堕ちた英雄

風祭おまる

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第一部

折れた心

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「んあ、あ、あー!あー!」
「いい声で鳴くようになったな、ローレンスタ。特に浅いところを責めてやると」
「ぐ、あ、んあ、はあっ嫌、だあ!あ、ん!」
「はは、もうすっかり女だ」

もう、ここへ来て何日過ぎただろうか。毎日毎日犯され続け、オルガの身体はデイトリヒの形に馴染み始めていた。
すでに挿入には痛みはなく、奥を抉られると痛みや圧迫感はあるが、前立腺への刺激は堪らなく感じてしまう。
正常位で抱かれ、浅いところをカリ首でゴリゴリと弄られると背中が反って甘い悲鳴が止まらなくなった。

「そ、んあ、そこはぁ、嫌、だあ!やめ、あーっ!あ、ふ、あーっ!」
「嫌じゃないだろう。ほら、天井の鏡を見ろ。雌の顔で俺のちん×を咥えてるのは、誰だ?」
「ひ、ひい!違、う、私では、あ、あーっ」
「ローレンスタ、オルガ、オルガ、ほら、俺の従順な性奴。ちゃんと見ろ。貴様じゃないか」
「違う、あ、ちが、うう、うぐっ、ひっ」

認めたくはない。
だが顔を朱に染め快楽に浮かされた表情で、デイトリヒの性器を受け入れているのは確かにオルガ自身だった。
オルガの性器は既に張り詰め、雫を垂らしてオルガの腹を濡らしている。
オルガが射精できるのは、デイトリヒの精液を受けながらだけだ。その時だけ、手淫してくれる。
しかし、デイトリヒは遅漏気味だった。こうして浅いところを責め続けられると、いつまでもデイトリヒがイかずに終わらない。デイトリヒが飽きるまで、オルガは嬲られるのだ。
その間、イかせて貰えずにいるオルガは、辛くて仕方がない。だが、イかせて欲しいと強請ねだる事も、自ら手淫する事もプライドが許さなかった。

「んあ、あ、もう、嫌だ、あ、ああ」
「ふ、う。そろそろ、次のステップに進まねばな、ローレンスタ」
「あ、うあ、な、何?は、んっ」
「中で感じるようにはなった。次は、俺がこの貴様の汚い一物を触らずともイケるようになれ」
「なっ、そ、んな、む、り、だあ!」
「性奴隷の分際で、いつまでも主人が奉仕してくれると思うな。……今日はここまでだ」

そう言って、デイトリヒは勃起したままの性器をオルガから抜いた。
ぱっくり開いた後ろの口が、物欲しげにヒクついているのが、天井の鏡越しに見える。
感じているのにイけない切なさに身を捩って呻いた。

「いやらしく身体をくねらせて。淫乱な貴様なら、尻だけでイケる。今日から尻だけでイケるまではイカさん。精液も中にはやらんからな」

それは、別に欲しくはない。
そう思いながらぼうっとデイトリヒの整った顔を眺める。オルガの顔に跨ったデイトリヒは、自らの手に潤滑剤を垂らし、手淫をはじめた。
さっきまで中に入っていた逞しい性器が、潤滑剤でぬらぬら光っている。
激しくグチュグチャと音を立てる手淫に、思わずオルガの腰が反応して揺れた。

「く、は、……出す、ぞ、顔にかけてやるっ」
「んぶ、ううっ!」

ビュッビュッと先端から白濁が噴き出して、オルガの顔に飛び散った。
ねとりとした熱い液体が、顔を汚す。顔射された屈辱よりも、その青い匂いに自分も出したいという欲を煽られるのが辛い。

しかし、宣言通りにデイトリヒは行為を終え、オルガの鎖をきつく締め直して部屋を出ていった。
少し体勢を変える事はできるが、手は性器に届かないようにされてしまう。

「く、そう、こんなっ……」

持て余した熱が冷めるのを待つしかないのだろう。
苦しくて悔しいが、オルガにはどうしようもなかった。

*****

その晩からの行為は、まさに地獄だった。
欲を解放出来ない性行為がこんなにも苦しいとは思わなかった。

「んあ、ああ!ぐ、あ、あっ!」
「まだ、イケないのか?」
「あぐ、う゛、奥、は、あ!苦し、い、っあ!」
「貴様のような、淫乱なら簡単かと思ったがな」

犬のように這い蹲るオルガを、デイトリヒが後ろから激しく責めたてる。
奥の方をガンガン突かれて苦しい。だが、そう訴えてもデイトリヒは意に介さず、自分の良いようにだけ動く。
突き上げられる動きに合わせて、オルガの勃起した性器も揺れて、オルガの割れた腹や腿にパチンパチンと当たる。
その刺激で身体がビクビク跳ねた。
毎晩こうだ。
このまま、張り詰めたものを持て余したまま長々と犯され、最後は顔にかけられて終わる。
深い快感を得ているのに射精で解放出来ない欲求が、疼痛を伴い下腹部に溜まっている。

