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第一話 同居
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血まみれで歩いていたら誰かに通報されるだろうと思ったけど、そんなことはなく、むしろ誰とも目が合わないまま私たちは彼の家に辿り着いた。
彼の部屋はネオンを見下ろすような高層マンションの上の方にあった。これは賃貸ではないだろうと思いながら、私は彼に続いてその家に入った。玄関からとても広く、どこもかしこも真っ白だった。
「待て。そのまま上がるな。血がつく」
「あ、そうだね」
「どっちにしろ早めにクリーニング頼まないとな……はあー、めんどくさい……」
彼は玄関で血まみれのスーツを脱ぐと、靴箱から取り出したごみ袋に入れた。彼が続けて血まみれのシャツも脱ごうとするから、私は慌ててそっぽ向いた。
「急にどうした?」
「……裸は見ちゃだめでしょ……急に脱がないでよ……」
「俺はずっと脱ぎたかったんだよ。血が染みて重かったんだ。お前もその服、脱ぎたいだろ?」
たしかに鉄臭いし、べちゃべちゃの重たい服は早く脱いでしまいたかった。
「……でも、自分の家でもない玄関で脱ぐなんて……」
「お前の家だよ。今日からここが俺たちの家。風邪引くから早く脱げよ」
「そういうのよくないわ」
「……ふーん。まあ、いいか。じゃあ俺はシャワー浴びてからあっちの部屋いくぞ。そしたらお前も脱いで、シャワー浴びて、服を着て俺のところに来いよ」
「……うん、わかった……」
私の背後で彼が服を脱ぐ音がした。その後ぺたぺたと廊下を歩く音、「ここが風呂場だから、……って見てないか。手前はトイレでその奥が風呂場」、その足音はどこかの部屋に入っていた。
「……」
水音がする。
「……困ったな」
私は不安になった。
「私、いい奥さんになれるのかな……」
彼の方がよほどいい奥さんになれそうだと思った。
――この予感は正しかった、と後々わかることになる。
私はその水音がやみ、彼が奥の部屋にいく足音がしてから、ようやく振り返り、それからゆっくりと服を脱いだ。そうして彼のいうとおりにシャワーを浴びて、用意されていた服を着て、彼のいる部屋に向かった。
彼はリビングのソファーに腰かけて、私を待っていた。彼は私を見てクスクスと笑う。
「お前小さいね。俺の服じゃブカブカだ」
「きみが大きいんじゃない?」
「そうかもな。おいで」
彼の座っているソファーに向かう。
「明日お前の家から荷物持ってこよう」
彼は少し腰をあげてソファーの背もたれにひっつく。しかし、一人がけのソファーだ。おいでというくせに私が入れるスペースはなかった。
「無茶を言うのね」
「なにが? 引っ越し屋の予約ならとれると思うぞ?」
「狭いよ」
「もっと広いところに引っ越すか?」
「足開いて!」
「は? なんだ、うわっ」
彼の長い足をこじ開けて、その長い足の間にエイと座る。彼は驚いたようではあったけど、すぐに私を抱き締めた。
「……お前、かわいいなあ」
私は彼の胸にもたれて座った。彼は私の頭や首に軽くキスをした。そんな彼からは、私と同じボディソープの匂いがする。
「同じ匂いがするね」
「……全然ちがうよ」
と、彼は笑った。
彼の部屋はネオンを見下ろすような高層マンションの上の方にあった。これは賃貸ではないだろうと思いながら、私は彼に続いてその家に入った。玄関からとても広く、どこもかしこも真っ白だった。
「待て。そのまま上がるな。血がつく」
「あ、そうだね」
「どっちにしろ早めにクリーニング頼まないとな……はあー、めんどくさい……」
彼は玄関で血まみれのスーツを脱ぐと、靴箱から取り出したごみ袋に入れた。彼が続けて血まみれのシャツも脱ごうとするから、私は慌ててそっぽ向いた。
「急にどうした?」
「……裸は見ちゃだめでしょ……急に脱がないでよ……」
「俺はずっと脱ぎたかったんだよ。血が染みて重かったんだ。お前もその服、脱ぎたいだろ?」
たしかに鉄臭いし、べちゃべちゃの重たい服は早く脱いでしまいたかった。
「……でも、自分の家でもない玄関で脱ぐなんて……」
「お前の家だよ。今日からここが俺たちの家。風邪引くから早く脱げよ」
「そういうのよくないわ」
「……ふーん。まあ、いいか。じゃあ俺はシャワー浴びてからあっちの部屋いくぞ。そしたらお前も脱いで、シャワー浴びて、服を着て俺のところに来いよ」
「……うん、わかった……」
私の背後で彼が服を脱ぐ音がした。その後ぺたぺたと廊下を歩く音、「ここが風呂場だから、……って見てないか。手前はトイレでその奥が風呂場」、その足音はどこかの部屋に入っていた。
「……」
水音がする。
「……困ったな」
私は不安になった。
「私、いい奥さんになれるのかな……」
彼の方がよほどいい奥さんになれそうだと思った。
――この予感は正しかった、と後々わかることになる。
私はその水音がやみ、彼が奥の部屋にいく足音がしてから、ようやく振り返り、それからゆっくりと服を脱いだ。そうして彼のいうとおりにシャワーを浴びて、用意されていた服を着て、彼のいる部屋に向かった。
彼はリビングのソファーに腰かけて、私を待っていた。彼は私を見てクスクスと笑う。
「お前小さいね。俺の服じゃブカブカだ」
「きみが大きいんじゃない?」
「そうかもな。おいで」
彼の座っているソファーに向かう。
「明日お前の家から荷物持ってこよう」
彼は少し腰をあげてソファーの背もたれにひっつく。しかし、一人がけのソファーだ。おいでというくせに私が入れるスペースはなかった。
「無茶を言うのね」
「なにが? 引っ越し屋の予約ならとれると思うぞ?」
「狭いよ」
「もっと広いところに引っ越すか?」
「足開いて!」
「は? なんだ、うわっ」
彼の長い足をこじ開けて、その長い足の間にエイと座る。彼は驚いたようではあったけど、すぐに私を抱き締めた。
「……お前、かわいいなあ」
私は彼の胸にもたれて座った。彼は私の頭や首に軽くキスをした。そんな彼からは、私と同じボディソープの匂いがする。
「同じ匂いがするね」
「……全然ちがうよ」
と、彼は笑った。
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