「スキル【家事代行】はゴミ」と勇者パーティを追放された俺、実は伝説の魔王城をピカピカに掃除してしまい、魔王様の専属執事として溺愛される

無響室の告白

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第1話 追放された家事代行と魔王城の輝き

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「おいアレン! クリーニングだか何だか知らねぇが、そんな女々しいスキルで俺の隣を歩けると思うなよ? 今日限りでクビだ、失せろ!」

勇者グランの怒声が、野営地に響き渡った。

アレンは呆然と立ち尽くす。

(そんな…僕がいたから、みんなの服はいつも清潔で、食事も栄養満点だったのに。野営地だって、僕がこまめに掃除していたから快適だったはずだ。)

グランの言葉に、他のパーティメンバーも同意するように頷いている。

剣士は錆一つない剣を、魔術師は磨き上げられた杖を手にしている。

それらが誰の仕事だったのか、誰も覚えていないようだった。

アレンは肩を落とし、与えられていた最低限の装備とわずかな金貨を手に、野営地を後にした。

彼のユニークスキル『家事代行』は、戦闘には一切役に立たない。

しかし、掃除・洗濯・料理・修繕に関しては、物理法則を無視した神業を発揮するのだ。

荒野を彷徨うこと数日。

アレンの目に飛び込んできたのは、黒く禍々しい城だった。

(あれは…伝説の魔王城? でも、何だか汚れて見えるな。)

近づくにつれ、城の異様な汚れが目についた。

城門には分厚い苔とカビが張り付き、窓ガラスは長年の塵と煤で真っ黒だ。

(これは…酷い。こんな状態じゃ、住んでいる人が病気になってしまう。)

アレンの『家事代行』スキルが疼く。

彼の性格は温厚だが、汚れを見ると目の色が変わる。

「ここですね、長年蓄積された頑固な水垢は……僕の『高圧洗浄魔法・極』で、一瞬で輝きを取り戻してみせます!」

アレンはまるで獲物を見つけたかのように、瞳を輝かせた。

彼は城の掃除に取り掛かった。

まずは城門の苔とカビを『浄化(ピュリフィケーション)』レベルの洗浄力を持つスキルで一掃する。

ゴオォォ、と風のような音が鳴り響き、みるみるうちに石造りの門が本来の輝きを取り戻していく。

次に、城内の埃と蜘蛛の巣を払い、床を磨き上げ、窓ガラスを透明にする。

アレンは疲れることもなく、無心で作業を続けた。

数日後、魔王城は別世界と化した。

かつて

「近づくだけで呪われる」

と恐れられていた場所は、窓ガラス一枚に至るまで塵一つない、世界最高水準の清潔さと快適さを誇る超高級ホテルのような空間へと変貌したのだ。

最後にアレンは、朽ち果てた玉座を磨き上げた。

その時、どこからか気配が現れた。

銀髪赤目の絶世の美女、シャルロット・ド・ディアボロスが、玉座の間へと姿を現した。

彼女は自らの城の変わり様に、目を見開いて呆然としている。

「ここは…余の城、なのか…?」

シャルロットは震える声で呟いた。

普段の威厳は見る影もない。

彼女の視線は、輝く玉座からアレンへと向けられる。

「アレン、凄いわ! あの薄汚れていた玉座が、まるで鏡のよう……! 貴方は余の宝よ、もう二度と離さないわ。一生、余の世話をしなさい」

シャルロットはアレンの手を取り、その瞳には強い光が宿っていた。

「え…? でも僕はただの家事代行で…」

「関係ないわ。余は貴方が必要よ。この『執事の契約書』にサインなさい。もちろん、三食昼寝付き、高給優遇よ。」

差し出された羊皮紙には、確かに『執事の契約書』と書かれていた。

そして、その内容は驚くほど好条件だった。

アレンは呆気にとられながらも、シャルロットの真剣な眼差しに押し切られ、契約書にサインをした。

こうして、元勇者パーティの雑用係は、伝説の魔王の専属執事となったのだった。

------------------------------
【登場人物】

  - アレン: 元勇者パーティの雑用係、現魔王専属執事

  - 勇者グラン: アレンを追放した勇者

  - シャルロット・ド・ディアボロス: 伝説の魔王

【場所】

  - 勇者パーティの野営地: アレンが追放された場所。追放後はスラム化している。

  - 魔王城: かつては汚れていたが、アレンによって清潔になった伝説の魔王城。

【アイテム・用語】

  - スキル【家事代行】: アレンのユニークスキル。家事全般において物理法則を無視した成果を出せる。

  - 執事の契約書: シャルロットがアレンを専属執事にするために交わした、超ホワイトな労働条件を記した魔法契約。
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