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最終章 最強のギルド職員は平和に暮らしたい
炎竜戦
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一方その頃。キティ達は、赤い鱗を持つ炎竜と戦っていた。魔王の後に続いて襲来した炎竜は、まっすぐキティ達を襲ったのだ。
「無理に防御しようとするな! 奴の攻撃は回避に集中しろ!」
ガルシア達よりも練度が低い冒険者や兵士では、炎竜の攻撃に耐える事は出来ないので、確実に回避するしかない。だが、そもそもの速度も足りないので、負傷者が大勢出ていた。
「負傷者の回収を急げ! その他は、ドラゴンを攻撃するぞ!」
アルビオの号令に冒険者と兵士達が、炎竜に突撃する。その中にアルビオの姿もある。炎竜が襲来した際、アルビオを後方に下げるという考えが出て来ていたのだが、アルビオが「この状況で、お前達を見捨てて退けるわけがないだろう」と断固拒否したのだ。
冒険者や兵士達の技が炎竜の脚に命中していく。
『ガアアアアアアアアアアアア!!!!』
接近してきた冒険者と兵士達に対して、炎竜は前脚を振うことで対処した。ただ前脚で薙ぎ払っただけでも、冒険者や兵士達にとっては掠れば重傷を負ってしまうような危険な攻撃だった。炎竜に攻撃していた全員が死に物狂いで退避する。幸い、この攻撃で負傷者は出なかった。
攻撃を空振った炎竜は逃げていく人達に、炎を吐き出し追い打ちを掛ける。
「魔法部隊! 防御しろ!」
アルビオの合図で魔法部隊が、水の膜を生み出し、炎竜の炎を打ち消す。水蒸気が撒き散らされる。それを魔法部隊が風で払っていく。それに乗じて、近接部隊が再接近し技を打ち込んでいく。
何度も技を打たれた炎竜は、咆哮しながら空を飛ぶ。そこに今度はキティ達遠距離物理攻撃部隊と魔法部隊の技と魔法が怒濤のように押し寄せた。
『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
墜落する事さえなかったが、多少のダメージを負わせる事は出来ていた。地竜と違う点は、空を飛ぶという事だけでは無かった。地竜よりも耐久性が劣っているのだ。これは、アルビオ達にとって嬉しい違いだった。地竜と戦っていないアルビオ達は知る由もなかったが。
「空からの炎に気を付けつつ、周囲から襲ってくる魔族に対応しろ!」
炎竜との戦いが始まっても、魔族との戦いが終わったわけではない。数こそ減っているが、それでも脅威がなくなったとは言えなかった。
炎竜の攻撃をくぐり抜けながら、アルビオ達に襲い掛かってきていた。下手をすれば、自分自身が炎竜の攻撃に巻き込まれるというのに、魔族達は全く躊躇していなかった。炎竜と魔族の両方を注意しないといけない人族側が不利だと言わざるを得ないだろう。
(この状況……打開する術は……)
アルビオは、襲い掛かるミノタウロスを一刀両断しつつ周囲の観察を続け、突破口がないかどうかを探し続けていた。炎竜に対しては、現在キティ達が対応しているが、それでも炎竜を倒せるとは思えなかった。
(魔族の減りは、こっちの想定よりも早い。こっちを殲滅し、炎竜に集中する。それが最善か)
魔族の残り数は、数十体。炎竜の攻撃が邪魔になっているが、これ以上苛烈にならなければ、それも可能だと考えられた。
「魔族の殲滅を優先する! 遠距離攻撃が出来る者達は、空を飛ぶ炎竜に集中! 奴が降りてくれば、俺達もそちらを優先する! 分かったな!」
『はっ!』
炎竜が降りてくれば、魔族の対処どころでは無くなる。そのため、炎竜が降りてくれば、そっちに対処しなくてはいけなくなる。今の内のどこまで削れるかが鍵となってくるだろう。
その指示を聞いたキティは、まっすぐ炎竜を見据える。そこである事に気が付いた。
(炎竜の高さが上がった?)
