21 / 54
第21話 休日ティータイム
しおりを挟む
土曜日の昼、小春と共にアニメを観ていた千秋のスマートフォンの画面に電話の通知がポップアップする。それに千秋は気がついたのだが意図的に無視してテレビ画面に視線を戻した。
「千秋ちゃん、電話出ないの?」
「せっかく小春と二人きりだもの邪魔されたくないわ」
「でも緊急の用事かもよ? ほら、相手は神木さんだしさ」
「むぅ・・・小春が言うなら・・・・・・」
この平和で幸せな時間になんなのだと、千秋は仕方なくスマートフォンを手に持ったのだが通話拒否をタップしてしまった。
「あ、切ってしまったわ」
ワザとではない。電話には出ようとしたのだが面倒だなという気持ちによって、ついうっかり指を滑らせたのだ。
「またかかってきた・・・・・・」
今度は間違えないように指さし確認をしながら通話ボタンをしっかりタップする。すると愛佳の不機嫌そうな声がスピーカーから漏れ出してきた。
「ちょっと、なんで切ったのよ」
「うっかり本心が働いてしまって、拒否ボタンに吸い込まれて・・・私の体は正直なのよ」
「オイ・・・まあいいわ。今日アンタ暇でしょ?」
「は?決めつけないでくれるかしら。今日は忙しくて死にそうなレベルよ」
「ウソつけ。アニメ観てるんでしょうが。こっちにも音が聞こえてきてんのよ」
千秋はリモコンを操作して音量を下げるがもう遅い。
「音小さくすんな! もうバレてんのよ!」
「あのね、アニメ鑑賞は暇だからやっているんじゃあないのよ。これは・・・そう、天命による果たすべき・・・」
「そういうのいいから。ともかく暇なのは分かったし、これからタイタニアという喫茶店に来てほしいの。赤時もセットでいいわよ」
「喫茶店? 何故アナタとティータイムを過ごさなければならないの?」
「理由は来た時説明するわ。ちなみに相田朱音も来るから」
それだけ告げるとブチッと電話が切れてしまった。だが、あの愛佳が千秋達吸血姫をわざわざ誘うということは何か重大な理由があるのだろう。
「仕方ないわね・・・小春、出かけることになったわ」
「了解。どこ行くの?」
「タイタニアって名前の喫茶店よ。繁華街近くにある店なのだけれど、よく神木さんは見つけたものね」
「私、知らないや。有名なの?」
「知る人ぞ知るという感じの店ね。以前相田さんと行ったことがあるわ」
テレビの電源を消し、いつも通りに学校の制服へと着替えを済まして指定された喫茶店へと向かう。
タイタニアの外観は中世ヨーロッパに存在したような城をイメージしたもので、周りの一般的な建築物に溶け込んでおらず異質に見える。その異世界から紛れ込んできたような独特な雰囲気が好きという者もいるのだろう。
「こっちよ」
店内に入ると愛佳が手を振って千秋達を席まで誘導する。既に朱音も到着していて、コーヒーを上品さを醸し出しながら飲んでいた。
「あら、ごきげんようちーちさん」
「・・・なんなのそのキャラづくりは」
「失礼しちゃいますわね。アタクシは前々から品行方正、且つ丁寧な・・・」
「気味が悪いからやめてちょうだい」
「ちぇ・・・せっかくお嬢様ごっこしてたのにぃ」
朱音は唇を尖らせて千秋のノリの悪さに抗議するが、千秋は無視して愛佳に向きなおる。
「で、要件はなにかしら? まさかただ飲食に来たわけではないでしょうね?」
「違うわよ。まあとりあえず何か頼んだら?」
隣の席に座る小春がメニューを開き、千秋が文字列の上を視線でなぞる。暑いなか外を歩いてきた身としては冷たい飲料ならなんでもいい。
「しかし不可思議なメニュー名ばかりよね・・・このグランツソードってなんなのかしら?」
「そいつは剣を模したワッフルだ。ちなみにシオリリウムロッドっていう虹色のチェロスがウマいぞ」
「相田さん詳しいのね」
「結構好きなんだよここの店。で、神木さんに集合するならこの場所にしようって提案したんだ」
「なるほど。相田さんの紹介だったのね」
納得しつつ千秋は一つの名前に注目した。
「暁のタイタニア・・・心を通わせた少女のペアにオススメ・・・?」
「一つのグラスに二本のストローを差して飲むアレだよ」
「ああ・・・! 浜辺でよくカップルがやっている」
「まあそれだ」
「これにするわ」
即決である。千秋は小春と絡めるならなんでもいいらしい。
「まったくアンタ達の仲の良さは尋常じゃないわ」
「私と小春は真の縁で結ばれているの。だからこれが普通なのよ」
