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最終章 最強のギルド職員は平和に暮らしたい
聖剣
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クロウを背負った愛羅は、やっとの思いで後方へと帰還する事が出来た。
「愛羅さん!?」
ちょうど天幕から出て来た血塗れの美夏萌は、息も絶え絶えの状態でクロウを背負っている愛羅を見て慌てて駆け寄った。
「クロウさんが……腕を斬り落とされて……」
愛羅は、息も整わないうちに状態を伝えようとしていた。
「大丈夫。そこは見れば分かるから。そこの天幕に運んで。クロウさんの腕は回収出来なかったのかしら?」
美夏萌の質問に、愛羅はこくりこくりと頷いた。そして、美夏萌の言う通りに天幕の中に入っていく。そこには、処置用のベッドが置かれていた。その上は、血塗れのシーツが掛けられている。
「ちょっと待ってて」
美夏萌は、血塗れのシーツを外すと、新たらしいものに替えた。そこにクロウを乗せる。
「……回復魔法じゃ中途半端になるわね。ミリーさんを呼んでくるわ。愛羅さんは、そこの椅子で休んでいて」
「はい……」
言われた通り愛羅が座るのを見て、美夏萌は急いでミリーを呼びに向かった。そして、二分もしない内に美夏萌とミリーが戻ってきた。
クロウの容態を見たミリーは、一瞬顔を歪めたが、すぐに元の表情に戻して、行動に移る。
「現状の止血処理では不十分です。すぐに魔法による止血と物理的に縫合して、傷口を塞ぎます。それと輸血の用意も」
「分かりました!」
美夏萌は、ミリーに従って天幕を出ていった。必要なものを取りに行くためだ。その間に、ミリーはテキパキと処置していく。そして、美夏萌が戻ってくると、すぐに外科的治療に移っていった。
元の世界でそんな経験はない美夏萌も、何度も手伝っている内にスムーズに手伝えるようになっていた。
「もう大丈夫そうですね。クロウさんもこんな怪我をするなんて……他の方々は無事でしょうか……」
ミリーは、心配そうな表情で戦場の方角を見る。同様に美夏萌も戦場の方角を見ていた。
(宗近君、千晶さん。どうか、無事でいて……)
美夏萌が祈っていると、衛生兵が天幕に入ってくる。
「負傷者が運ばれてきました!」
美夏萌とミリーは、互いに頷き合った行動を始める。ミリーが先に天幕を出ていき、美夏萌も後に続こうとしたが、その直前で脚を止める。そして、椅子で休んでいる愛羅の元に向かった。
「私達が戻ってくるまで、クロウさんを見ていてくれる? もし何か異常があったら、私達を呼びに来て。良いわね?」
「はい」
美夏萌の指示に、愛羅はこくりと頷いた。それを見て、美夏萌は負傷者の手当をしに向かう。
────────────────────────
「食らえ!」
宗近の剣を魔王は剣で受け止める。何度も何度も繰り返していた行為だからか。宗近はある事に気が付いた。
(魔王の力が弱まった!?)
さっきまでと違い、剣を押す魔王の力が弱まっているのだ。
(ここだ!)
「『セイクリッド・スラッシュ』!!」
青白い光を纏った一撃が、魔王に打ち込まれる。魔王は、何とかその一撃を受け止める。確実に魔王の力は弱まっているのだが、それでも宗近の技を受け止める事は出来るのだった。
「皆! 今の内だ! なぜだか分からないが、魔王は弱っている!」
宗近の言葉に、ガルシア、ライネルが反応する。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はああああああああああああああああ!!」
宗近が抑えつけている魔王の上から、大剣と大斧が振り下ろされる。魔王は、宗近の攻撃を受けたまま、その二振りを受け止める。三つの攻撃を受け止めている魔王の足元が大きく陥没する。
「このまま押し潰す!!」
ガルシアの号令に合わせるように、ライネルと宗近も力を込める。その時、魔王の足元。その影が怪しく蠢く。それを目視したガルシア達は、素早く飛び退る。
「あの影は厄介だな……」
ガルシアは、魔王の足元に戻っていく影を見ながらそう呟いた。
(これまでの攻防から、影の常時展開は出来ないと見ていいだろう。だが、こちらが優位に立つ場面では、確実に使用してくる。ここを突破出来ないとトドメを刺すのは厳しそうだな)
ガルシアは、これまでの戦闘で得た魔王の動きを思い出し、そう結論づけた。だが、一つだけ腑に落ちていないことがあった。
それは、唐突な魔王の弱体化である。ここまで魔王と戦ってきたが、どう考えても魔王を弱らせるようなダメージを与えていないのだ。
(復活したとは言え、万全な状態ではないという事か?)