「イきたそうだな。ローレンスタ、手伝ってやろうか」
「は、ああ、な、に?」
「貴様が好きなように動いてやる。ほら、強請ねだってみろ」

ギリッと歯を食いしばり、罵りそうになるのを耐えた。
怒れば、思う壺だ。
灼熱の肉棒でオルガの内臓深くをかき混ぜながら、デイトリヒは嗤う。
奥は苦しいだけで感じないのを分かってやっている。

「どこを擦って欲しいんだ?ローレンスタ、言ってみろ」
「ぐ、う、…な、い!あう、…欲しくは、ない!」
「そうか。なら、このまま犯そう。気が変わって、素直に言えばいつでもしてやるぞ」
「う、うぐ、あ、あっ!」

奥をグチュグチャと掻き回され、苦しくて生理的な涙が溢れる。
竿が前立腺を擦る快楽だけが僅かな救いだ。だが、その救いの糸は、射精出来ないという責め苦に繋がっているのだが。

「こんなにも張り詰めて、焦れている。毎晩毎晩抱いているが、何日出していない?」
「う、うっ…」
「貴様の好きな場所を……たっぷり可愛がれば、今ならイケそうだと思わないか?」
「あ、あ……あ、……」

一瞬だけ腰を引き、ゴリゴリとカリ首でオルガの良い場所を刺激した。
びくんと身体が跳ねる。
気持ちいい。
デイトリヒに開発されてしまった前立腺が、もっと擦ってと焦れている。

「ああ……あ……あ…」
「はは、ちょっと擦っただけでその面か。正直に言え。何でどこをどうして欲しい。どうしたら尻だけでイケそうだ?」
「…い、やだぁ、い、えないっ…私は、……ああ…もう、殺して、くれ……」
「死なせはしない。こんなにも面白いおもちゃを棄てるのは惜しいからな」

美しい顔を醜悪に歪め、デイトリヒはオルガを見下す。その長い睫毛に縁取られた双眸は、燃えるような憎悪を映していた。
こんなにも恨まれ、憎まれている。
ただ、国を守るため、職務に忠実であっただけなのに。オルガの尊厳は奪われ、女にされ、更にこんな拷問じみた行為までされている。

(私は何のために戦ってきたのだろう)

ぼきり、と。オルガの中で何かが折れた音がした。

「……ああ、…浅い、ところを……」
「なんだと?もっとはっきり言え」
「…あ、貴方の、……性器で、私の、ぜ、前立腺を……刺激して、欲しい」
「………言い方が硬いな。もっといやらしく言えないのか。まあいい」

ずるるっと一旦引き抜かれ、身体をひっくり返された。天井の鏡に全てはっきり映る、仰向けにされる。
期待にオルガの身体がヒクつき、じゃらっと鎖が揺れた。

「貴様が初めてこの俺の性器を自分から強請ったのだ。褒美くらいやらねばな」
「う、あ、あー!あー!」

太腿を掴まれて大きく足を開かされ、期待していた場所へ太いものが押し込まれる。
浅く出し入れを繰り返しながら、デイトリヒの性器がカリ首の出っ張りで前立腺をゴリゴリと擦った。

「い、あーっ!あ、んっ!」
「良いのか?ローレンスタ」
「ひ、あ、い、いい、す、ごく、いい、ああっ」
「ははは、急に素直になったな。ローレンスタ。そうしていると、中々可愛く見える。性奴隷はこうでなくては」
「は、ああ、き、もち、い、あっ」

本当にオルガのいい場所だけを、繰り返しずっと刺激される。
今までは拒んでいた後ろでの快楽を素直に受け入れて、口に出して「気持ちいい」というと、頭がぼうっとする程興奮した。

「気持ちいいか、尻をちん×で穿られて、気持ちいいと認めたか」
「んあ!あ、きも、ちい!い、ああ!」
「中がビクビクしている。いつも貴様がイク時と同じだ。このまま、女のように突っ込まれてイケるか?」
「あ、ああ!ふぅ!うあっ!」

ガクガクと頷いて、オルガは込み上げる絶頂感に身を任せた。
ビンとつま先が伸びて、じゃらっと鎖が鳴る。
背中を弓なりに反らせて、オルガは触れていない性器から勢いよく白濁を吐き出した。

「ふああっ…あーー……」

甘い喘ぎを漏らして、オルガはようやく射精できた解放感に酔いしれる。
絶頂で痙攣する体内にデイトリヒが押し入り、その締め付けを楽しむように数回出し入れされた。

「あ!いま、はあ、イッ…い、あ!」
「っ……褒美だ、中に、出してやる」

どぷっと最奥でデイトリヒの性器が跳ねて、久しぶりに中で射精した。。
とくん、とくん、と脈動しながら精液を流し込む性器を、オルガの体内は喜ぶように締め付け愛撫している。

「ああっ…あ、つい、デイトリヒ、のが……入っ、て……」
「様をつけろ。性奴風情が」
「……デイ、トリヒ、さま、……」

天井の鏡には、完全にデイトリヒに屈服し、中出しされて蕩けた顔をしているオルガが映っていた。
それを、見上げて、目に焼き付ける。

これが今の自分なのだと、最早受け入れるしかなかった。
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