録画データ:「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」;ソロモン沖海戦の回

エトーのねこ(略称:えねこ)

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録画データ:「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」ソロモン沖海戦の回(1/5)

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 ――その駆逐艦は、戦後の調査結果として最も敵艦を撃沈した艦艇として知られている……。

 1942年8月、ミッドウェー海戦に勝利した大日本帝国は昨年末に叩いた布哇諸島の基地を再び奪還すべく艦隊を整備していた。そんな折、ラバウル方面の戦略偵察部隊から連絡が入る。
 ……合衆国軍太平洋艦隊、ツラギ方面に侵攻、と。
 帝国陸海軍は直ちに迎撃準備を開始するも、主力艦艇である一航戦、二航戦、五航戦は布哇攻略作戦の関係上、使うことが難しい。だが、三航戦や四航戦、六航戦は編成途上な上に六航戦は飽く迄紙の上の兵力に過ぎない。
 そこで白羽の矢が立ったのは、大和型二番艦の武蔵であった。長門、陸奥などの精鋭を率いて武蔵を旗艦とする迎撃部隊は、一路ソロモン沖、ガダルカナル島近海に向かう。
 そんな中、ある駆逐艦がその武蔵を旗艦とする迎撃部隊の中に存在していた……。

 「本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」、本日は都合五度に亘る「ソロモン沖海戦」を戦い抜いた武勲艦、「五月雨」。その偉業に迫ります。

 駆逐艦「五月雨」
 合衆国軍太平洋艦隊を退ける!!

 =たった一隻の最終決戦=

「皆様ご機嫌よう、伊東保波で御座います。
 かの大戦では数々の出来事が御座いましたが、無事大日本帝国は勝利を収めました。とはいえ、それは明治の頃の戦役と同様に、並大抵の努力では得られぬ勝利で御座いました。
 この番組は、明治維新からひとまずは大東亜戦役……ああ、所謂昭和戦役という総称で御座いますが、その中の大日本帝国が主要な戦役担当を務めた部分で御座います、までの範囲の中で、様々な瞬間を取り上げて、その結果なぜ大日本帝国は勝利を得るに至ったか、ということをお伝えするもので御座います。
 本日取り上げる「戦捷の瞬間」、それはソロモン沖と呼ばれる、ツラギからガダルカナル、エスピリツサント、フィジーなどを経て、オークランドまでの、いわば米豪分断作戦の間に行われた諸海戦で御座います。
 そもそも、なぜこのような海域で海戦が五度も行われたのかと申しますれば、帝国海軍がミッドウェー海戦において勝利を収めた後、布哇諸島を解放すべく進撃準備を整えている最中に、合衆国軍太平洋艦隊の残存部隊が米豪分断作戦に勘付いて侵略してきた結果、それを邀撃すべく急遽編成された作戦で御座います。
 帝国海軍はこの諸作戦によって合衆国軍太平洋艦隊を文字通り粉砕するわけで御座いますが、その過程を本日はお届けしたいと思っております。
 すなわち今回取り扱う時節としましては、旧暦で2602年8月から11月までの期間となりましょうか。
 この時期、大日本帝国はミッドウェー海戦において合衆国軍の正規空母の過半を撃沈することに成功致しましたが、未だ通商破壊戦のノウハウを確立出来ておらず、当初は楽観視出来ていた敵魚雷の性能が向上するにつれ、商船隊の被害が無視できないレベルにまで悪化しつつあることに懸念を抱き、本海戦の、つまりはソロモン沖海戦に関しては敵の海軍を戦略的に漸減する意図も含まれておりました。
 本日は、そのソロモン沖海戦が始まる少し前、ミッドウェー海戦より実況を始めたいと思います……」

 帝国海軍は、海戦劈頭の真珠湾海戦を手始めに次々と東亜諸国を介抱して行きました。中でも象徴的であったのが、昭南島解放並びにバレンパン基地への空挺作戦で御座います。此に肝を冷やした白人種は急ぎ現地編成の艦隊で迎え撃つも、所詮は烏合の衆。あっさりとその艦艇全てを失います。1942年、すなわち2602年に入る頃には呂宋のコレヒドール要塞で粘っている合衆国陸軍以外は、大東亜の戦区でのさばっていた白人種はほぼ全て捕縛されました。ただ、問題はこの後でして……。……今となっては、笑い話で済む問題なので御座いますが……。この当時、帝国陸海軍は戦争計画をまだ構築中だった、という説が御座います。とはいえ、この後は原則・定石に則れば、概ね三つに分かれるもので御座いました。まずは、印度解放作戦。すなわち西に進みイギリスの経済を破綻させよう、というもので御座いました。次は、米豪分断作戦。すなわち、オーストラリアを一度連合国から脱落させ、敵の士気を殺ごう、というもので御座います。最後に、実際に行われた作戦では御座いますが、布哇諸島を再び大日本帝国の手に戻そう、という作戦で御座いました。
 とはいえ、布哇諸島をいかに大日本帝国の手に戻そうとしても、そこには物理的な距離が邪魔をしております。ゆえに、途中途中の、すなわちウェーキやミッドウェーなどの島嶼を攻略する必要が御座います。
 その中でも、ミッドウェー諸島は布哇諸島の一部であり、島影こそ僅か乍らも、布哇諸島を大日本帝国が取り戻す為には是が非でも攻略を避けてはならん状況で御座いました。
 もちろん、それは敵軍、つまりは合衆国も把握していることで御座います。暗号解読の結果合衆国軍はミッドウェー海戦の時期まで予期し、破損中の空母を突貫工事で修理してまで迎撃を備えておりました。
 しかしながら、それは大日本帝国の罠だったので御座います……。

 2602年6月6日、現地時間はおよそ10時45分。ミッドウェー海戦に於いて合衆国海軍は稼働空母の全てを失います。ホーネット、ワスプ、エンタープライズを初め、ヨークタウンにサラトガ、そして大西洋より急遽回航させたレンジャーまでもが、このミッドウェー諸島にて戦没しました。言うまでも無く、第一航空艦隊とはそれだけの技量を誇る精鋭集団で御座いますが、実は此所に一つ絡繰りが御座いました。なんと、第一航空艦隊はミッドウェー諸島を襲う振りをしてわざと無防備な所を合衆国海軍に見せつけます。すかさず飛来した合衆国海軍航空隊ですが、彼等はそこで妙なものを発見します。
 言うまでも無いでしょう、準備を万端にしていた零戦隊……そして、連合艦隊旗艦である大和で御座いました。更には、長門や陸奥、他にも伊勢、日向までが存在しており、いわばちょっとした観艦式とでも言うべき状況で御座いました。当然乍ら、航空隊が狙うべきは第一航空艦隊、つまりは赤城、加賀、蒼龍、飛龍のはずでした。事実、合衆国海軍航空隊は大日本帝国が誇る航空母艦に群がり始めたわけで御座いますが、彼等の奇襲攻撃は奇襲ではなく、飽く迄強襲に過ぎません。折角ドーントレス艦爆が急降下態勢を整えようとしていても、零戦隊によってその多くが空中に飛散、帝国海軍に与えた損害も僅かなもので御座いました。
 そして、悪いこととは重なるもので、艦爆隊にせよ艦攻隊にせよ、そのほぼ全てが零戦隊に撃墜されただけでは無く、合衆国海軍航空隊が帰るはずの航空母艦すらも、この海戦で轟沈するので御座います。
 そして、合衆国軍を襲った被害はこれだけではありません。アリューシャン方面はダッチハーバーに於いて、アクタン島をはじめとした各所に急襲を受けた合衆国海軍は、防衛戦力の不備を理由に放棄、事実上、アラスカまでの道であれば大日本帝国はつなぐことに成功致します。
 しかし、ふたつよいことさてないものよ、とはよく言ったもので、合衆国軍は本戦闘の折りに零戦部隊の戦力を計測し、零戦撃破のための航空機を研究し始めていました。
 そして、それまでの時間稼ぎとして、合衆国軍は布哇防衛も兼ねてある作戦を立案致しました。……所謂、南太平洋からの攻撃で御座います。
 2602年7月、トラックの司令部に暗号文が届いたのは、そんな状況のことで御座いました……。
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