そんな事を考えている間も戦闘は続いている。宗近が振う聖なる攻撃を魔王は次々に弾いている。そこにマインと千晶による魔法攻撃が挟まっていく。
「ちっ……」
魔王は舌打ちをして、マインと千晶の方を見る。
「させるか!」
宗近は、視線を切るように間に割り込み、魔王に向かって剣を振う。その攻撃を魔王は影で受け止めて、その脇を抜けていった。
「接近戦で潰すつもりか! ドルトル!!」
ガルシアの声を受けたドルトルは、マインと千晶の前に陣取って、大盾を構えている。完全に攻撃を捨てて、防御に集中する。
(今なら、僕でも出来るはずだ……!)
ドルトルを躱してマイン達を攻撃しようとする魔王の考えを見透かしたドルトルは、魔王の動きを読んで間に割り込む。
「『シールド・バッシュ』!」
ただの盾による強打だが、魔王の身体を大きく後退させる事が出来た。ガルシア達は、ここからも魔王が弱っているような印象を受けた。
大きく後退させられている魔王に、マインと千晶が追撃を掛ける。氷の槍と岩の槍が何本も撃ち出される。
魔王は、その全てを剣で打ち払う。その背後から、ライネルが迫っていた。
「『フルスイング』」
大斧が魔王の背中目掛けて、大斧が大きく振られる。その攻撃は、魔王の影によって防がれる。
「『ブル・ラッシュ』」
真横から突進してきたガルシアの大剣による刺突が、魔王に迫る。剣と影。そのどちらも使用している今なら、魔王も対応出来ないのではないかと考えたのだ。
これで決まる。この場で魔王以外の全員が胸中で思った事だ。
「!?」
そこまで甘くはなかった。ガルシアの隙を狙った一撃は、マイン達の魔法を無視した魔王の剣によって防がれた。結果、マインと千晶の魔法が魔王に迫る……事はなかった。真後ろにいるライネルはともかく横にガルシアがいれば、巻き込んでしまう可能性が高いからだ。
魔王は、ガルシア達の絆の強さから仲間に当たるという懸念があれば、攻撃を止めると考えたのだ。
「攻撃の手を緩めるな!!」
ガルシアは、大剣を握る力を強める。例え自分に当たるとしても攻撃を止めるなという意味を込めて言った。千晶はそれでも躊躇いがあり、すぐに応える事は出来なかったが、マインは、一切の躊躇もなしに魔法による弾幕を再開した。
同時に、ライネルも大斧による連撃が始まる。
「ちっ……!」
魔王は、ガルシアがここにいれば魔法は使われないと考えていたが、マインの躊躇のなさに思わず舌打ちが溢れた。
魔法の弾幕を影で防ぎ、ライネルの連撃を空いている方の手で自身に当たらないように捌いていった。ライネルの連撃よりも、ガルシアの刺突の方が危険と判断したからだ。
「こっちに力を割く余裕はないというのに……」
魔王の呟きにガルシアは、怪訝な表情をする。だが、それも次の瞬間には消えた。そんな余裕がなくなったからだ。
「『シャドウ・アバター』」
魔王の影が蠢き、魔王と全く同じ姿を形作った。影の魔王は、魔法を斬り裂きながらマイン達の方に向かう。
「ライネル!」
「ああ!」
ライネルは、魔王への攻撃を止めて、影を追う。これで手が空いたと思った魔王の背後から、これまで気配を消していた宗近が襲い掛かる。
「『サンクトゥス・グラディウス・ペアキュート』!」
迸る青白い光を纏った宗近の剣が、魔王目掛けて振られる。さすがに、素手でこれに対応するのは無理があると判断した魔王は身体を傾けて、無理矢理ガルシアの攻撃を受け流す。
「くっ……」
何とか魔王を押し留めようとしていたガルシアだったが、さすがにそこに対応することが出来ず、されるがまま受け流される。
そして、無理矢理受け流した魔王は体勢を大きく崩していた。そこに宗近の技が迫る。魔王は、崩れている体勢のまま漆黒の剣で防ぐ。
「『ナイトメア・エンチャント』」
