1 / 1
前編
しおりを挟む
「葉積、こんな時まで仕事してないで食べようよ~」
恋人の葉積の誕生日を祝うために料理を並べた所なのに、パソコンに向かい仕事をしていることに呆れながら声をかけた。
「ちょっと待ってすぐ終わる」
キーボードを叩いている姿を見てキッチンに向かう。スープを再び温め直そうと鍋を火にかける。沸騰しないようにかきまぜながらため息をつく。
「ごめん。終わった」
「最近、仕事ばっかりじゃん」
誕生日だというの家にやってきて料理を作っている間も葉積はパソコンとにらめっこしていた。
まるで私なんか居ても変わらないかのように。
寂しさが怒りに変わり始めていた。
「怒るなって。ちょっとトラブルで急に……俺だって自分の誕生日だしましてや休みなのに仕方なかったんだって機嫌なおしてよ」
葉積は私を背中から抱きしめた。
その温もりに少しほっとする。
でも、不満は口をついて出る。
「今日、あなたのためにごちそう作ってたのになんで仕事ばっかして」
「ありがとう。ごめんねって」
葉積は私にキスをする。
こうやって私は騙されるのだ。
いつだって、彼には勝てない。
「危ない、もう火がついてるんだから」
私は可愛くない。こういう時に素直になれないでいる。
本当は忙しくて大変なのも無理して仕事を調整して誕生日を迎えようとしていることも。
だけど、好きだから葉積にはこちらを向いて欲しいのだ。
少しでも仕事の愛情をこちらに傾けて欲しいと思ってしまう。
毎日会えるわけではないのだから貴重な時間を一緒に大事に過ごしたいのだ。
でも、面と向かって素直に口に出来ない恥ずかしさもあるから。
つい不貞腐れてしまう。
「もう、はい。ご飯食べるよ」
お腹は空いていたけれど、本当はこのままずっと温かさを感じながら抱きしめてもらっていたいけれど、恥ずかしいからお皿にスープを注いだ。
葉積はテーブルの料理を見て、嬉しそうに声をあげた。
「美味しそうだね。お腹減った~」
彼が私の心も知らないでのんきに口にするのを聞いて、わかってくれてるのかなぁと思う。
私は毎日彼の事を思って、大丈夫かなぁ。
今日は忙しいかなぁとか頭を離れる事なく日常を過ごしているけど、彼はきっと私の事を思い出すのは1日で数分あるんだろうか?
好きになればなるほど、不安を抱き。
そうなればなるほど、不安でどう思ってる?とは素直に聞けない。
聞いたらショックで立ち直れなくなるのも嫌だ。だから、余計に不機嫌になったり怒ったりしてしまう。
ふぅ、女心とは複雑なのだ。
子供じみた話だけれど、彼は私には到底わからない難しい専門職の仕事をしている。
その仕事が好きだと彼は口にする。
彼が好きだと言える仕事に就いていることは素敵だと思う。
けれど、その一方で夢中になっているその仕事に嫉妬するものがある。
その夢中を私に向けてくれたら幸せなのにと。
それに体を壊すぐらい働いてしまう真面目さが心配なのだ。
決して彼は体が丈夫とは言えないから心配になるのだけれど、そこを彼は何も考えてなさそうな所も胸に引っかかるものがある。
時に好きだからどうして分かってもらえないのかとぶつけてしまう怒りの矛先が彼に向いてしまうのは反省しなければいけないと思う。
付き合って長いからこそ、最近は彼が仕事に没頭してプライベートがほとんどない事を私は不安に抱いている時に、こうして一緒にいる時にも仕事を考えているのが、私は寂しいのだ。
私の存在など小さくて彼にとっては意味がない存在なのだろうかと……。
でも、彼に抱きしめられると私の杞憂なのだろうかとも思う。
現状、目の前にいて私とご飯を一緒に食べようとしているのだから、少しでも私の存在理由はあるのだろうか。
そんなことを考えながら、スープをテーブルに並べ彼の向かいに座る。
恋人の葉積の誕生日を祝うために料理を並べた所なのに、パソコンに向かい仕事をしていることに呆れながら声をかけた。
「ちょっと待ってすぐ終わる」
キーボードを叩いている姿を見てキッチンに向かう。スープを再び温め直そうと鍋を火にかける。沸騰しないようにかきまぜながらため息をつく。
「ごめん。終わった」
「最近、仕事ばっかりじゃん」
誕生日だというの家にやってきて料理を作っている間も葉積はパソコンとにらめっこしていた。
まるで私なんか居ても変わらないかのように。
寂しさが怒りに変わり始めていた。
「怒るなって。ちょっとトラブルで急に……俺だって自分の誕生日だしましてや休みなのに仕方なかったんだって機嫌なおしてよ」
