再生記 -新たなる時代-

9話 過去(2)

「ラムとは昔、同じ街に住んでたんだ」
リリカは静かに過去を懐かしむように話し始めた。

「君もあそこに住んでいたのか？ 」

「いや、違うんだ。元々は山間の小さな街だ。俺たちは小さい頃そこにいて、親はそれぞれ仕事を求めて山からおりたのさ」

「そうだったのか。わしらがきた時はすでにラムがいたから詳しくはわからないんだ。
君の親は助かったのか？ 」

「残念ながらだめだったよ。でも、弟が助かったのがせめてもの救いだよ。あいつがいなかったら俺も諦めてた。死にかけてた時にライカ達に救われたから今の命があるんだけどな」

「君も助けられたのか。そうか、それで君も同じように……」

「そんなもんさ。ラムとは兄弟同然で育ったから、会いたかったが、あいつとはまたどこかで会える気がしているんだ」

「ラムは大丈夫。生きとるよ。私は実は医者をやってたんだ。
あの街には病気を抱えた子が多くてね。
そんな子の力になれればとあの街に行ったのだが、ラムはわしの世話になることはなかった。よく来ている子ならばよく分かるのだけれど。でも、彼は会うたびに挨拶をしてくれてね。近所の子の世話もよくしていた。良い青年だったよ」

「ラムらしいよ。俺以上に弟の世話をしてくれていたからね。」

リリカは笑っていた。

「いつか必ず会えるよ」

「だと、信じるよ。しかし、トリが医者だったとは驚きだよ」

「小汚い爺さんにしかみえんだろうからな」

「ははは、そんなことは……あるな」

リリカは笑っていた。

「君は正直でいい。村人が怪我や病気をしたらわしの所に連れてこい。それが私の仕事だからな」

「ありがたい。心強いよ。俺は出来るだけ世話になりたくないけどな」

「医者は嫌いか？ 」

「あぁ、まずい薬を処方されてからな」

「 良薬口に苦しだよ」

「良薬でも苦いものはごめんだね」

「その通りだな。わしも自分が飲むのは嫌なもんさ。甘党でな。医者でも薬は嫌なもんさ」