Legend Girl!

広瀬あかり

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第十九闘:計画

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再びあの状態になった陽菜は暴走を始める。

一瞬で数人吹き飛ばされた配下に一瞬動揺を見せた鬼塚であったが、
ここまでは鬼塚の想定内であった。



それを確認した瞬間、鬼塚は右腕を振り上げた。

「全員出ろ!!」

鬼塚の号令と共に陰から10・・・いや20はいるだろうか。
一斉に鬼塚の配下たちが飛び出した。

「叩き潰せェエエエ!!」

数十人が一斉に鬼塚の腕が振り下ろされると同時に陽菜に襲い掛かる!!
 
「・・・・・ブチ・・・コロス!!」

陽菜は次々に敵をなぎ倒していく。
しかしそれも限界があることを鬼塚は知っている。

梨香さんによって止められ、敗北となったあの日。
確かに去り際に見た!お前が倒れる姿を!!
確かにこの力は恐ろしいが長続きなどしない!!
今ここで私の配下を全員投入してでもお前を完全に叩き潰す!!

しかし、鬼塚の思惑通りには行かなかった。
投入された約20人のメンバーは陽菜の手で一瞬して倒されてしまったからである。

「くっ・・・ちっ、足りないか。おい、立てる奴は今すぐ立て。」

鬼塚の指示で数人が立ち上がりまた陽菜に向かっていく。

そっと鬼塚に耳打ちする配下。
「芽衣さん、このままでは・・・!」
「分かってる、仕方ない。全員入れろ。」

その指示で、更に鬼塚側のメンバーは投入された。

「・・・・グゥ・・・!」

数分後、倒しているはずなのに減らない敵についに陽菜も疲れが見え始める。
腕を組みひたすら戦況を見つめる鬼塚。
「悪くない状況だ、うちの戦力は何人失ってもいい・・・。」

鬼塚の配下も半数ほどまで減った頃だろうか、陽菜にも限界が・・・。

突如ストン、と両膝から崩れ落ちたのだ。
鬼塚はそれを、その瞬間を見逃さなかった。

「今だ!叩けェエエエエエ!」

数人は吹き飛ばされたものの、それが最後だった。
陽菜は完全に敗北を喫した。

「全員下がれ。」

その指示で配下たちは全員下がった、その場に残ったのは倒れる陽菜一人。
傍に行き鬼塚は陽菜の体を起こす。

「意識はあるか?」
「・・・キサマラ・・・ゼンイン・・・!」
「よし、意識はあるな?上々だ。」

陽菜の身体を壁に寄り掛からせる。
「ここから先は私の質問に答えろ、いいな?
 お前の所属するグループはどこだ・・・?」
「・・・・・。」
「質問を変える、お前の名は?」
「・・ナイ・・・。」
「お前は、宮澤陽菜ではないのか?」
「・・・・アァ。」

これで鬼塚は確信した。
こいつは宮澤陽菜ではないが同じ体に宿る別人格であると。

「芽衣さん、ここから先は・・・・?」
「作戦は終了した、お前らは全員引き上げろ。
 負傷者は治療班で治療を受けるように!!」

こうして鬼塚は自らを除く全員を引き上げさせた。

「キサマ・・・ダケデモ・・・コロ・・・。」

震える身体で立ち上がろうとする陽菜を止める鬼塚。

「こっちは無傷、お前は瀕死。いくらお前でも分かるだろう?」
その言葉で陽菜は止まって座り込む。
「(・・・状況を理解はできるらしいな・・・。)」

「お前・・・うちに来ないか?」

突然のスカウトだった。
「梨香さんはお前の力を欲している、《美鬼》はお前を歓迎するぞ。
 私はお前に負けた。あれ以来梨香さんはお前の話しかしない。
 私はお前を憎んだが・・・その確かな力の前では何も言えない。
 復讐のつもりでここに来たけど・・・もういい。どうだ、来ないか。」

「・・・・・オレニソンナケッテイケンハナイ。ホンタイニキケ。」

そういうと陽菜は倒れた。
そして鬼塚はその体を抱き上げる。
「うちのメンバーが半数以下に減ってしまったか・・・しばらくは動けないな。」

その後、鬼塚は学校に戻り陽菜を等と嘘をつき保健室に運んだ。
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