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行く当てのない旅
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車の後部座席に荷物を押し込む、運転席側のドアについているポケットにナイフの入った袋を押し込んだ。
涼香は龍哉の視界に入らないように奥に押し込みハンカチを上からかぶせた。
龍哉は助手席に座り、俯いている。
涼香はその顔を見て、黙ったまま助手席の龍哉を抱きしめた。
「…涼香……」
「さぁ、ひとまず車を出すよ」
アクセルを踏み込み、アパートの前を通り十字路に出る。
大通りに出るため、右折する。
「東西南北どっちいこうか?」
「うーん…」
「途中で車は置いていこうか。明日か明後日は電車移動しよう。」
「そうだな。そういや二人で電車旅なんてしたことなかったなぁ。もっと早く旅行に連れていったあげたかった」
「今こうしているから、いいじゃない。何処か行きたい所はある?」
「俺は涼香がいればどこでもいいよ。涼香が行きたいところは?」
「そうだなぁー、私も龍哉がいればそれでいいんだよね。ふふっ、二人ともインドア派だから思いつかないよね」
「あぁ。それにこんな事で……」
「もうその話はやめよう。あとで詳しく聞くかもしれないけど、今はやめよ。その……龍哉を私は信じてるから」
「…信じる?」
「今まで見てきた龍哉を知る限りでは龍哉が感情のまま殺した訳じゃないと思ってる。何かあったんでしょ?」
「……」
「話せるタイミングがきてからでいいよ。龍哉、自販機が見えたら教えてコーヒーが飲みたい」
「うん、わかった」
涼香は仕事終わりで疲れていた。
眠気が襲ってきたら勝てない気がしてコーヒーを飲んでおこうとしたのだ。
「ラジオつけていい? 音楽聴かない?」
「俺つける。なつかしいな」
ラジオから流れてきたのは、二人の思い出の曲だった。
「あ~なつかしい~。覚えてる?あのモノマネ」
赤信号で車が停まり、涼香は龍哉の顔を見る。
暗い車内の中で龍哉がそっと微笑んで頷いた。
「似てなかったよ」
「ひどい、自分では似ていると思ったんだけどなぁ」
カナダのバンドでCMで流れていたのを耳にして、二人とも気に入ってCDを買いに行ったのだ。
あの頃は二人ともお金がなくて、CDを買うのもやっとだった頃だ。
涼香はその頃を思い出していた。
涼香は龍哉の視界に入らないように奥に押し込みハンカチを上からかぶせた。
龍哉は助手席に座り、俯いている。
涼香はその顔を見て、黙ったまま助手席の龍哉を抱きしめた。
「…涼香……」
「さぁ、ひとまず車を出すよ」
アクセルを踏み込み、アパートの前を通り十字路に出る。
大通りに出るため、右折する。
「東西南北どっちいこうか?」
「うーん…」
「途中で車は置いていこうか。明日か明後日は電車移動しよう。」
「そうだな。そういや二人で電車旅なんてしたことなかったなぁ。もっと早く旅行に連れていったあげたかった」
「今こうしているから、いいじゃない。何処か行きたい所はある?」
「俺は涼香がいればどこでもいいよ。涼香が行きたいところは?」
「そうだなぁー、私も龍哉がいればそれでいいんだよね。ふふっ、二人ともインドア派だから思いつかないよね」
「あぁ。それにこんな事で……」
「もうその話はやめよう。あとで詳しく聞くかもしれないけど、今はやめよ。その……龍哉を私は信じてるから」
「…信じる?」
「今まで見てきた龍哉を知る限りでは龍哉が感情のまま殺した訳じゃないと思ってる。何かあったんでしょ?」
「……」
「話せるタイミングがきてからでいいよ。龍哉、自販機が見えたら教えてコーヒーが飲みたい」
「うん、わかった」
涼香は仕事終わりで疲れていた。
眠気が襲ってきたら勝てない気がしてコーヒーを飲んでおこうとしたのだ。
「ラジオつけていい? 音楽聴かない?」
「俺つける。なつかしいな」
ラジオから流れてきたのは、二人の思い出の曲だった。
「あ~なつかしい~。覚えてる?あのモノマネ」
赤信号で車が停まり、涼香は龍哉の顔を見る。
暗い車内の中で龍哉がそっと微笑んで頷いた。
「似てなかったよ」
「ひどい、自分では似ていると思ったんだけどなぁ」
カナダのバンドでCMで流れていたのを耳にして、二人とも気に入ってCDを買いに行ったのだ。
あの頃は二人ともお金がなくて、CDを買うのもやっとだった頃だ。
涼香はその頃を思い出していた。
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