6 / 76
その1『出会い』編
第六話 キンキンのコーラと2人麻雀
しおりを挟む
6.
第六話 キンキンのコーラと2人麻雀
話しの流れでたまたま知ることになったのだが、犬飼真希は意外にも45歳だった。全然そんな風に見えない。
「驚いた! あと15くらいは簡単にサバを読めるよ」と本音を言ったら「ヤダー。そんなの無理に決まってるじゃない。お上手ねぇ! もっと言って!」と、たちまち気に入られてしまった。
本当にそう思ったのだが。女性の年齢は分からないなぁ。
余裕で恋愛対象として見れる健康的な美しさだが、彼女から見たら俺はお子様で対象外なのかもしれない。19も違うもんな。下手したら親子まであるよ。
「マキはこう見えて独身のバツなしなのよ。イヌイさん、もし気に入ったならもらってあげてね」
「えっ? それホント? おかしいじゃん、こんな綺麗でスタイルもいい人が独身バツなしなんて。なんか罠ないそれ?」と言ったら「罠なんかないよ。おかしいよねえ。私自身がそれを一番感じてるよ。なんでだろねえ」と言って犬飼さんはただでさえ下がってる眉をさらに下げた。吊り目が眉を下げるのって何かかわいいなと思った。親子ほども年齢が離れた女性だとは到底思えない。
卓が稼働していない店内は静かだった。彼女たちと俺しかいない。BGMである牌の音が聞こえないと本当に静かだ。
「何か飲み物でも入れようか。私がおごるよ」と犬飼さんは言ったが、おごられる理由がない。
「いえ、むしろ俺がおごりますよ」
「え、なんで?」
「これから麻雀を教えてもらうから。少ないけど、授業料です」
「あ……そ。真面目ね。そういうことなら、コーラでもおごってもらおうかな」
「すいませーん。コーラ2つ下さい」と注文をすると
「あら、私の分はおごってくれないの?」と、いたずらっぽい顔であやのさんが言う。
「おごるもなにも、この店の店主はあやのさんでしょ。勝手に好きなの飲めばいいじゃん」
「バレたか」
あやのさんは冷蔵庫から2リットルのコーラを取り出し泡立たないようにグラスを斜めにして
トクトクトク
と上手に注ぐと別の冷蔵庫の冷凍室を開けて大きなバットに張ってある氷をアイスピックで砕いた。
適当な大きさに砕けたそれをコーラにポトリ、ポトリと2つずつ入れる。
「はい、コーラです。お待たせしました」
「ありがとう。じゃ、イヌイくん。コーラごちそうになるね」
「どうぞ」
キンキンに冷えたコーラがうまい。
「おし、じゃあ2人麻雀でもしてアイツらが来るまで時間潰してよっか。ついでに実践で教えてあげっからさ」
「はい。ありがとうございます」
とは言っていたが、いつものメンツは結局来なかったし犬飼さんは俺と普通に遊ぶだけだった。
「まあ、毎回約束して集まるわけじゃないしね。ていうか、ろくに麻雀教えなかったね。ゴメン」
「いえいえ。楽しかったですよ、2人麻雀も」
「そ。楽しめたなら良かったけど」
犬飼さんはどうやら人に麻雀を教えたりするのは得意ではなかったらしい。でも、この時間も最高に楽しくて。今日もここに来て良かったなって思える。そんな一日だった。
第六話 キンキンのコーラと2人麻雀
話しの流れでたまたま知ることになったのだが、犬飼真希は意外にも45歳だった。全然そんな風に見えない。
「驚いた! あと15くらいは簡単にサバを読めるよ」と本音を言ったら「ヤダー。そんなの無理に決まってるじゃない。お上手ねぇ! もっと言って!」と、たちまち気に入られてしまった。
本当にそう思ったのだが。女性の年齢は分からないなぁ。
余裕で恋愛対象として見れる健康的な美しさだが、彼女から見たら俺はお子様で対象外なのかもしれない。19も違うもんな。下手したら親子まであるよ。
「マキはこう見えて独身のバツなしなのよ。イヌイさん、もし気に入ったならもらってあげてね」
「えっ? それホント? おかしいじゃん、こんな綺麗でスタイルもいい人が独身バツなしなんて。なんか罠ないそれ?」と言ったら「罠なんかないよ。おかしいよねえ。私自身がそれを一番感じてるよ。なんでだろねえ」と言って犬飼さんはただでさえ下がってる眉をさらに下げた。吊り目が眉を下げるのって何かかわいいなと思った。親子ほども年齢が離れた女性だとは到底思えない。
卓が稼働していない店内は静かだった。彼女たちと俺しかいない。BGMである牌の音が聞こえないと本当に静かだ。
「何か飲み物でも入れようか。私がおごるよ」と犬飼さんは言ったが、おごられる理由がない。
「いえ、むしろ俺がおごりますよ」
「え、なんで?」
「これから麻雀を教えてもらうから。少ないけど、授業料です」
「あ……そ。真面目ね。そういうことなら、コーラでもおごってもらおうかな」
「すいませーん。コーラ2つ下さい」と注文をすると
「あら、私の分はおごってくれないの?」と、いたずらっぽい顔であやのさんが言う。
「おごるもなにも、この店の店主はあやのさんでしょ。勝手に好きなの飲めばいいじゃん」
「バレたか」
あやのさんは冷蔵庫から2リットルのコーラを取り出し泡立たないようにグラスを斜めにして
トクトクトク
と上手に注ぐと別の冷蔵庫の冷凍室を開けて大きなバットに張ってある氷をアイスピックで砕いた。
適当な大きさに砕けたそれをコーラにポトリ、ポトリと2つずつ入れる。
「はい、コーラです。お待たせしました」
「ありがとう。じゃ、イヌイくん。コーラごちそうになるね」
「どうぞ」
キンキンに冷えたコーラがうまい。
「おし、じゃあ2人麻雀でもしてアイツらが来るまで時間潰してよっか。ついでに実践で教えてあげっからさ」
「はい。ありがとうございます」
とは言っていたが、いつものメンツは結局来なかったし犬飼さんは俺と普通に遊ぶだけだった。
「まあ、毎回約束して集まるわけじゃないしね。ていうか、ろくに麻雀教えなかったね。ゴメン」
「いえいえ。楽しかったですよ、2人麻雀も」
「そ。楽しめたなら良かったけど」
犬飼さんはどうやら人に麻雀を教えたりするのは得意ではなかったらしい。でも、この時間も最高に楽しくて。今日もここに来て良かったなって思える。そんな一日だった。
31
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる