140字創作集

菅原 龍飛

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16 海

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 冷たい白波が素足を濡らし、湿った風が頬を撫でる。目を閉じてゆっくり息を吸うと、肺と鼻が碧い香りで満たされた。熱くて冷たい砂浜を歩き出す。潮風が絡まった髪を掻き上げながら、海と陸との間を渡り歩く。振り返ると、歩み刻んできた足跡がなくなっていた。寂しさが入り混じった視線を元に戻した。
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