魔王の剣が黒い光を纏う。魔王の剣と宗近の剣がぶつかり合う。碌に踏ん張ることも出来ない魔王は、そのまま吹き飛ばされる。ここまでは宗近も予想していた事。だが、この後、宗近だけでなくガルシア達も予期していなかった事が起こった。
「なっ……!? 剣が……!」
宗近の剣の刀身が、粉々に砕け散ったのだ。それを好機とみた魔王が、着地と同時に踏み込んできた。その間にガルシアが割り込み、宗近に近づけさせなかった。
「宗近! 一旦下がれ! 武器を調達してこい!」
魔王相手に素手で戦うのは無理があると判断したガルシアは、宗近に向かってそう指示する。
「わ、分かった!」
宗近は、剣を探すために戦場から離れようとする。
「宗近! 後ろだ!」
離れたところからしたライネルの声に反応し、宗近が後ろを振り向くと、先程までライネルとドルトルで抑えていた魔王の影が、すぐそこまで迫ってきていた。剣もなく無防備な状態の宗近では、この影に対応する事が出来ない。
ガルシアは魔王に対応しているので、宗近を守りに向かう事が出来ない。さらに、ライネルとドルトルも突然の反転に反応しきれず、追いつくことが出来ない。マインと千晶も魔法の構築が間に合っていない。
もう目の前まで死が迫っている。宗近は、段々を周囲の動きが鈍くなっていくのを感じていた。
(このままでは死ぬ……元の世界に戻ることも出来ずに、こんなところで……)
宗近の脳裏には、元の世界での生活がフラッシュバックしていた。
(駄目だ。こんなところで死ねない! ここで俺が死んだら、愛羅も千晶も先輩も、皆、殺される。そんなのは駄目だ!)
宗近は、故郷に帰ることが出来ない事よりも、自分が死んだ後に愛羅達も犠牲になってしまうだろうという事の方が受け入れられなかった。
「俺は! 死ねない!」
宗近は、刀身を失った剣の柄を強く握る。そして、迫ってくる影の剣に対して、刀身を失った剣を振った。魔王や他の面々から見れば、何も意味の無い行動。だが、宗近には、この行動が最良の行動だという予感めいた物があった。
その宗近の行動を見て、魔王の表情が動く。それも焦りの方向に。
次の瞬間、宗近が握っていた剣の柄すらも砕け散った。そして、宗近の手の中で新しい剣が生成されていく。それは、宗近の技の際に纏わせるような青白く綺麗な剣だった。
影の剣と新たに生成された宗近の剣がぶつかり合う。すると、影の剣が消滅し、そのまま魔王の影すらも斬り裂き消滅させた。
「な、何だ……この剣は……」
宗近は、突然自分の手に出現した剣を見て、驚愕していた。今まで自分が使っていた剣とは天と地の差がある。それくらいに桁違いの力が秘められていた。
そんな宗近に、ガルシアを抜いてきた魔王が剣を振り下ろす。宗近は、防御して受け止めた。すると、今までよりも遙かに楽に受け止める事が出来た。
(この剣を手にしてから、力が湧き上がる……もしかして、これが……)
「ちっ、死を目の前にして、聖剣を手にしたか……毎度の事ながら随分と都合が良いものだな」
魔王の言葉で、宗近は確信した。自身が持っているこの剣が、魔王を倒すための剣である聖剣であることに。
「これなら!!」
宗近は魔王の剣を弾き、攻勢に出る。今までは簡単に受け流され弾かれていたのだが、聖剣による攻撃を簡単に捌くことは出来ないらしく、魔王も剣を使った防御よりも回避が多くなっていた。
(なるほどな……)
「『ナイトメア・エンチャント』」
魔王の漆黒の剣が黒い光を纏う。先程宗近の剣を砕いた技だ。だが、宗近の顔に焦りは無かった。今の聖剣なら、これくらいどうとでも出来るだろうと考えているのだ。宗近と魔王の剣が打ち合う。
「!?」
宗近は、前とは別の意味で驚愕する。聖剣がいとも容易く弾かれたからだ。
「やはり、聖剣を手にすることは出来ても、まだ使いこなすことは出来ないようだな」
「使い……こなす……?」
魔王の言葉に眉を顰める。
