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3月14日【ある休日の出来事】
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毎日、仕事終わりに猫にあって癒されているというのに、なんだか無性に会いたくなって友達と会った後、いつもの帰宅時間に合わせて会社まで行ってみた。会えたらいいな、なんてそんな軽い気持ち。いつもは朝にしか通らない道もだんだんと薄暗くなるなか、歩くと少し新鮮な気持ちだった。会社が近づくにつれて近づいてきた緊張で胸が高鳴る。足が速くなっていくのがわかる。会社についたのは就業時間間際。普段は多くの人が行きかう道も、休日とあって人は少ない。ロックのかかった自動ドアの横の壁に、待ち合わせを装ってもたれかかる。来ないかもしれない。それはわかっていて、それでもせっかく来たのだから待とうと、片づけをして自分が出てくる頃の時間が過ぎるのを待つ。あたりを見回してみては猫が来ないかをつい確認してしまう。
そして時間だけが過ぎて、完全に日が暮れると諦めがついた。帰ろう。また月曜日になれば会える。来た道を戻る。後ろから道路をひっかくような音がして、振り返ると猫がいた。駅まであと半分の距離のところで、会えた。走ってきたのか若干息が荒い気がするが、どうしてここがわかったのだろうという疑問のほうが先走った。
「どうしてわかったの?」
問いかけてもやっぱり返事はない。でも、普段は自然に降ろされている尻尾が、降られているのを見て猫も喜んでいてくれるのかと思ってしまう。残りの距離が短い分、少しゆっくり歩きながら駅へと向かった。
そして時間だけが過ぎて、完全に日が暮れると諦めがついた。帰ろう。また月曜日になれば会える。来た道を戻る。後ろから道路をひっかくような音がして、振り返ると猫がいた。駅まであと半分の距離のところで、会えた。走ってきたのか若干息が荒い気がするが、どうしてここがわかったのだろうという疑問のほうが先走った。
「どうしてわかったの?」
問いかけてもやっぱり返事はない。でも、普段は自然に降ろされている尻尾が、降られているのを見て猫も喜んでいてくれるのかと思ってしまう。残りの距離が短い分、少しゆっくり歩きながら駅へと向かった。
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