「堂々と言える点は尊敬するわ」
と会話している千秋のもとに暁のタイタニアセットが運ばれてきた。
大き目の透明のカップは桃色の液体に満たされており、長めのストロー二本が差し込まれている。
「小春、というわけで・・・・・・」
「うん、飲もうか」
身を寄せ合い、頬が触れる距離まで近づいてストローを咥えた。桃色の液体はピーチ味の炭酸ジュースで暑さに疲れた体には心地よい。
「うふふふふ・・・生き返る気分だわ」
「キモイ笑顔ね・・・・・・」
愛佳はやれやれと首を振りながらスマートフォンを取り出した。
「それで今日の要件なんだけど、アンタ達は鴨井川は知ってる?」
「知っているわよ。隣の市との境を流れる川のことでしょ。なに、そこで釣りでもしたいの?」
「違うわよ。その鴨井川の近くに心霊スポットがあって、そこに行こうと思うの」
「まさか肝試しがしたいとは、アナタも意外と子供なのね」
「あたしのことなんだと思ってんの・・・・・・」
まるで見当違いなことを言われて愛佳はうな垂れるが、千秋はキョトンとして再びストローを咥える。
「その心霊スポットは古びた廃墟なんだけど、神隠しが起こるっていう噂が最近流れているの。実際に肝試しで訪れた人間が数人行方不明になっているそうよ」
「ふむ」
「あたしはね、これを吸血姫の仕業だと睨んでいるわ」
「なるほど。廃墟を隠れ家としている過激派吸血姫がいて、ソイツが訪れた人間を襲っているということね?」
「そういうこと。でなきゃ神隠しなんてオカルトが起こるわけないもの」
「吸血姫も巫女も、一般人からしたらオカルト的存在では・・・?」
ともかく愛佳の想像は千秋にも納得できた。過激派は人目に付かない暗部に潜んで狩りの時間を待っている。その隠れ家に人間の方から寄って来れば、潜伏している吸血姫にとっては危険を冒すことなく得られる絶好の餌だ。
「で、そこに攻めこむつもりなんだけど、一緒に来てもらうわよ」
「まあ過激派吸血姫がいるかもしれないし、なら私達の出番だけど・・・まさか素直にアナタから援護要請があるなんてね。巫女のプライドがよく許したわね?」
「うぐぐ・・・し、仕方ないじゃない。例えばこの前のような強敵が潜んでいるかもしれないし、あたしもリスクは少しでも減らしたいの。そのためにアンタ達を利用させてもらうだけで、援護要請なんかじゃ絶対にないから!」
「はいはい。分かったわよ」
愛佳は若いながらも何体もの吸血姫と激戦を繰り広げてきた巫女である。しかしこの街で遭遇した変妖術の使い手や、千祟真広と戦って少し自信を失っていた。もし単独で戦っていたら間違いなく死んでいたし、千秋や朱音の助けに命を救われたのは紛れもない事実と言えよう。
なので次の敵も簡単に倒せる相手ではないかもという慎重さが、本来相容れない千秋達の助けを求めたのだ。
「でもさ、もしかして本当の心霊現象だったりして」
「まさか、そんなわけないでしょ」
「いやいや分からないぞぉ。この世にはアタシ達の知らない事柄がいっぱいある。そもそもアタシ達のような人外もいることだしさ」
「確かにそうだけど・・・まっ、悪霊だろうが悪魔だろうがあたしが祓ってやるわ」
「さすが巫女。頼りになるな」
どちらかというと吸血姫狩りより悪霊祓いのほうがよっぽど巫女らしい。
「で、いつ行くのかしら?」
「今からよ。善は急げってね」
「昼間から、ね・・・巫女にはいい時間ということね」
「そうよ。巫女は太陽光をエネルギーとするのだから、今の時間こそが絶好なの。それに廃墟内で光が届きにくい場所なら吸血姫も普通に動けるでしょ?」
巫女から持ち込んだ話なわけで、なら自分が有利に戦える時間帯を選ぶのは当然だろう。
「まあいいわ。なら見せてもらおうかしら。巫女の真の実力とやらを」
「ビビるんじゃないわよ。吸血姫なんて瞬殺なんだから」
ドヤ顔で胸を張る愛佳。ようやく満足に戦える舞台が用意されたのでいつも以上に気合が入っている。
「よし、じゃあ出撃よ! いざ吸血姫退治に!」
店を出た愛佳達は真夏の日差しの中、魔の巣くう廃墟へと向かって行くのであった。
-続く-
「千秋ちゃん、電話出ないの?」
「せっかく小春と二人きりだもの邪魔されたくないわ」
「でも緊急の用事かもよ? ほら、相手は神木さんだしさ」
「むぅ・・・小春が言うなら・・・・・・」
この平和で幸せな時間になんなのだと、千秋は仕方なくスマートフォンを手に持ったのだが通話拒否をタップしてしまった。
「あ、切ってしまったわ」
ワザとではない。電話には出ようとしたのだが面倒だなという気持ちによって、ついうっかり指を滑らせたのだ。
「またかかってきた・・・・・・」
今度は間違えないように指さし確認をしながら通話ボタンをしっかりタップする。すると愛佳の不機嫌そうな声がスピーカーから漏れ出してきた。
「ちょっと、なんで切ったのよ」
「うっかり本心が働いてしまって、拒否ボタンに吸い込まれて・・・私の体は正直なのよ」
「オイ・・・まあいいわ。今日アンタ暇でしょ?」
「は?決めつけないでくれるかしら。今日は忙しくて死にそうなレベルよ」
「ウソつけ。アニメ観てるんでしょうが。こっちにも音が聞こえてきてんのよ」
千秋はリモコンを操作して音量を下げるがもう遅い。
「音小さくすんな! もうバレてんのよ!」
「あのね、アニメ鑑賞は暇だからやっているんじゃあないのよ。これは・・・そう、天命による果たすべき・・・」
「そういうのいいから。ともかく暇なのは分かったし、これからタイタニアという喫茶店に来てほしいの。赤時もセットでいいわよ」
「喫茶店? 何故アナタとティータイムを過ごさなければならないの?」
「理由は来た時説明するわ。ちなみに相田朱音も来るから」
それだけ告げるとブチッと電話が切れてしまった。だが、あの愛佳が千秋達吸血姫をわざわざ誘うということは何か重大な理由があるのだろう。
「仕方ないわね・・・小春、出かけることになったわ」
「了解。どこ行くの?」
「タイタニアって名前の喫茶店よ。繁華街近くにある店なのだけれど、よく神木さんは見つけたものね」
「私、知らないや。有名なの?」
「知る人ぞ知るという感じの店ね。以前相田さんと行ったことがあるわ」
テレビの電源を消し、いつも通りに学校の制服へと着替えを済まして指定された喫茶店へと向かう。
タイタニアの外観は中世ヨーロッパに存在したような城をイメージしたもので、周りの一般的な建築物に溶け込んでおらず異質に見える。その異世界から紛れ込んできたような独特な雰囲気が好きという者もいるのだろう。
「こっちよ」
店内に入ると愛佳が手を振って千秋達を席まで誘導する。既に朱音も到着していて、コーヒーを上品さを醸し出しながら飲んでいた。
「あら、ごきげんようちーちさん」
「・・・なんなのそのキャラづくりは」
「失礼しちゃいますわね。アタクシは前々から品行方正、且つ丁寧な・・・」
「気味が悪いからやめてちょうだい」
「ちぇ・・・せっかくお嬢様ごっこしてたのにぃ」
朱音は唇を尖らせて千秋のノリの悪さに抗議するが、千秋は無視して愛佳に向きなおる。
「で、要件はなにかしら? まさかただ飲食に来たわけではないでしょうね?」
「違うわよ。まあとりあえず何か頼んだら?」
隣の席に座る小春がメニューを開き、千秋が文字列の上を視線でなぞる。暑いなか外を歩いてきた身としては冷たい飲料ならなんでもいい。
「しかし不可思議なメニュー名ばかりよね・・・このグランツソードってなんなのかしら?」
「そいつは剣を模したワッフルだ。ちなみにシオリリウムロッドっていう虹色のチェロスがウマいぞ」
「相田さん詳しいのね」
「結構好きなんだよここの店。で、神木さんに集合するならこの場所にしようって提案したんだ」
「なるほど。相田さんの紹介だったのね」
納得しつつ千秋は一つの名前に注目した。
「暁のタイタニア・・・心を通わせた少女のペアにオススメ・・・?」
「一つのグラスに二本のストローを差して飲むアレだよ」
「ああ・・・! 浜辺でよくカップルがやっている」
「まあそれだ」
「これにするわ」
即決である。千秋は小春と絡めるならなんでもいいらしい。
「まったくアンタ達の仲の良さは尋常じゃないわ」
「私と小春は真の縁で結ばれているの。だからこれが普通なのよ」
「堂々と言える点は尊敬するわ」
と会話している千秋のもとに暁のタイタニアセットが運ばれてきた。
大き目の透明のカップは桃色の液体に満たされており、長めのストロー二本が差し込まれている。
「小春、というわけで・・・・・・」
「うん、飲もうか」
身を寄せ合い、頬が触れる距離まで近づいてストローを咥えた。桃色の液体はピーチ味の炭酸ジュースで暑さに疲れた体には心地よい。
「うふふふふ・・・生き返る気分だわ」
「キモイ笑顔ね・・・・・・」
愛佳はやれやれと首を振りながらスマートフォンを取り出した。
