魔法少年✰

寝切つく

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魔法少年になりました

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俺は鎌蟹ミカミ。
中学2年生。
6月22日生まれのAB型。
俺の家庭は最初から酷い。
父も母もクソ親で美人で出来のいい姉しか愛さない。
それに比べて俺は得意なこともなく、成績は努力したから良いものの褒めたことが1度も無かった。
「また100点取らなかったのか!!」
ほら、またクソ親父に叱られた。
クソ姉は100点取らなくても褒められるのに俺は100点取らないと褒められない。
それが、全ての教科でな。
それと…俺は学校にも居場所がない。
「呂奈様~!」
社長令嬢こと美聖呂奈ってやつのせいで部活にも学業にも俺の立場が無くなってしまった。
俺は誰かに認められるよう誰も頼らず血のにじむような努力で非常に良い成績を誇る。
…のだが、社長令嬢には敵わない。
教科オール100点で部活でも大活躍している。
俺は吹奏楽部だが生憎その社長令嬢も吹奏楽部でそいつのせいで俺は部活でもあまり活躍出来ず、さらにイジメまで起こるようになった。
イジメになっても先生は助けてもらえず、俺が猫を助けようとすると社長令嬢が助けるし、俺が相談に乗ろうとしてもやはりあの社長令嬢が相談に乗って解決…。
そう、俺は家にも学校にも居場所が無い。
というか、周囲に俺が安らげるところは無い。
近所では姉と社長令嬢のことばかり愛し、俺には興味を示さない。
そして、俺がコンクールに出るためいつものようにフルートの練習をしようとした日、悲劇は起こった。
「君は今日からサッカー部に入部してもらう」
なんて理不尽だ。
俺はサッカーをやった事がないのに。
「そんな!どうしてですか!?」
「だからもう二度と吹奏楽部に戻るな。いいな?」
本当に理不尽だ。
音楽に興味があって吹奏楽部に入ったのに。
全力で吹奏楽部に捧げたのに。
全くもって理不尽だ。
結局俺はサッカー部に入ることになってしまった。
後の頼みは一学期テストしかない。
サッカー部の部活動はせず、その代わりに全て勉強に費やした。
俺は全力で全教科の勉強を誰も頼らずに頑張った。
そのおかげで授業に出た問題がよく分かり、解けた。
だがテストが返された日、俺は得意だった国語のテストの漢字の方をひとつミスしてしまい、結果は99点。
他の教科は100点で合わせて499点。
俺は社長令嬢もミスしてるんだろうと自信を持って学業成績ランキングを見た。
「そんな…!」
結果は俺が2位で1位はやはりあの社長令嬢だった。
あいつ、テストでよくノーミスが取れたな…。
ああ、やっぱり憎い。
あのクソすぎる社長令嬢が憎い。
人に頼ってまであんな良すぎる成績取ったくせにのほほんと生きてやがる…!
どうせ自分が良いやつにするためわざわざ成績を良くしてまで演じているのだろう。
本当に反吐が出る女だ。
あいつは俺が散々と味わった苦しみも痛みも知らないだろう。

もう死にたい。
俺の頭はそういうのでいっぱいだった。
その時、背後から女の声がした。
「君、不幸だね」
その声の主はアイスブルーのヘアカラーのミディアムヘアにユリシスアゲハのヘアアクセを付けているが、体は細身ながら程よく筋肉がついた若い男性の体つきでその体には白いロングコートを羽織っている。
「誰だあんたは」
「俺?俺はトールギスとーるぎすだよ。あ、こう見えて俺男の神様なんでね」
トールギスとかいう男の神は可愛いけどあざとい笑顔で俺に話しかける。
「君は親にも学校にも愛されないとても不幸な少年であることが判断されました!そんな不幸な君に魔法の力をプレゼントしまーす!」
と言った。
すると、俺に何かの力が与えられた気がした。
「何だ…?」
俺はきょとんとした。
それになんか携帯ゲーム機みたいなものがあるし。
「君は蟹座の魔法少年ルキノとなった。おめでと~!ああ、それはマジカルミライキャストと言って普段や必要ない時は心臓になってるけど変身する時にはでぃーえすみたいな形になって変身したり出来るんよ。あとこう叫んで、マジカルフラッシュ!!って」
「…なんか分からないが、マジカルフラ…」
「ああ!ちょっと待った!」
俺が叫ぼうとした瞬間、トールギスが止めた。
「なんだよ」
「このマジカルチェンジカードを下画面にタッチしてから!あ、これからは現実は1分だけどここでは1秒となる特殊な空間での変身になるから!じゃあ、改めて…はい!」
「はぁ…マジカルチェンジカード!プリティキャンサースタイル!マジカルフラッシュ!!」
マジカルミライキャストにマジカルチェンジカード4つでワンセットのを下画面にタッチし、俺が呪文を叫んだ瞬間、着ていたものが全身をフィットする白いボディスーツに変わり、光のリボンらしきものが衣装を作っていく。
「蟹座の魔法少年ルキノ、推参!」
今の俺は学生服から特撮ヒーローとアイドルが合体したフリルとリボン付きの白と青をふんだんに使った可愛らしいけどヒロイックな姿になった。
「すごいすご~い!ちなみにクラスってのがあるんだけど、君はスターだよ!他にもジュエル、ビースト、ソルジャー、エレメントとかあるのでーす!」
コミカルな口調で説明してるトールギスだが真面目に説明してほしい。
さて、これでどうするか…俺は分かってる。
「んで、君はこれで何するか…分かってるよね?」
「ああ、分かってる…俺の目的はただ1つ」
それは、俺を散々侮辱したあいつらに復讐することだ。
愛してくれないクソ親、俺を踏みにじるクソ姉、俺の立場を奪う社長令嬢、俺をイジメた奴ら…復讐する奴らは山ほどいる。
「ああ、それと君の属性は月で、魔法は心と感情だぜ!んじゃ、復讐頑張ってちょ!」
と言ってトールギスは去っていった。
さて、ここから俺の復讐劇は始まる。
今に見てろ、お前らの甘やかされタイムはここまでだ!
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