先程までは、普通の矢でも技を使えば、届くくらいの高さにいた。その方が炎竜も攻撃しやすかったからだ。だが、そこから更に上へと逃げられてしまえば、技を使ったとしても届かなくなってしまう。
このことには、魔族に対処しているアルビオも気が付いていた。
(炎竜の動きが変わった。これは、早めにこっちのケリを付けた方が良さそうだな……)
アルビオは、残りの魔族の数を確かめる。魔族の数は二十三体。炎竜が次の行動を取る前に倒しきれるか、少し怪しいところだ。だが、アルビオはその考えを表情には出さなかった。
「ここで倒しきるぞ!」
『おう!』
アルビオ達は、一斉に残りの魔族に迫っていく。その直後、炎竜が動きを見せた。頭をもたげる。そして、徐に口を開いた。その口の中が赤熱していき、段々と白くなり、最終的に青くなる。
「魔法部隊! 水魔法で防御! お前達、魔族は放っておけ! 魔法部隊の傍に移動するぞ!」
アルビオの指示で、全員が魔法部隊の傍に移動する。
「キティ、炎竜の変化は見えるか?」
アルビオは、この中で一番視力が良いキティに炎竜の様子を訊く。
「見た目は変わっていない。だから、あの攻撃は、やろうと思えばいつでも出来たと思う」
「そうか」
アルビオは、炎竜に何かしらの変化があって、あの攻撃をしようとしているのではと考えたのだが、キティの話からそうではないのだと半断出来た。
「力を温存していたということか」
アルビオがそう言い終わるのと魔法部隊が頭上に水の膜を生成するのと炎竜が炎を吐き出すのは同時だった。超高温の炎は、魔法部隊が作り上げた分厚い水の膜に接触すると、水の膜を一気に沸騰させ、爆発を起こした。生み出された衝撃波で、アルビオ達は吹き飛ばされていく。さらに、爆発によって散った炎が周囲で様子を見ていた魔族達に襲い掛かった。
結果的に残りの魔族が全滅する事になった。状況が好転しているようにも思えるが、アルビオ達も無傷とはいかなかったため、それほど好転していなかった。
「ぐ……」
アルビオは、爆発の影響で耳鳴りがしていたが、少し経つと段々音が聞こえてきた。そのアルビオの耳に小さな呻き声が聞こえてくる。
「大丈夫か、キティ?」
呻き声の正体は、キティだった。爆発が起こった際に、アルビオは傍にいたキティを庇っていたのだ。それでも然程怪我をしていないのは、運が良かった。
「……?」
アルビオに安否を問われたキティは、怪訝な顔をしてアルビオを見ていた。それだけでなく、耳を忙しなく動かしていた。
聴力に優れているキティは、先程の爆発で、アルビオ以上に聴覚が麻痺しているのだ。一時的なものなので治りはするだろう。
「まだ戦えるか?」
アルビオは、身振り手振りでキティに問いかける。
「よく分からないけど、耳が聞こえないだけ。目は見えるし、身体も動くから大丈夫」
「そうか。無理はするな。良いな?」
「ん」
キティは、耳による探知を使えないので、いつも以上に周囲を目で確認していた。キティが大丈夫だという事が分かったアルビオは、周囲を見回す。
(炎竜が追撃をしてこないのは、爆発の影響で生じた蒸気と砂煙で、俺達の姿を確認出来ないからか。まぁ、それはこちらも同じだが、羽音で空を飛んでいる事だけは分かる。今の内に負傷者を後ろに退かせるか……いや、ここで目眩ましから出てしまえば、即座に炎竜に狙われるだろう……)
アルビオがそう考えていると、キティがアルビオの裾を引く。
「どうした?」
「炎竜の位置がある程度分かるなら、この状況を利用して攻撃するのも有りだと思う。常に移動しながらなら、炎竜に位置を悟られても、ギリギリ避けられる」
「……そうだな。魔法部隊! 音を頼りに、魔法を放て! だが、風魔法だけは使うな! 常に動き回れ! この状況を最大限利用しろ! 他の者は、動けない負傷者を一箇所に集めるんだ! これが晴れた瞬間に、後方へと移送する!」
『はっ!』