葉積は私を背中から抱きしめた。
その温もりに少しほっとする。
でも、不満は口をついて出る。
「今日、あなたのためにごちそう作ってたのになんで仕事ばっかして」
「ありがとう。ごめんねって」
葉積は私にキスをする。
こうやって私は騙されるのだ。
いつだって、彼には勝てない。
「危ない、もう火がついてるんだから」
私は可愛くない。こういう時に素直になれないでいる。
本当は忙しくて大変なのも無理して仕事を調整して誕生日を迎えようとしていることも。
だけど、好きだから葉積にはこちらを向いて欲しいのだ。
少しでも仕事の愛情をこちらに傾けて欲しいと思ってしまう。
毎日会えるわけではないのだから貴重な時間を一緒に大事に過ごしたいのだ。
でも、面と向かって素直に口に出来ない恥ずかしさもあるから。
つい不貞腐れてしまう。
「もう、はい。ご飯食べるよ」
お腹は空いていたけれど、本当はこのままずっと温かさを感じながら抱きしめてもらっていたいけれど、恥ずかしいからお皿にスープを注いだ。
葉積はテーブルの料理を見て、嬉しそうに声をあげた。
「美味しそうだね。お腹減った~」
彼が私の心も知らないでのんきに口にするのを聞いて、わかってくれてるのかなぁと思う。
私は毎日彼の事を思って、大丈夫かなぁ。
今日は忙しいかなぁとか頭を離れる事なく日常を過ごしているけど、彼はきっと私の事を思い出すのは1日で数分あるんだろうか?
好きになればなるほど、不安を抱き。
そうなればなるほど、不安でどう思ってる?とは素直に聞けない。
聞いたらショックで立ち直れなくなるのも嫌だ。だから、余計に不機嫌になったり怒ったりしてしまう。
ふぅ、女心とは複雑なのだ。
子供じみた話だけれど、彼は私には到底わからない難しい専門職の仕事をしている。
その仕事が好きだと彼は口にする。
彼が好きだと言える仕事に就いていることは素敵だと思う。
けれど、その一方で夢中になっているその仕事に嫉妬するものがある。
その夢中を私に向けてくれたら幸せなのにと。
それに体を壊すぐらい働いてしまう真面目さが心配なのだ。
決して彼は体が丈夫とは言えないから心配になるのだけれど、そこを彼は何も考えてなさそうな所も胸に引っかかるものがある。
時に好きだからどうして分かってもらえないのかとぶつけてしまう怒りの矛先が彼に向いてしまうのは反省しなければいけないと思う。
付き合って長いからこそ、最近は彼が仕事に没頭してプライベートがほとんどない事を私は不安に抱いている時に、こうして一緒にいる時にも仕事を考えているのが、私は寂しいのだ。
私の存在など小さくて彼にとっては意味がない存在なのだろうかと……。
でも、彼に抱きしめられると私の杞憂なのだろうかとも思う。
現状、目の前にいて私とご飯を一緒に食べようとしているのだから、少しでも私の存在理由はあるのだろうか。
そんなことを考えながら、スープをテーブルに並べ彼の向かいに座る。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!
夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」
婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。
それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。
死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。
……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。
「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」
そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……?
「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」
不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。
死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる