出戻り転生傭兵の俺のモットーは『やられたらやり返しすぎる』です

はんぺん千代丸

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第一章 二年四組地獄変

第7話 RAINグループ『2ねん4くみ』

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『今日』

 ふゆ:ちょっと、今日、誰かリッキーと通話したヤツいる?

 KMR:しらなーい。

 かめ吉:俺もしてないよー。

 みうみう:どうかしたの、ふゆちゃん?

 ふゆ:さっきから何回もメッセージ送ってるのに反応ないのよ。ムカつく。

 みうみう:まだ塾じゃない? 今日は塾の日だし。

 ふゆ:バカのクセに塾なんて行ってどうするの、ゴリラのクセに。

 かめ吉:ふゆちゃんひっど。

 ふゆ:事実でしょ。腕力バカのゴリラが勉強なんかしてどうするのよ。

 KMR:リッキーにバレたら怒られるよ、ふゆちゃん。

 ふゆ:くっだらな。あいつのパパは私のパパの手下よ。無理に決まってるわ。

 ジロ~:出た出た、ふゆちゃんのパパ自慢。

 ふゆ:何よ。ジロ~、何か文句あるの?

 ジロ~:え、いや、別にないけど。

 ふゆ:じゃあ謝りなさいよ。

 ジロ~:え

 ふゆ:私をからかうようなことを言ったの、謝りなさいよ。

 ジロ~:ええ

 ふゆ:最高に気分が悪くなったわ。気持ち悪いくらい。ジロ~のせいよ。

 ジロ~:そ、そんなぁ

 ふゆ:謝りなさいよ。早く。泣きたい気分になってきてるわ、私。

 みうみう:ジロ~君、謝った方がいいよぉ。

 ジロ~:俺、別にそんなつもりじゃ……

 ふゆ:あんたがどういうつもりかなんて関係ないわよ。早く謝りなさいよ!

 ジロ~:ごめん、ふゆちゃん

 ふゆ:悪いのは誰?

 ジロ~:俺です。本当にごめんなさい。

 ふゆ:悪いことをしたってわかったら?

 ジロ~:もうしないよ。二度としないよ。だから勘弁してよ! 謝ってるじゃん!

 ふゆ:謝ってすむ問題だと思ってるの! 最悪ね、あんた!

 ジロ~:先に謝れって言ったのはそっちだろ! おかしいよ!?

 ふゆ:うるさい。私は間違ってない。おかしいのはあんたの方に決まってる!

 ふゆ:あんたのパパ、私のパパのグループの系列企業の下請けに勤めてたわよね。

 ジロ~:待ってよふゆちゃん!

 ふゆ:待たないわ。謝るだけですまそうとした卑怯者は絶対許さないわ。

 ふゆ:あとでパパに言っておくから。覚悟しておきなさい。

 ふゆ:あんたのパパなんて、すぐにクビか左遷よ。私を怒らせた罪は大きいわ!

 ジロ~:あ、謝るから、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!

 ジロ~:二度とふゆ様には逆らいません。許してください。お願いします。

 KMR:あ~ぁ。

 かめ吉:ふゆちゃん怒らせるから~。

 みうみう:ねぇ、ふゆちゃん、ジロ~君のこと許してあげたら?

 ふゆ:そうね。明日、みんなの前で私に土下座したら許してあげてもいいけど?

 ジロ~:はい、土下座します! 何でもします! だから許してください!

 ふゆ:いいわ。土下座して、私をふゆ様って呼んで一生奴隷になるなら許すわ。

 まー:こらこら、ふゆちゃん。やりすぎだぞ。

 みうみう:あ、まーくん。

 まー:ジロ~も十分反省してるんだし、許してあげなさい。

 ふゆ:何よまーくん、担任のクセにジロ~を贔屓するの? 平等じゃないわ!

 まー:僕は平等より公平が好きでね。ふゆちゃんの方がジロ~よりも偉いだろ?

 ふゆ:そうよ。私は偉いのよ。私のパパは大企業の会長なんだから!

 まー:偉い人はね、偉くない人に優しくしてあげた方がいいんだよ、ふゆちゃん。

 ふゆ:何でよ?

 まー:それが公平ってことだからさ。偉くて、強くて、優しい。いいことだろ?

 ふゆ:フン、まぁいいわ。これくらいで許してやるわよ。感謝しなさい、ジロ~!

 ジロ~:あ、ありがとうございます……。

 まー:うんうん。それでよし。ところでリッキーについてなんだけどね。

 ふゆ:あいつ、私が連絡してやってるのに全然反応ないんだけど!

 まー:ついさっき、リッキーのご両親から連絡があってね。

 かめ吉:え、何かあったの?

 まー:リッキーが急病で病院に運ばれたって。しばらくお休みするらしい。

 KMR:えええええ

 みうみう:いきなりすぎない? 大丈夫なの、それ?

 まー:わからない。今は病院で検査中だそうだ。

 ふゆ:何よそれ、仮病なんじゃないの? あいつ、明日のことで怖気づいたのよ!

