起きていないのかも。アイリスは、ギルドでそういう記録とか見た事ないの?」
サリアが私に確認してくる。私は、記憶をひっくり返して考える。裏方の整理をした時に、ダンジョン関連の資料にも一通り目を通している。その中に、ダンジョンの階層更新なんて資料は……なかった。
「うん。私が見た資料には、ダンジョンの階層更新のものはなかった。だから、ここら辺ではなかった事なんじゃないかな。王都ら辺のことは、殿下に訊かないと分からないけど」
ギルドの資料にもなくて、冒険者で沢山のダンジョンに潜っているサリーさん達も知らないとなると、サリアの言うとおり、スルーニア周辺のダンジョンでは起こっていないんだと思う。
「取りあえず、殿下達が戻ってくるまでは待機よ。場合によっては、すぐに攻略する可能性もあるわ。武器の調子は、確かめておきなさい」
「分かりました」
「ん」
私達は、アルビオ殿下達が帰ってくるまで、待っていた。大体、三十分程で、クロウさんとドルトルさんが帰ってきた。その十分後にライネルさんとアルビオ殿下が帰ってきた。
そして、ミリーさんから、帰ってきた皆に異変の説明がされた。クロウさんとドルトルさんが見て分かる程に驚き、ライネルさんとアルビオ殿下は眉を寄せていた。
「ボスの変化はないか?」
「はい。ゴブリンキングのままです。そちらの討伐は余裕でしょう。その先は、どうなっているかは分かりません」
「…………」
アルビオ殿下は、少し考え込む。これからの予定を考えているんだと思う。このまま攻略を続けるか、一度戻るかみたいな感じかな。この状況なら、出来れば一度戻りたいな。長期の探索で疲れたのもあるけど、そろそろリリアさんに会いたい。
そんな事を考えていると、アルビオ殿下の考えもまとまったみたいだ。
「一度、街へと戻る。他のダンジョンの調査結果も来ているかもしれないからな。同じような話が聞ければ、これが同時多発スタンピードが起こった結果、発生した変化だと言えるだろう。本来の目的である発生した原因が分からないのは痛いが、これも収穫だろう」
「分かりました。でしたら、今日はここで休み、明日戻りましょう」
アルビオ殿下が、方針を決めると、ライネルさんが直ぐさま案を出す。
「そうだな。いつものローテーションで睡眠をとった後、地上へと戻る」
私達はアルビオ殿下の言うとおりに、ローテーションで睡眠をとり、地上へと向かっていった。探索を含まないので、五日で地上へと戻る事が出来た。
地上には、すでに探索を終えたアルビオ殿下の部下の方々が待機していた。
「異変を見つけた。今後の方針を考えるために、一度スルーニアへと戻る。すぐに準備をしろ」
『はっ!!』
部下の方々は、直ぐさま行動を開始して、たったの十分で、準備を整えた。そして、全員でスルーニアへと帰って行った。スルーニアに着くと、アルビオ殿下が私達の方を振り返った。
「アイリスとキティは、もう家に帰ってもいいぞ。ライネル達は報酬の受け渡しがあるが、お前達は、給料にプラスする形だからな。ガルシアと話して、今後の事が確定すれば、二人にも何かしらの指示が降る可能性もあるから、その時は頼む」
「分かりました。では、失礼します」
「ん」
私とキティさんは、アルビオ殿下達と別れて、自宅の方に向かった。
「後、残っているのは、更新された未探索領域の攻略だけですよね?」
「ん。ゴブリンキングの先にある部分を調べる。そこからは、新しい階層の攻略みたいになると思う」
「それだと、ただのダンジョン攻略ですし、私の出る幕はないと思うんですが……」
「アイリスは、凄く強いから、探索メンバーになる可能性は高い。今日の調査の続きという事になるだろうから」
「……なるほど、その可能性は確かにありますね」
そんな風に話ながら歩いていき、自宅前まで来た。
「電気が点いていないですし、今日はリリアさん、お仕事みたいですね?」
「ん。でも、仕方ない。取りあえず、お風呂に入る。さすがに、このまま会うのはやだ」
「そうですね。綺麗な身体になってから、リリアさんに会いましょう」
私とキティさんは、家に帰ってきて、すぐにお風呂へと向かった。キティさんを丁寧に、そして徹底的に洗ってから、自分も同じように徹底的に洗う。
リリアさんが帰ってきた時に、臭いとか思われたら嫌だから。
洗った後は、キティさんと二人で湯船に浸かって、身体の疲れを解しながら、少し話をした。
そして、私達はお風呂から上がって服を着替えた頃に、リリアさんが息せき切って帰ってきた。
「何か、異変があったんですか?」
私は、自分の横に置いておいた雪白を手に取る。キティさんも同じく、弓を手に取った。
「異変はあったけど、そこまでの緊急性はないわ」
マインさんが、首を振りながらそう言った。
「そうなんですか?」
「はい。今すぐどうこうという事ではありません。既に殿下達が戻っている事を考え、すぐに知らせるべきと思ったので、急いで来たんです」
「どんな異変?」
「ボス部屋の向こうに、新しい階層へと続く道がありました。ここは、今は新緑の森の最下層ではないんです」
「「!?」」
私とキティさんは、ミリーさんの言葉に驚いた。
「階層が更新される事なんてあるんですか?」
ダンジョンの階層の更新なんて、聞いたことがない事象なので、ミリーさん達にそう訊いた。
「私は聞いたことないですね」
「私も同じよ。こんな事が起きただなんて聞いた事ないわ」
「サリーさんとマインさんが知らないとなると、ここら辺では起きていないのかも。アイリスは、ギルドでそういう記録とか見た事ないの?」