「それで今日の要件なんだけど、アンタ達は鴨井川は知ってる?」
「知っているわよ。隣の市との境を流れる川のことでしょ。なに、そこで釣りでもしたいの?」
「違うわよ。その鴨井川の近くに心霊スポットがあって、そこに行こうと思うの」
「まさか肝試しがしたいとは、アナタも意外と子供なのね」
「あたしのことなんだと思ってんの・・・・・・」
まるで見当違いなことを言われて愛佳はうな垂れるが、千秋はキョトンとして再びストローを咥える。
「その心霊スポットは古びた廃墟なんだけど、神隠しが起こるっていう噂が最近流れているの。実際に肝試しで訪れた人間が数人行方不明になっているそうよ」
「ふむ」
「あたしはね、これを吸血姫の仕業だと睨んでいるわ」
「なるほど。廃墟を隠れ家としている過激派吸血姫がいて、ソイツが訪れた人間を襲っているということね?」
「そういうこと。でなきゃ神隠しなんてオカルトが起こるわけないもの」
「吸血姫も巫女も、一般人からしたらオカルト的存在では・・・?」
ともかく愛佳の想像は千秋にも納得できた。過激派は人目に付かない暗部に潜んで狩りの時間を待っている。その隠れ家に人間の方から寄って来れば、潜伏している吸血姫にとっては危険を冒すことなく得られる絶好の餌だ。
「で、そこに攻めこむつもりなんだけど、一緒に来てもらうわよ」
「まあ過激派吸血姫がいるかもしれないし、なら私達の出番だけど・・・まさか素直にアナタから援護要請があるなんてね。巫女のプライドがよく許したわね?」
「うぐぐ・・・し、仕方ないじゃない。例えばこの前のような強敵が潜んでいるかもしれないし、あたしもリスクは少しでも減らしたいの。そのためにアンタ達を利用させてもらうだけで、援護要請なんかじゃ絶対にないから!」
「はいはい。分かったわよ」
愛佳は若いながらも何体もの吸血姫と激戦を繰り広げてきた巫女である。しかしこの街で遭遇した変妖術の使い手や、千祟真広と戦って少し自信を失っていた。もし単独で戦っていたら間違いなく死んでいたし、千秋や朱音の助けに命を救われたのは紛れもない事実と言えよう。
なので次の敵も簡単に倒せる相手ではないかもという慎重さが、本来相容れない千秋達の助けを求めたのだ。
「でもさ、もしかして本当の心霊現象だったりして」
「まさか、そんなわけないでしょ」
「いやいや分からないぞぉ。この世にはアタシ達の知らない事柄がいっぱいある。そもそもアタシ達のような人外もいることだしさ」
「確かにそうだけど・・・まっ、悪霊だろうが悪魔だろうがあたしが祓ってやるわ」
「さすが巫女。頼りになるな」
どちらかというと吸血姫狩りより悪霊祓いのほうがよっぽど巫女らしい。
「で、いつ行くのかしら?」
「今からよ。善は急げってね」
「昼間から、ね・・・巫女にはいい時間ということね」
「そうよ。巫女は太陽光をエネルギーとするのだから、今の時間こそが絶好なの。それに廃墟内で光が届きにくい場所なら吸血姫も普通に動けるでしょ?」
巫女から持ち込んだ話なわけで、なら自分が有利に戦える時間帯を選ぶのは当然だろう。
「まあいいわ。なら見せてもらおうかしら。巫女の真の実力とやらを」
「ビビるんじゃないわよ。吸血姫なんて瞬殺なんだから」
ドヤ顔で胸を張る愛佳。ようやく満足に戦える舞台が用意されたのでいつも以上に気合が入っている。
「よし、じゃあ出撃よ! いざ吸血姫退治に!」
店を出た愛佳達は真夏の日差しの中、魔の巣くう廃墟へと向かって行くのであった。
-続く-
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界召喚は7回目…って、いい加減にしろよ‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
『おぉ、勇者達よ! 良くぞ来てくれた‼︎』
見知らぬ城の中、床には魔法陣、王族の服装は中世の時代を感じさせる衣装…
俺こと不知火 朔夜(しらぬい さくや)は、クラスメートの4人と一緒に異世界に召喚された。
突然の事で戸惑うクラスメート達…
だが俺はうんざりした顔で深い溜息を吐いた。
「またか…」
王族達の話では、定番中の定番の魔王が世界を支配しているから倒してくれという話だ。
そして儀式により…イケメンの正義は【勇者】を、ギャルっぽい美紅は【聖戦士】を、クラス委員長の真美は【聖女】を、秀才の悠斗は【賢者】になった。
そして俺はというと…?