 まー:明日? 明日何かするつもりなのかい?

 ふゆ:アキラよ。今日あいつ、すっごい生意気だったじゃない。

 まー:いつもとは随分と様子が違っていたね。

 ふゆ:私達に逆らうなんて絶対許さないわ。だから復讐してやるのよ!

 まー:リッキーとふゆちゃんで?

 ふゆ:そうよ。あいつに、一生忘れられない傷を負わせてやるのよ!

 まー:程々にね。

 KMR:止めないんだ、まーくん。

 まー:止めたって、どうせ僕が見えないところでやるだろ、ふゆちゃんなら。

 ふゆ:当然よ!

 まー:だったら僕が見えるところでやってもらった方が、僕としても都合がいい。

 みうみう:担任の先生の言うことじゃなーい。

 まー:あははははは

 かめ吉:って、笑いごとなんかーい。

 ふゆ:明日は最高の復讐をしてやるつもりだったのに、リッキーめ。

 まー:実を言うと僕も前々から、リッキーはあんまり好きじゃなかったんだよ。

 みうみう:そうなの?

 まー:だって腕力だけのゴリラだろ、あの子。

 ふゆ:さすがまーくんはよくわかってるわ。そうよ、あいつはただのゴリラよ。

 ジロ~:う、俺も実は、あんまりリッキーは……。

 かめ吉:あいつ、人のものすぐとるもんなー。

 KMR:そうそう。俺もあいつに消しゴムとられたままなんだよなー。

 みうみう:リッキーのこと好きな人って、実はいないよねー。

 かめ吉:すぐぶってくるから嫌いだ、あいつ。

 KMR:あいつも病院に行ったまま死んじゃえばいいのにな。

 みうみう:そうよねー。いなくなっちゃえばいいのに。

 まー:やっぱりクラスのリーダーはふゆちゃん以外にはいないな。

 ふゆ:当たり前よ。

 ふゆ:こうなったら、アキラへの復讐は私がやってやるわ。見てなさいよ。

 まー:さすがはふゆちゃんだ。クラスの和を乱す悪人を裁いてやってくれ。

 KMR:任せたぜ、ふゆちゃん!

 みうみう:ふゆちゃんかっこいいー!

 ジロ~:ふゆ様、最高です!

 ふゆ:そうよ、もっと、もっと褒めなさい。私はすごいんだから!

 ふゆ:私は偉くて、すごいのよ! そうよ、すごいんだから!


  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 力也の家を出て、帰り道のさなかのこと。

「あ、金鐘崎君」
「あれ、枡間井さん」

 未来とバッタリ遭遇した。

「どこかに行くの?」
「いや、これから家に帰るところだよ。散歩中だったんだ」

 俺は差し障りのない返答をしつつ、道を歩きはじめる。
 その隣に、未来が並んで歩いてくる。

「枡間井さんこそ、何でこんな時間に?」

 時刻は午後八時。
 小学二年生が出歩くにしては遅い時間のようにも感じられる。

「ん、これ……」

 ガサと音を立てたのは、コンビニのビニール袋。
 中に、スナック菓子と四角く平べったい箱のようなものが入っていた。
 箱みたいなのは、チョコか何かかな。

「買い置きのお菓子がなくなっちゃって、近くのコンビニに買いに行ってたの」
「じゃあ、この近くに住んでるんだ?」
「うん。ここから少し行ったところにあるマンションよ」

 あれ、それっていわゆるタワマンでは?
 この辺り、街でも特に地価が高い高級住宅地でしたよね、確か。

「枡間井さんって、実はお金持ち?」
「そんなことないよ。パパはいつもお仕事忙しくて、家には私一人だし」

 父一人、娘一人、ってことかい。
 どうやら家庭事情はどこも似たり寄ったりらしい。住んでる場所が雲泥だけどな。

「金鐘崎君のおうちって、こっちだったっけ?」
「ああ、うん。遠くはないよ」

 適当の誤魔化しつつ、俺はさっさとこの場を離脱することにする。

「あ、枡間井さんはそっちに行くのか。僕はこっちだから」

 と、分かれ道で言ったところで、急に未来が俺のことを見つめてきた。

「ねぇ、金鐘崎君」
「何かな?」
「明日は、ちゃんと学校に来てくれる?」

 何だ、そんなことかよ。

「大丈夫だよ。ちゃんと行くから。心配してくれてありがとう」
「うん。わかった。どういたしまして」

 未来はにっこりと微笑んで、そして歩いて行った。
 やれやれ、敵じゃないようだが、あのあけすけな性格はどうにも扱い慣れない。

「さて、そろそろ腹も減ったし俺も帰って――」

 言いかけたところで、周りの風景を見て気づいた。
 あれ、もしかしてこの辺って、近くじゃね? ……佐村美芙柚のおウチのよぉ。

「――見るだけ見ていくか」

 俺は舌先で上唇を軽く舐めて、行き先を変更した。
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