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思い出達からの旅立ち
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「龍哉、龍哉」
部屋から涼香の声がして、我に返って走る。
「これ履き替えないと、スウェットじゃ外出られないよ」
涼香はいつもと何ら変わらず微笑みながら、デニムを差し出した。
「このスウェットは気にいってるから持っていく」
龍哉は黙って受け取り、履き替えてから口にした。
このスウェットは涼香が買ってきてくれたものだ。
それは初めて一緒に暮らし始めた頃のものでほつれも穴も空いているけれど捨てられないでいた。
「うん、詰めておく。あと、帰ってきてから証拠になりそうなものは残してないよね」
「他にはないはずだよ」
「分かった。ゴミを持って、あとは住み慣れたこの家とはお別れを告げて……出発しよう。」
涼香はこの家が気にいっていた。
築数十年が経ち、いつ取り壊しになってもおかしくないような家だというのに、この家が好きだと言っていた。
汚くても、狭くても何も言わず、涼香はいつも笑顔で龍哉はそんな彼女に甘えていたのだと家を後にすると思うと改めて感じていた。
「涼香、ありがとう……」
「感謝するのはこっちだよ。さぁ、久々の遠出だよ。覚悟してよ。
さてさて、実は……何かあった時のためにもと隠し貯金をしていたんだよね。よいしょ」
涼香は押し入れの天井から紙袋を取り出した。
「知らなかったでしょ。天井の壁が破れてて、そこに箱みたいなスペースがあったの。それで毎月こっそり貯金してたの。タンス貯金ならぬ、天井ね。さ、お風呂の水を止めて、行くよ」
涼香には驚かされる事ばかりだと思いながら龍哉は微笑んだ。
「さ、行こう」
部屋を仕事に行っている時のような姿にして、部屋を後にした。
部屋から涼香の声がして、我に返って走る。
「これ履き替えないと、スウェットじゃ外出られないよ」
涼香はいつもと何ら変わらず微笑みながら、デニムを差し出した。
「このスウェットは気にいってるから持っていく」
龍哉は黙って受け取り、履き替えてから口にした。
このスウェットは涼香が買ってきてくれたものだ。
それは初めて一緒に暮らし始めた頃のものでほつれも穴も空いているけれど捨てられないでいた。
「うん、詰めておく。あと、帰ってきてから証拠になりそうなものは残してないよね」
「他にはないはずだよ」
「分かった。ゴミを持って、あとは住み慣れたこの家とはお別れを告げて……出発しよう。」
涼香はこの家が気にいっていた。
築数十年が経ち、いつ取り壊しになってもおかしくないような家だというのに、この家が好きだと言っていた。
汚くても、狭くても何も言わず、涼香はいつも笑顔で龍哉はそんな彼女に甘えていたのだと家を後にすると思うと改めて感じていた。
「涼香、ありがとう……」
「感謝するのはこっちだよ。さぁ、久々の遠出だよ。覚悟してよ。
さてさて、実は……何かあった時のためにもと隠し貯金をしていたんだよね。よいしょ」
涼香は押し入れの天井から紙袋を取り出した。
「知らなかったでしょ。天井の壁が破れてて、そこに箱みたいなスペースがあったの。それで毎月こっそり貯金してたの。タンス貯金ならぬ、天井ね。さ、お風呂の水を止めて、行くよ」
涼香には驚かされる事ばかりだと思いながら龍哉は微笑んだ。
「さ、行こう」
部屋を仕事に行っている時のような姿にして、部屋を後にした。
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