アルビオの耳に届いた返事は、爆発が起こる前よりも確実に減っていた。それだけ負傷者が出ているという事だ。アルビオは、身振り手振りでキティに付いてくるよう伝え、移動を始める。
それと同時に周囲から魔法が撃ち出される音が聞こえ始める。魔法のほとんどは、炎竜とは少し違うところに飛んでいったが、いくつかの魔法は炎竜に向かっていった。
炎竜は空を縦横無尽に飛び回って避ける。目視で確認が取れれば、炎竜の動きなどを想定して攻撃を当てる事が出来るのだが、この状況ではそれも叶わない。
その間に、アルビオは負傷者達の元に移動した。砂煙などから出ないように移動しているためか、負傷者はどんどんと集まってきていた。そのほとんどが爆発による負傷で、すぐに死に至るような負傷をしているものはいなかった。気絶している者も何人かいる。
「全員無事だな。キティのように五感に異常がある奴はいるか?」
アルビオの問いに、全員が首を振る。獣人はキティだけなので、五感に狂いが生じる危険性が高い者は少ないのだ。多少聞こえにくいというのはあるかもしれないが、進言しない以上、戦闘に問題はないという事だ。
「魔法部隊が攻撃をしているが、恐らく大した効果はないだろう。目視出来るのと出来ないでは差が大きいからな。これが晴れた時の作戦だが、まずは、奴の機動力を削ぐ。狙うは羽だ。これには、魔法部隊よりも俺達近接部隊の働きが重要になる。気を引き締めろ」
『はっ!』
アルビオの指示が下された直後、一気に砂煙と蒸気が取り払われてしまった。見えない位置から撃たれる魔法が鬱陶しくなったからだ。羽の羽ばたきで砂煙と蒸気を払ったということは、それだけ低空飛行になっているということだ。
「『フォーカス・アロー』」
歪な形をした水の矢が、炎竜に命中する。それを皮切りに、大量の水魔法などが撃ち込まれていく。炎竜は、また空を縦横無尽に動いて避けようとする。その直前、地面から石の鎖が打ち出され、炎竜の四つ足に絡みつく。
「これだけで安心するな! 鎖は常に増やしていけ! 弓持ちは、どんどん撃て! 俺達は突撃する! ここで決めるぞ!」
『はっ!』
炎竜との戦いも、苛烈さが増していった。
「無理に防御しようとするな! 奴の攻撃は回避に集中しろ!」
ガルシア達よりも練度が低い冒険者や兵士では、炎竜の攻撃に耐える事は出来ないので、確実に回避するしかない。だが、そもそもの速度も足りないので、負傷者が大勢出ていた。
「負傷者の回収を急げ! その他は、ドラゴンを攻撃するぞ!」
アルビオの号令に冒険者と兵士達が、炎竜に突撃する。その中にアルビオの姿もある。炎竜が襲来した際、アルビオを後方に下げるという考えが出て来ていたのだが、アルビオが「この状況で、お前達を見捨てて退けるわけがないだろう」と断固拒否したのだ。
冒険者や兵士達の技が炎竜の脚に命中していく。
『ガアアアアアアアアアアアア!!!!』
接近してきた冒険者と兵士達に対して、炎竜は前脚を振うことで対処した。ただ前脚で薙ぎ払っただけでも、冒険者や兵士達にとっては掠れば重傷を負ってしまうような危険な攻撃だった。炎竜に攻撃していた全員が死に物狂いで退避する。幸い、この攻撃で負傷者は出なかった。
攻撃を空振った炎竜は逃げていく人達に、炎を吐き出し追い打ちを掛ける。
「魔法部隊! 防御しろ!」
アルビオの合図で魔法部隊が、水の膜を生み出し、炎竜の炎を打ち消す。水蒸気が撒き散らされる。それを魔法部隊が風で払っていく。それに乗じて、近接部隊が再接近し技を打ち込んでいく。
何度も技を打たれた炎竜は、咆哮しながら空を飛ぶ。そこに今度はキティ達遠距離物理攻撃部隊と魔法部隊の技と魔法が怒濤のように押し寄せた。
『ガアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