(聖剣は、持っているだけでは意味がないのか……だが、どうすれば良い……どうすれば使えるんだ……)
宗近は、魔王と打ち合いながら、聖剣をどう使えば良いのかを考え続けていた。今の状況では、聖剣はただの頑丈で聖属性を纏っている剣だ。
この打ち合いにガルシアとライネルが入り込む。攻撃を受けるくらいであれば、ガルシアとライネルでもギリギリ出来る。
「その剣は何だ!?」
「聖剣だ。だが、使いこなせていないらしい」
「……集中しろ。剣の声を聞け。そうやって、勇者は聖剣を使うらしい。ただの伝承だがな」
ガルシアはそう伝えると、魔王の攻撃を受けるために前に出る。ガルシアとライネルは、交代交代で魔王の攻撃を受けていく。
「剣の声……?」
ガルシアとライネルは、ただの時間稼ぎしか出来ない。それも、魔王が弱っている間だけだ。その間に、宗近は聖剣の声なるものを聞かないといけない。
「くそっ! やれるだけやるだけだ!」
宗近は剣の腹に自分の額を付ける。声を聞くと言われて、真っ先に思いついた方法がこれだったのだ。その宗近の周りに氷の壁が出来ていく。この状況を見たマインが千晶と一緒に生成したのだ。その後、ガルシアとライネルを魔法で援護していく。
それらをくぐり抜けた魔王が、宗近に接近すると、その間に大盾を持ったドルトルが割り込む。
「僕だって……やるときはやるんだ!!」
魔王の攻撃をドルトルが受け止めた。ドルトルは、魔王の攻撃を踏ん張って耐える。その間に戻ってきたガルシアとライネルが、魔王に攻撃を加える。
「ドルトル! 無理はするな! 良いな!?」
「はい!」
ライネルの言葉を受け、盾を握るドルトルの手に力が籠もる。ガルシアとライネルによって宗近から離された魔王に、また魔法の援護が入る。
ここに来て、これまでの戦闘の中で一番の連携を見せていた。魔王は、聖剣を覚醒させようとしている宗近を早々に殺したいところだが、ガルシア達の連携により、宗近からどんどんと離されていた。
魔王の顔に苛立ちが表れ始める。そんな中、突然魔王が膝を突いた。
「ぐっ……」
「今が好機だ! 攻めろ!」
ガルシアとライネルが大剣と大斧を振う。魔王は、当たる直前で飛び退いて避ける。そして、口から血を吐き出す。そこに、マインと千晶の魔法が殺到する。
「ちっ……こんな時に……」
魔王は舌打ちをしながら、影で繭を作り出し、引き籠もった。これまでの一時的なしのぎでは無く、半永続的に守り続けるものだ。突然生じた身体のダメージを回復させるために時間を稼ぐ必要があるからだ。
「小休止か……」
ガルシアは、何度か繭に大剣を叩きつけた後、そう呟いた。自分達の力では破壊出来ないものと察したのだ。だが、これはガルシア達にとっても悪い事ばかりでは無い。この間に宗近が聖剣を覚醒させれば、例え弱る前の魔王でも倒す事が出来るはずだからだ。
「全員油断はするな。あの繭が解けた瞬間を狙って攻撃する」
ガルシアは、ここで退くという選択をしなかった。そんな事をすれば、宗近を追ってくる事は明白だ。自身を殺せる可能性を有している存在を、魔王が捨て置くはずはない。殺せる内に殺したいと考えているだろう。
つまり、ガルシア達も、ここで魔王を倒すしかないのだ。
この繭が解けた後の戦闘で、魔王か宗近のどちらかの命が落ちる事になる。
「愛羅さん!?」
ちょうど天幕から出て来た血塗れの美夏萌は、息も絶え絶えの状態でクロウを背負っている愛羅を見て慌てて駆け寄った。
「クロウさんが……腕を斬り落とされて……」
愛羅は、息も整わないうちに状態を伝えようとしていた。
「大丈夫。そこは見れば分かるから。そこの天幕に運んで。クロウさんの腕は回収出来なかったのかしら?」
美夏萌の質問に、愛羅はこくりこくりと頷いた。そして、美夏萌の言う通りに天幕の中に入っていく。そこには、処置用のベッドが置かれていた。その上は、血塗れのシーツが掛けられている。