『おぉ、伝承にある通り…異世界から召喚された者には、素晴らしい加護が与えられた!』
「それよりも不知火君は何を得たんだ?」
イケメンの正義は爽やかな笑顔で聞いてきた。
俺は儀式の札を見ると、【アンノウン】と書かれていた。
その場にいた者達は、俺の加護を見ると…
「正体不明で気味が悪い」とか、「得体が知れない」とか好き放題言っていた。
『ふむ…朔夜殿だけ分からずじまいか。だが、異世界から来た者達よ、期待しておるぞ!』
王族も前の4人が上位のジョブを引いた物だから、俺の事はどうでも良いらしい。
まぁ、その方が気楽で良い。
そして正義は、リーダーとして皆に言った。
「魔王を倒して元の世界に帰ろう!」
正義の言葉に3人は頷いたが、俺は正義に言った。
「魔王を倒すという志は立派だが、まずは魔物と戦って勝利をしてから言え!」
「僕達には素晴らしい加護の恩恵があるから…」
「肩書きがどんなに立派でも、魔物を前にしたら思う様には動けないんだ。現実を知れ!」
「何よ偉そうに…アンタだったら出来るというの?」
「良いか…殴り合いの喧嘩もしたことがない奴が、いきなり魔物に勝てる訳が無いんだ。お前達は、ゲーム感覚でいるみたいだが現実はそんなに甘く無いぞ!」
「ずいぶん知ったような口を聞くね。不知火は経験があるのか?」
「あるよ、異世界召喚は今回が初めてでは無いからな…」
俺は右手を上げると、頭上から光に照らされて黄金の甲冑と二振の聖剣を手にした。
「その…鎧と剣は?」
「これが証拠だ。この鎧と剣は、今迄の世界を救った報酬として貰った。」
「今迄って…今回が2回目では無いのか?」
「今回で7回目だ!マジでいい加減にして欲しいよ。」
俺はうんざりしながら答えた。
そう…今回の異世界召喚で7回目なのだ。
いずれの世界も救って来た。
そして今度の世界は…?
6月22日
HOTランキングで6位になりました!
6月23日
HOTランキングで4位になりました!
昼過ぎには3位になっていました.°(ಗдಗ。)°.
6月24日
HOTランキングで2位になりました!
皆様、応援有り難う御座いますm(_ _)m
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
異世界ランドへようこそ
来栖とむ
ファンタジー
都内から車で1時間半。奥多摩の山中に突如現れた、話題の新名所――「奥多摩異世界ランド」。
中世ヨーロッパ風の街並みと、ダンジョンや魔王城を完全再現した異世界体験型レジャーパークだ。
26歳・無職の佐伯雄一は、ここで“冒険者A”のバイトを始める。
勇者を導くNPC役として、剣を振るい、魔物に襲われ、時にはイベントを盛り上げる毎日。
同僚には、美人なギルド受付のサーミャ、エルフの弓使いフラーラ、ポンコツ騎士メリーナなど、魅力的な“登場人物”が勢ぞろい。
――しかしある日、「魔王が逃げた」という衝撃の知らせが入る。
「体格が似てるから」という理由で、雄一は急遽、魔王役の代役を任されることに。
だが、演技を終えた後、案内された扉の先にあったのは……本物の異世界だった!
経営者は魔族、同僚はガチの魔物。
魔王城で始まる、まさかの「異世界勤務」生活!
やがて魔王の後継問題に巻き込まれ、スタンピードも発生(?)の裏で、フラーラとの恋が動き出す――。
笑えて、トキメいて、ちょっと泣ける。
現代×異世界×職場コメディ、開園!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる