さよなら、世界最強の僕たち

木村

文字の大きさ
5 / 13
第二話 公式が二次創作をしないでくれと無責任にボクは思った

01

しおりを挟む
「うううううう……」
「どうした? 呻いているな」

 泊っているホテルに駆け込み「誰か助けてえええ」と叫んだのにフロントの人は助けてくれず、泊まっていたシングルルームに超大きい軍人さんを連れ込むことになってしまった。
 そして彼は今シングルベッドに腰掛けて、備え付けのコーヒーを飲んでいる。ボクはスーツケースを盾にして、彼を睨んだ。必死のボクの威嚇に彼は穏やかに微笑む。
 いつも仏頂面のガジの超貴重な微笑みは尊いけど相手が違うのでノーカンだ。ボクはシャンルに微笑むガジを同人誌越しに眺めたいのである。

「うううううう! 帰って!」
「どうした? そんなことをしても可愛いだけだぞ」
「話が通じないの怖すぎる!!」

 彼はコーヒーを飲み干すと、立ち上がった。
 ボクはスーツケースに隠れて頭を抱えて小さくなる。目を閉じて怯えていると、トンと背中をつつかれた。ボクは小さく丸くなってその攻撃に耐える。

「……、……こっちを向いてくれないか」

 想像していたより、小さな声だった。

「お前の顔が見たいんだ……」

 その台詞は同人誌で読みたい台詞であってボクに言われたい台詞じゃない! と叫びたかったけど怖かったので耐える。

「それとも傷だらけの醜い俺の顔など見たくもないか……?」

 ……プツンとなにか切れた。ボクは顔を上げて叫んだ。

「そんなわけあるかい!!!! ガジ様の顔は死ぬほど見たい!!!!」
「お、おう……」
「それとこれとは話が別でしょ! ボクはシャルでシャンル様じゃないからガジ様のちゅーとか完全にダメなの! ガジ様が完全に相手を間違ってる! 完璧ハンサム超イケオジ超攻め様のガジ様が間違うとか解釈違いなんだが!?!?!? ガッデム!」

 ボクは床を叩いて悔しさに嘆く。
 
「……ああ、そうか。……そうか、……」

 トン、トン、とまた背中をつつかれた。

「……平和の中では、そんな風になるのか」

 トン、トン、とつつく指があがっていく。トン、トン、と背骨を通って、トン、と彼がボクのうなじをつつく。

「くすぐったいから、やめて……」
「へえ?」

 グイとその手で思い切りうなじを引き上げられた。あ、と思っている間に持ち上げられて、ヒエという間もなくベッドに転がされる。げ、と思う間もなく、僕の上に彼はまたがっていた。
 ボクの腹の上で世界最強が笑っている。

「すごく重い!」
「お前が細くなっただけだ。俺は変わってない」
「いやボクは生まれたときからとても平均的な体型ですけど!?!?!?」
「なあ、……見たいんだろ、俺の顔」

 彼が頭の後ろに手をもっていくと、仮面の紐を解いた。コロン、とその仮面は落とされる。

「……どうだ?」

 彼はボクの手をとると、その頬に導いてくれた。ゴツゴツと顔を覆う火傷の痕は、彼の戦いの歴史だ。そしてそれはボクの大好きな彼だ。
 ボクは今、英雄の顔を見ている。美しくて、綺麗で、偉大な、ボクらの英雄。

「……綺麗……ガジ、とても綺麗だ……」

 彼は嬉しそうに微笑んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

人並みに嫉妬くらいします

米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け 高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。

敵国の将軍×見捨てられた王子

モカ
BL
敵国の将軍×見捨てられた王子

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

彼がまとう甘ったるい香りを俺は絶対に好きになれない理由

まごうことなき凡人
BL
総タイトルは「友人以上恋人未満の曖昧な彼らの日常」。 題名のとおり、BLのような、そうでないような男同士の微妙な関係性を描いた短編小説です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

休憩時間10分の内緒の恋人チャージ(高校生ver)

子犬一 はぁて
BL
俺様攻め×一途受け。学校の休み時間10分の内緒の恋人チャージ方法は、ちゅーとぎゅーの他にも内緒でしています。

処理中です...