「ちょっと待ってて」
美夏萌は、血塗れのシーツを外すと、新たらしいものに替えた。そこにクロウを乗せる。
「……回復魔法じゃ中途半端になるわね。ミリーさんを呼んでくるわ。愛羅さんは、そこの椅子で休んでいて」
「はい……」
言われた通り愛羅が座るのを見て、美夏萌は急いでミリーを呼びに向かった。そして、二分もしない内に美夏萌とミリーが戻ってきた。
クロウの容態を見たミリーは、一瞬顔を歪めたが、すぐに元の表情に戻して、行動に移る。
「現状の止血処理では不十分です。すぐに魔法による止血と物理的に縫合して、傷口を塞ぎます。それと輸血の用意も」
「分かりました!」
美夏萌は、ミリーに従って天幕を出ていった。必要なものを取りに行くためだ。その間に、ミリーはテキパキと処置していく。そして、美夏萌が戻ってくると、すぐに外科的治療に移っていった。
元の世界でそんな経験はない美夏萌も、何度も手伝っている内にスムーズに手伝えるようになっていた。
「もう大丈夫そうですね。クロウさんもこんな怪我をするなんて……他の方々は無事でしょうか……」
ミリーは、心配そうな表情で戦場の方角を見る。同様に美夏萌も戦場の方角を見ていた。
(宗近君、千晶さん。どうか、無事でいて……)
美夏萌が祈っていると、衛生兵が天幕に入ってくる。
「負傷者が運ばれてきました!」
美夏萌とミリーは、互いに頷き合った行動を始める。ミリーが先に天幕を出ていき、美夏萌も後に続こうとしたが、その直前で脚を止める。そして、椅子で休んでいる愛羅の元に向かった。
「私達が戻ってくるまで、クロウさんを見ていてくれる? もし何か異常があったら、私達を呼びに来て。良いわね?」
「はい」
美夏萌の指示に、愛羅はこくりと頷いた。それを見て、美夏萌は負傷者の手当をしに向かう。
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「食らえ!」
宗近の剣を魔王は剣で受け止める。何度も何度も繰り返していた行為だからか。宗近はある事に気が付いた。
(魔王の力が弱まった!?)
さっきまでと違い、剣を押す魔王の力が弱まっているのだ。
(ここだ!)
「『セイクリッド・スラッシュ』!!」
青白い光を纏った一撃が、魔王に打ち込まれる。魔王は、何とかその一撃を受け止める。確実に魔王の力は弱まっているのだが、それでも宗近の技を受け止める事は出来るのだった。
「皆! 今の内だ! なぜだか分からないが、魔王は弱っている!」
宗近の言葉に、ガルシア、ライネルが反応する。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はああああああああああああああああ!!」
宗近が抑えつけている魔王の上から、大剣と大斧が振り下ろされる。魔王は、宗近の攻撃を受けたまま、その二振りを受け止める。三つの攻撃を受け止めている魔王の足元が大きく陥没する。
「このまま押し潰す!!」
ガルシアの号令に合わせるように、ライネルと宗近も力を込める。その時、魔王の足元。その影が怪しく蠢く。それを目視したガルシア達は、素早く飛び退る。
「あの影は厄介だな……」
ガルシアは、魔王の足元に戻っていく影を見ながらそう呟いた。
(これまでの攻防から、影の常時展開は出来ないと見ていいだろう。だが、こちらが優位に立つ場面では、確実に使用してくる。ここを突破出来ないとトドメを刺すのは厳しそうだな)
ガルシアは、これまでの戦闘で得た魔王の動きを思い出し、そう結論づけた。だが、一つだけ腑に落ちていないことがあった。
それは、唐突な魔王の弱体化である。ここまで魔王と戦ってきたが、どう考えても魔王を弱らせるようなダメージを与えていないのだ。
(復活したとは言え、万全な状態ではないという事か?)
そんな事を考えている間も戦闘は続いている。宗近が振う聖なる攻撃を魔王は次々に弾いている。そこにマインと千晶による魔法攻撃が挟まっていく。
「ちっ……」
魔王は舌打ちをして、マインと千晶の方を見る。
「させるか!」
宗近は、視線を切るように間に割り込み、魔王に向かって剣を振う。その攻撃を魔王は影で受け止めて、その脇を抜けていった。
「接近戦で潰すつもりか! ドルトル!!」
ガルシアの声を受けたドルトルは、マインと千晶の前に陣取って、大盾を構えている。完全に攻撃を捨てて、防御に集中する。
(今なら、僕でも出来るはずだ……!)
ドルトルを躱してマイン達を攻撃しようとする魔王の考えを見透かしたドルトルは、魔王の動きを読んで間に割り込む。
「『シールド・バッシュ』!」
ただの盾による強打だが、魔王の身体を大きく後退させる事が出来た。ガルシア達は、ここからも魔王が弱っているような印象を受けた。
大きく後退させられている魔王に、マインと千晶が追撃を掛ける。氷の槍と岩の槍が何本も撃ち出される。
魔王は、その全てを剣で打ち払う。その背後から、ライネルが迫っていた。
「『フルスイング』」
大斧が魔王の背中目掛けて、大斧が大きく振られる。その攻撃は、魔王の影によって防がれる。
「『ブル・ラッシュ』」
真横から突進してきたガルシアの大剣による刺突が、魔王に迫る。剣と影。そのどちらも使用している今なら、魔王も対応出来ないのではないかと考えたのだ。
これで決まる。この場で魔王以外の全員が胸中で思った事だ。
「!?」
そこまで甘くはなかった。ガルシアの隙を狙った一撃は、マイン達の魔法を無視した魔王の剣によって防がれた。結果、マインと千晶の魔法が魔王に迫る……事はなかった。真後ろにいるライネルはともかく横にガルシアがいれば、巻き込んでしまう可能性が高いからだ。
魔王は、ガルシア達の絆の強さから仲間に当たるという懸念があれば、攻撃を止めると考えたのだ。
「攻撃の手を緩めるな!!」
ガルシアは、大剣を握る力を強める。例え自分に当たるとしても攻撃を止めるなという意味を込めて言った。千晶はそれでも躊躇いがあり、すぐに応える事は出来なかったが、マインは、一切の躊躇もなしに魔法による弾幕を再開した。
同時に、ライネルも大斧による連撃が始まる。
「ちっ……!」
魔王は、ガルシアがここにいれば魔法は使われないと考えていたが、マインの躊躇のなさに思わず舌打ちが溢れた。
魔法の弾幕を影で防ぎ、ライネルの連撃を空いている方の手で自身に当たらないように捌いていった。ライネルの連撃よりも、ガルシアの刺突の方が危険と判断したからだ。
「こっちに力を割く余裕はないというのに……」
魔王の呟きにガルシアは、怪訝な表情をする。だが、それも次の瞬間には消えた。そんな余裕がなくなったからだ。
「『シャドウ・アバター』」
魔王の影が蠢き、魔王と全く同じ姿を形作った。影の魔王は、魔法を斬り裂きながらマイン達の方に向かう。
「ライネル!」
「ああ!」
ライネルは、魔王への攻撃を止めて、影を追う。これで手が空いたと思った魔王の背後から、これまで気配を消していた宗近が襲い掛かる。
「『サンクトゥス・グラディウス・ペアキュート』!」
迸る青白い光を纏った宗近の剣が、魔王目掛けて振られる。さすがに、素手でこれに対応するのは無理があると判断した魔王は身体を傾けて、無理矢理ガルシアの攻撃を受け流す。
「くっ……」
何とか魔王を押し留めようとしていたガルシアだったが、さすがにそこに対応することが出来ず、されるがまま受け流される。
そして、無理矢理受け流した魔王は体勢を大きく崩していた。そこに宗近の技が迫る。魔王は、崩れている体勢のまま漆黒の剣で防ぐ。
