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第3章【強敵あらわる編】
1話目◉雀神との出会い
しおりを挟む「工藤さん、あんまり圧かけないでよね。初めての人には怖いから!」ともう1人の強面が最初に話しかけてきた強面に言う。「圧なんざかけてねえだろう。挨拶しただけだ!」その通りであったし、笑顔でもあったが工藤氏はスキンヘッドで体格もいいので、それだけでかなり圧がある。もう1人の上家の人も強面だし。残る対面の人も猛獣のようなオーラを纏っている。
するとその時
「よろしく」とニコっと挨拶した対面の顔が見えた。(あれっ?)
そこには優しそうなお兄さんがいた。
(おかしいな。とんでもないプレッシャーを確かに対面から感じたんだけど…)
椎名は直感力が優れている方だ。危険人物は対峙した時に分かったりする。ただ、『えにし』のウェイトレスをしているヤシロがあんなに強いとは見抜けなかったが。とにかく、対面のオーラは間違いなく肉食獣の殺意だと思ったのだが。そこにいるのは優男だった。
(気のせいか?)
しかし、対局が始まると自分の勘の良さを知ることになった。
「リーチ」「ツモ」
「リーチ」「ツモ」
「リーチ」「ツモ」
「リーチ」「ツモ」
「リーチ」
しっつけえええええ!!!!! さっきからずーーーーーーーっと対面がリーチしてツモるだけのゲームに付き合わされてるんだが。何発パンチを繰り出すんだこの男は。優しそうなんて、大間違いだった。鬼神のような攻めに全員ただひたすら降りていた。
「ツモ」
おしまい。誰も一切反撃できないまま対面の圧倒的勝利で終わる。
「優勝、南上さんです! おめでとうございます」
「おめでとうございます!」
「コテツくん強すぎだよ、初めての人いるんだから加減してよ」
「いやあ、手加減って出来ないんですよ。そんな器用ではないので。しかし、ついてたなあ」
これがのちに『雀神』と呼ばれる南上コテツとの出会いだった。
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