墜落する事さえなかったが、多少のダメージを負わせる事は出来ていた。地竜と違う点は、空を飛ぶという事だけでは無かった。地竜よりも耐久性が劣っているのだ。これは、アルビオ達にとって嬉しい違いだった。地竜と戦っていないアルビオ達は知る由もなかったが。
「空からの炎に気を付けつつ、周囲から襲ってくる魔族に対応しろ!」
炎竜との戦いが始まっても、魔族との戦いが終わったわけではない。数こそ減っているが、それでも脅威がなくなったとは言えなかった。
炎竜の攻撃をくぐり抜けながら、アルビオ達に襲い掛かってきていた。下手をすれば、自分自身が炎竜の攻撃に巻き込まれるというのに、魔族達は全く躊躇していなかった。炎竜と魔族の両方を注意しないといけない人族側が不利だと言わざるを得ないだろう。
(この状況……打開する術は……)
アルビオは、襲い掛かるミノタウロスを一刀両断しつつ周囲の観察を続け、突破口がないかどうかを探し続けていた。炎竜に対しては、現在キティ達が対応しているが、それでも炎竜を倒せるとは思えなかった。
(魔族の減りは、こっちの想定よりも早い。こっちを殲滅し、炎竜に集中する。それが最善か)
魔族の残り数は、数十体。炎竜の攻撃が邪魔になっているが、これ以上苛烈にならなければ、それも可能だと考えられた。
「魔族の殲滅を優先する! 遠距離攻撃が出来る者達は、空を飛ぶ炎竜に集中! 奴が降りてくれば、俺達もそちらを優先する! 分かったな!」
『はっ!』
炎竜が降りてくれば、魔族の対処どころでは無くなる。そのため、炎竜が降りてくれば、そっちに対処しなくてはいけなくなる。今の内のどこまで削れるかが鍵となってくるだろう。
その指示を聞いたキティは、まっすぐ炎竜を見据える。そこである事に気が付いた。
(炎竜の高さが上がった?)
先程までは、普通の矢でも技を使えば、届くくらいの高さにいた。その方が炎竜も攻撃しやすかったからだ。だが、そこから更に上へと逃げられてしまえば、技を使ったとしても届かなくなってしまう。
このことには、魔族に対処しているアルビオも気が付いていた。
(炎竜の動きが変わった。これは、早めにこっちのケリを付けた方が良さそうだな……)
アルビオは、残りの魔族の数を確かめる。魔族の数は二十三体。炎竜が次の行動を取る前に倒しきれるか、少し怪しいところだ。だが、アルビオはその考えを表情には出さなかった。
「ここで倒しきるぞ!」
『おう!』
アルビオ達は、一斉に残りの魔族に迫っていく。その直後、炎竜が動きを見せた。頭をもたげる。そして、徐に口を開いた。その口の中が赤熱していき、段々と白くなり、最終的に青くなる。
「魔法部隊! 水魔法で防御! お前達、魔族は放っておけ! 魔法部隊の傍に移動するぞ!」
アルビオの指示で、全員が魔法部隊の傍に移動する。
「キティ、炎竜の変化は見えるか?」
アルビオは、この中で一番視力が良いキティに炎竜の様子を訊く。
「見た目は変わっていない。だから、あの攻撃は、やろうと思えばいつでも出来たと思う」
「そうか」
アルビオは、炎竜に何かしらの変化があって、あの攻撃をしようとしているのではと考えたのだが、キティの話からそうではないのだと半断出来た。
「力を温存していたということか」
アルビオがそう言い終わるのと魔法部隊が頭上に水の膜を生成するのと炎竜が炎を吐き出すのは同時だった。超高温の炎は、魔法部隊が作り上げた分厚い水の膜に接触すると、水の膜を一気に沸騰させ、爆発を起こした。生み出された衝撃波で、アルビオ達は吹き飛ばされていく。さらに、爆発によって散った炎が周囲で様子を見ていた魔族達に襲い掛かった。
結果的に残りの魔族が全滅する事になった。状況が好転しているようにも思えるが、アルビオ達も無傷とはいかなかったため、それほど好転していなかった。
「ぐ……」
アルビオは、爆発の影響で耳鳴りがしていたが、少し経つと段々音が聞こえてきた。そのアルビオの耳に小さな呻き声が聞こえてくる。
「大丈夫か、キティ?」
