ついてない日に異世界へ

蝋梅

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4.ついて…いこうかな

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「よし、とりあえずトップに会いに行くわ。だから何か向こうに連絡する方法はある? 三日後がいいかな」

 執事のセバちゃん、もといセバールさんに質問しまくり、決めた。

「お前、俺がわざわざ印つけて此処迄連れてきてやったのに頭が悪いのか?」

 気は確かとリードと名乗った赤頭からアホかと見下した視線をもらう。本人はバカにするつもりはないのかもしれないが背が高ければ座高も高いので私の気分はよろしくない。

「ぼっちゃま! 女性にそのような発言をなさるなんて! なげかわしぃ!」

 じぃやさんは、それってバスタオルじゃないの?というような大きさのハンカチを目元にあてて叫ぶ。

……なんか、変な世界に来ちゃったなぁ。



* * *



「ここならどうだ?」
「良い感じです」

 人生初の噴水の水に浸かってから次の日、森の中の少し開けた場所に私とリードさんはいた。

「二日でどうするんだ?」

 私の数歩後ろにいる彼を見れば、不機嫌と顔に書いてある男に思わず苦笑した。

「なんだ?」
「なんでもない」

 この人は容赦ない言い方をするけど逆にとらえれば悪い人ではない。結婚に関しては、後程じっくり話し合うつもり。またお小言がでそうな彼を黙らせる。

「いきなり敵地に行くと言わないだけ利口だと思うんですけど」

 デッカイと表現したいほどのため息をもらうが、話を遮るつもりはないようなので話を進める。

「リードさんとその部下の方々は、王にではなく国に仕えてるといっても、このままではすぐに私を喚んだ神殿と王様サイドがタックを組みここに来るのは目に見えていますよね?」

 彼は、渋い顔をしつつ威嚇するような低い声で聞いてくる。

「それで、どうするんだ?」

どうするって?

「貴方が言ったんでしょう?」

 自由な生活って。だけどしょっぱなから厳しいじゃないの。

「私は、元の自分の場所に帰る事は諦めない。その為には正確な情報が欲しい。でも、まずは身の安全第一だから、お願いしたんです」

 人気のない被害の少ない場所に連れていって欲しいと。

「この、水を使った力を使いこなす」
「あのなぁ、昨日今日で無理だろ」

言い切ったわね。

「試してないうちから無理とか言うのやめてくれます?」

 トライする前から否定するなんて、あんた上に立つの向いてないんじゃないの?

「要点を絞ればいける」

だから。

「その重たそうな剣、振り回してくれますか?」

 私は、いまだに此処はどこなの? 夢なら早く覚めてと叫びたい気持ちに蓋をし、代わりに貫禄でてきたねと営業の古だぬきに言われた時と同じ笑みを浮かべた。

 倍返しまでいかないまでも、こんな場所まで飛ばしたお礼はさせていただくわよ。

「旦那様、おねがい?」

 私は、この男が本気をだすように挑発から始めた。




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