「『ナイトメア・エンチャント』」
魔王の剣が黒い光を纏う。魔王の剣と宗近の剣がぶつかり合う。碌に踏ん張ることも出来ない魔王は、そのまま吹き飛ばされる。ここまでは宗近も予想していた事。だが、この後、宗近だけでなくガルシア達も予期していなかった事が起こった。
「なっ……!? 剣が……!」
宗近の剣の刀身が、粉々に砕け散ったのだ。それを好機とみた魔王が、着地と同時に踏み込んできた。その間にガルシアが割り込み、宗近に近づけさせなかった。
「宗近! 一旦下がれ! 武器を調達してこい!」
魔王相手に素手で戦うのは無理があると判断したガルシアは、宗近に向かってそう指示する。
「わ、分かった!」
宗近は、剣を探すために戦場から離れようとする。
「宗近! 後ろだ!」
離れたところからしたライネルの声に反応し、宗近が後ろを振り向くと、先程までライネルとドルトルで抑えていた魔王の影が、すぐそこまで迫ってきていた。剣もなく無防備な状態の宗近では、この影に対応する事が出来ない。
ガルシアは魔王に対応しているので、宗近を守りに向かう事が出来ない。さらに、ライネルとドルトルも突然の反転に反応しきれず、追いつくことが出来ない。マインと千晶も魔法の構築が間に合っていない。
もう目の前まで死が迫っている。宗近は、段々を周囲の動きが鈍くなっていくのを感じていた。
(このままでは死ぬ……元の世界に戻ることも出来ずに、こんなところで……)
宗近の脳裏には、元の世界での生活がフラッシュバックしていた。
(駄目だ。こんなところで死ねない! ここで俺が死んだら、愛羅も千晶も先輩も、皆、殺される。そんなのは駄目だ!)
宗近は、故郷に帰ることが出来ない事よりも、自分が死んだ後に愛羅達も犠牲になってしまうだろうという事の方が受け入れられなかった。
「俺は! 死ねない!」
宗近は、刀身を失った剣の柄を強く握る。そして、迫ってくる影の剣に対して、刀身を失った剣を振った。魔王や他の面々から見れば、何も意味の無い行動。だが、宗近には、この行動が最良の行動だという予感めいた物があった。
その宗近の行動を見て、魔王の表情が動く。それも焦りの方向に。
次の瞬間、宗近が握っていた剣の柄すらも砕け散った。そして、宗近の手の中で新しい剣が生成されていく。それは、宗近の技の際に纏わせるような青白く綺麗な剣だった。
影の剣と新たに生成された宗近の剣がぶつかり合う。すると、影の剣が消滅し、そのまま魔王の影すらも斬り裂き消滅させた。
「な、何だ……この剣は……」
宗近は、突然自分の手に出現した剣を見て、驚愕していた。今まで自分が使っていた剣とは天と地の差がある。それくらいに桁違いの力が秘められていた。
そんな宗近に、ガルシアを抜いてきた魔王が剣を振り下ろす。宗近は、防御して受け止めた。すると、今までよりも遙かに楽に受け止める事が出来た。
(この剣を手にしてから、力が湧き上がる……もしかして、これが……)
「ちっ、死を目の前にして、聖剣を手にしたか……毎度の事ながら随分と都合が良いものだな」
魔王の言葉で、宗近は確信した。自身が持っているこの剣が、魔王を倒すための剣である聖剣であることに。
「これなら!!」
宗近は魔王の剣を弾き、攻勢に出る。今までは簡単に受け流され弾かれていたのだが、聖剣による攻撃を簡単に捌くことは出来ないらしく、魔王も剣を使った防御よりも回避が多くなっていた。
(なるほどな……)
「『ナイトメア・エンチャント』」
魔王の漆黒の剣が黒い光を纏う。先程宗近の剣を砕いた技だ。だが、宗近の顔に焦りは無かった。今の聖剣なら、これくらいどうとでも出来るだろうと考えているのだ。宗近と魔王の剣が打ち合う。
「!?」
宗近は、前とは別の意味で驚愕する。聖剣がいとも容易く弾かれたからだ。
「やはり、聖剣を手にすることは出来ても、まだ使いこなすことは出来ないようだな」
「使い……こなす……?」
魔王の言葉に眉を顰める。
(聖剣は、持っているだけでは意味がないのか……だが、どうすれば良い……どうすれば使えるんだ……)
宗近は、魔王と打ち合いながら、聖剣をどう使えば良いのかを考え続けていた。今の状況では、聖剣はただの頑丈で聖属性を纏っている剣だ。
この打ち合いにガルシアとライネルが入り込む。攻撃を受けるくらいであれば、ガルシアとライネルでもギリギリ出来る。
「その剣は何だ!?」
「聖剣だ。だが、使いこなせていないらしい」
「……集中しろ。剣の声を聞け。そうやって、勇者は聖剣を使うらしい。ただの伝承だがな」
ガルシアはそう伝えると、魔王の攻撃を受けるために前に出る。ガルシアとライネルは、交代交代で魔王の攻撃を受けていく。
「剣の声……?」
ガルシアとライネルは、ただの時間稼ぎしか出来ない。それも、魔王が弱っている間だけだ。その間に、宗近は聖剣の声なるものを聞かないといけない。
「くそっ! やれるだけやるだけだ!」
宗近は剣の腹に自分の額を付ける。声を聞くと言われて、真っ先に思いついた方法がこれだったのだ。その宗近の周りに氷の壁が出来ていく。この状況を見たマインが千晶と一緒に生成したのだ。その後、ガルシアとライネルを魔法で援護していく。
それらをくぐり抜けた魔王が、宗近に接近すると、その間に大盾を持ったドルトルが割り込む。
「僕だって……やるときはやるんだ!!」
魔王の攻撃をドルトルが受け止めた。ドルトルは、魔王の攻撃を踏ん張って耐える。その間に戻ってきたガルシアとライネルが、魔王に攻撃を加える。
「ドルトル! 無理はするな! 良いな!?」
「はい!」
ライネルの言葉を受け、盾を握るドルトルの手に力が籠もる。ガルシアとライネルによって宗近から離された魔王に、また魔法の援護が入る。
ここに来て、これまでの戦闘の中で一番の連携を見せていた。魔王は、聖剣を覚醒させようとしている宗近を早々に殺したいところだが、ガルシア達の連携により、宗近からどんどんと離されていた。
魔王の顔に苛立ちが表れ始める。そんな中、突然魔王が膝を突いた。
「ぐっ……」
「今が好機だ! 攻めろ!」
ガルシアとライネルが大剣と大斧を振う。魔王は、当たる直前で飛び退いて避ける。そして、口から血を吐き出す。そこに、マインと千晶の魔法が殺到する。
「ちっ……こんな時に……」
魔王は舌打ちをしながら、影で繭を作り出し、引き籠もった。これまでの一時的なしのぎでは無く、半永続的に守り続けるものだ。突然生じた身体のダメージを回復させるために時間を稼ぐ必要があるからだ。
「小休止か……」
ガルシアは、何度か繭に大剣を叩きつけた後、そう呟いた。自分達の力では破壊出来ないものと察したのだ。だが、これはガルシア達にとっても悪い事ばかりでは無い。この間に宗近が聖剣を覚醒させれば、例え弱る前の魔王でも倒す事が出来るはずだからだ。
「全員油断はするな。あの繭が解けた瞬間を狙って攻撃する」
ガルシアは、ここで退くという選択をしなかった。そんな事をすれば、宗近を追ってくる事は明白だ。自身を殺せる可能性を有している存在を、魔王が捨て置くはずはない。殺せる内に殺したいと考えているだろう。
つまり、ガルシア達も、ここで魔王を倒すしかないのだ。
この繭が解けた後の戦闘で、魔王か宗近のどちらかの命が落ちる事になる。
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