呻き声の正体は、キティだった。爆発が起こった際に、アルビオは傍にいたキティを庇っていたのだ。それでも然程怪我をしていないのは、運が良かった。
「……?」
アルビオに安否を問われたキティは、怪訝な顔をしてアルビオを見ていた。それだけでなく、耳を忙しなく動かしていた。
聴力に優れているキティは、先程の爆発で、アルビオ以上に聴覚が麻痺しているのだ。一時的なものなので治りはするだろう。
「まだ戦えるか?」
アルビオは、身振り手振りでキティに問いかける。
「よく分からないけど、耳が聞こえないだけ。目は見えるし、身体も動くから大丈夫」
「そうか。無理はするな。良いな?」
「ん」
キティは、耳による探知を使えないので、いつも以上に周囲を目で確認していた。キティが大丈夫だという事が分かったアルビオは、周囲を見回す。
(炎竜が追撃をしてこないのは、爆発の影響で生じた蒸気と砂煙で、俺達の姿を確認出来ないからか。まぁ、それはこちらも同じだが、羽音で空を飛んでいる事だけは分かる。今の内に負傷者を後ろに退かせるか……いや、ここで目眩ましから出てしまえば、即座に炎竜に狙われるだろう……)
アルビオがそう考えていると、キティがアルビオの裾を引く。
「どうした?」
「炎竜の位置がある程度分かるなら、この状況を利用して攻撃するのも有りだと思う。常に移動しながらなら、炎竜に位置を悟られても、ギリギリ避けられる」
「……そうだな。魔法部隊! 音を頼りに、魔法を放て! だが、風魔法だけは使うな! 常に動き回れ! この状況を最大限利用しろ! 他の者は、動けない負傷者を一箇所に集めるんだ! これが晴れた瞬間に、後方へと移送する!」
『はっ!』
アルビオの耳に届いた返事は、爆発が起こる前よりも確実に減っていた。それだけ負傷者が出ているという事だ。アルビオは、身振り手振りでキティに付いてくるよう伝え、移動を始める。
それと同時に周囲から魔法が撃ち出される音が聞こえ始める。魔法のほとんどは、炎竜とは少し違うところに飛んでいったが、いくつかの魔法は炎竜に向かっていった。
炎竜は空を縦横無尽に飛び回って避ける。目視で確認が取れれば、炎竜の動きなどを想定して攻撃を当てる事が出来るのだが、この状況ではそれも叶わない。
その間に、アルビオは負傷者達の元に移動した。砂煙などから出ないように移動しているためか、負傷者はどんどんと集まってきていた。そのほとんどが爆発による負傷で、すぐに死に至るような負傷をしているものはいなかった。気絶している者も何人かいる。
「全員無事だな。キティのように五感に異常がある奴はいるか?」
アルビオの問いに、全員が首を振る。獣人はキティだけなので、五感に狂いが生じる危険性が高い者は少ないのだ。多少聞こえにくいというのはあるかもしれないが、進言しない以上、戦闘に問題はないという事だ。
「魔法部隊が攻撃をしているが、恐らく大した効果はないだろう。目視出来るのと出来ないでは差が大きいからな。これが晴れた時の作戦だが、まずは、奴の機動力を削ぐ。狙うは羽だ。これには、魔法部隊よりも俺達近接部隊の働きが重要になる。気を引き締めろ」
『はっ!』
アルビオの指示が下された直後、一気に砂煙と蒸気が取り払われてしまった。見えない位置から撃たれる魔法が鬱陶しくなったからだ。羽の羽ばたきで砂煙と蒸気を払ったということは、それだけ低空飛行になっているということだ。
「『フォーカス・アロー』」
歪な形をした水の矢が、炎竜に命中する。それを皮切りに、大量の水魔法などが撃ち込まれていく。炎竜は、また空を縦横無尽に動いて避けようとする。その直前、地面から石の鎖が打ち出され、炎竜の四つ足に絡みつく。
「これだけで安心するな! 鎖は常に増やしていけ! 弓持ちは、どんどん撃て! 俺達は突撃する! ここで決めるぞ!」
『はっ!』
炎竜との戦いも、苛烈さが増していった。
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