サリアが私に確認してくる。私は、記憶をひっくり返して考える。裏方の整理をした時に、ダンジョン関連の資料にも一通り目を通している。その中に、ダンジョンの階層更新なんて資料は……なかった。
「うん。私が見た資料には、ダンジョンの階層更新のものはなかった。だから、ここら辺ではなかった事なんじゃないかな。王都ら辺のことは、殿下に訊かないと分からないけど」
ギルドの資料にもなくて、冒険者で沢山のダンジョンに潜っているサリーさん達も知らないとなると、サリアの言うとおり、スルーニア周辺のダンジョンでは起こっていないんだと思う。
「取りあえず、殿下達が戻ってくるまでは待機よ。場合によっては、すぐに攻略する可能性もあるわ。武器の調子は、確かめておきなさい」
「分かりました」
「ん」
私達は、アルビオ殿下達が帰ってくるまで、待っていた。大体、三十分程で、クロウさんとドルトルさんが帰ってきた。その十分後にライネルさんとアルビオ殿下が帰ってきた。
そして、ミリーさんから、帰ってきた皆に異変の説明がされた。クロウさんとドルトルさんが見て分かる程に驚き、ライネルさんとアルビオ殿下は眉を寄せていた。
「ボスの変化はないか?」
「はい。ゴブリンキングのままです。そちらの討伐は余裕でしょう。その先は、どうなっているかは分かりません」
「…………」
アルビオ殿下は、少し考え込む。これからの予定を考えているんだと思う。このまま攻略を続けるか、一度戻るかみたいな感じかな。この状況なら、出来れば一度戻りたいな。長期の探索で疲れたのもあるけど、そろそろリリアさんに会いたい。
そんな事を考えていると、アルビオ殿下の考えもまとまったみたいだ。
「一度、街へと戻る。他のダンジョンの調査結果も来ているかもしれないからな。同じような話が聞ければ、これが同時多発スタンピードが起こった結果、発生した変化だと言えるだろう。本来の目的である発生した原因が分からないのは痛いが、これも収穫だろう」
「分かりました。でしたら、今日はここで休み、明日戻りましょう」
アルビオ殿下が、方針を決めると、ライネルさんが直ぐさま案を出す。
「そうだな。いつものローテーションで睡眠をとった後、地上へと戻る」
私達はアルビオ殿下の言うとおりに、ローテーションで睡眠をとり、地上へと向かっていった。探索を含まないので、五日で地上へと戻る事が出来た。
地上には、すでに探索を終えたアルビオ殿下の部下の方々が待機していた。
「異変を見つけた。今後の方針を考えるために、一度スルーニアへと戻る。すぐに準備をしろ」
『はっ!!』
部下の方々は、直ぐさま行動を開始して、たったの十分で、準備を整えた。そして、全員でスルーニアへと帰って行った。スルーニアに着くと、アルビオ殿下が私達の方を振り返った。
「アイリスとキティは、もう家に帰ってもいいぞ。ライネル達は報酬の受け渡しがあるが、お前達は、給料にプラスする形だからな。ガルシアと話して、今後の事が確定すれば、二人にも何かしらの指示が降る可能性もあるから、その時は頼む」
「分かりました。では、失礼します」
「ん」
私とキティさんは、アルビオ殿下達と別れて、自宅の方に向かった。
「後、残っているのは、更新された未探索領域の攻略だけですよね?」
「ん。ゴブリンキングの先にある部分を調べる。そこからは、新しい階層の攻略みたいになると思う」
「それだと、ただのダンジョン攻略ですし、私の出る幕はないと思うんですが……」
「アイリスは、凄く強いから、探索メンバーになる可能性は高い。今日の調査の続きという事になるだろうから」
「……なるほど、その可能性は確かにありますね」
そんな風に話ながら歩いていき、自宅前まで来た。
「電気が点いていないですし、今日はリリアさん、お仕事みたいですね?」
「ん。でも、仕方ない。取りあえず、お風呂に入る。さすがに、このまま会うのはやだ」
「そうですね。綺麗な身体になってから、リリアさんに会いましょう」
私とキティさんは、家に帰ってきて、すぐにお風呂へと向かった。キティさんを丁寧に、そして徹底的に洗ってから、自分も同じように徹底的に洗う。
リリアさんが帰ってきた時に、臭いとか思われたら嫌だから。
洗った後は、キティさんと二人で湯船に浸かって、身体の疲れを解しながら、少し話をした。
そして、私達はお風呂から上がって服を着替えた頃に、リリアさんが息せき切って帰ってきた。
1
あなたにおすすめの小説
ダンジョン嫌いの元英雄は裏方仕事に徹したい ~うっかりA級攻略者をワンパンしたら、切り抜き動画が世界中に拡散されてしまった件~
厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
「英雄なんて、もう二度とごめんだ」
ダンジョン出現から10年。
攻略が『配信』という娯楽に形を変えた現代。
かつて日本を救った伝説の英雄は、ある事情から表舞台を去り、ダンジョン攻略支援用AI『アリス』の開発に没頭する裏方へと転身していた。
ダンジョンも、配信も、そして英雄と呼ばれることも。
すべてを忌み嫌う彼は、裏方に徹してその生涯を終える……はずだった。
アリスの試験運用中に遭遇した、迷惑系配信者の暴挙。
少女を救うために放った一撃が、あろうことか世界中にライブ配信されてしまう。
その結果――
「――ダンジョン嫌いニキ、強すぎるだろ!!」
意図せず爆増するファン、殺到するスポンサー。
静寂を望む願いをよそに、世界は彼を再び『英雄』の座へと引きずり戻していく。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる