日本のママはこわーい魔女〜ママでも魔女でも恋はしたい

ママ

｢吐け｣


『すぅ…はぁ……ありさが遼くんと不倫してたのは知ってるっけ？』
その一言から始まる１ヶ月間の話。

｢知ってるわよ。それで友達やめたんだから｣
『え、そうなの！？』
｢アイツ…まぁいいや、そんで？続けて｣
『ぁい…それでまぁ離婚しようと思って遼くんに話したら…』
｢ﾁｯ、想像つくわ。｣
言葉につまる度、いつも大体を察してくれる杏
おかげであまり思い出さずに済むから助かる

｢それで自殺なわけ？｣
『…赤ちゃんがね、いたの。お腹に』
｢はぁｯｯ！？！｣
『流れちゃって…それでｯｯ海に｢アイツｯ殺してやるｯｯ｣！？あ、あんず！？』
すぐさま立ち上がり玄関に向かう杏

『ちょ、ちょっと待って杏！！』
｢ｯ離して！！｣『(誰かｯｯ)』
―ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀｯ
｢｢｢｢どうしたっ｣｣｣｣
『ちょ、杏止めてｯｯ』
止めようにもどうしたらいいか分からず
両手をバンザイして玄関を塞ぐ4人
｢ママ、どうしたの？｣
｢ママｯｯ！？！？｣
虹くんのママ呼びに怒りが飛んだ杏

それも説明するから、と
再びリビングへ引っ張る
恋人の中で1番人当たりがいいだろうという理由で
隆くんがリビングに残り
またみんな虹くんの部屋に戻っていく

｢はぁ…頭が追いつかん｣
｢改めまして、上條隆かみじょうたかしです♪｣
｢どうも…えっと、いちとのご関係は？｣
｢いち？？あー…旦那です♪｣
｢旦那！？W不倫かｯｯ｣
『なわけないでしょうがｯｯ！！』
私の隠し事出来ない性格を知りながら言うから
いつものツッコミが咄嗟に出る

懐かしい雰囲気に笑えてきて
少し空気が和らぐ

｢まぁありえないよねぇ…wさ、続きを聞かせてちょーだい｣
『まぁそこからはラノベ展開でして…』
｢…まじで言ってる？｣『まじです』
杏も転生系を読んでるので大体は察したみたいだ

｢じゃぁ旦那っていうのは…｣
『あっちの世界の。まぁまだ恋人なんだけどね』
｢…ん？他のイケメン3人は？……まさかｯ｣
『恋人、的な…？』
｢………そっち系かぁ。はっ！待って！じゃぁ…｣
『まぁ、嬉しいけど…』｢？？？(なになに？)｣
｢なぁるほどね～……ん、分かった｣
『え、いいの！？』｢？？？(なにが？)｣
｢家族もあり？｣
『ママ？あり！！』｢？？？(何の話…)｣
隆を置いて盛り上がる2人

『てかママ！会いたい！！』
｢そう言うと思って呼んでありまーす♪｣
『さすが杏♡！！』
｢あの～、何がどうなって…？｣
『あ、ごめんごめん！(皆来ていいよ～！)』
全員リビングに集まり改めて紹介する、が
―ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
『はっ』｢私出るよ｣
数分後次は玄関のチャイムが鳴る
１ヶ月…いや、1年もの間会ってなかったし
少し緊張する

｢いっちゃんｯｯ！！！｣『あ、マっ！！』
｢ほんとにｯｯ！心配したのよｯｯｯ！？ｸﾞｽｯ…う、う"っ…ひっく…い、いままでっどこに…っ｣
｢お母さん、落ち着いて｣
『ごめんなさぃ…ママ』
｢う"ぅ~~ゆるさないんだからぁぁ！！｣
私を見るなり勢いのまま
私を抱きしめ大号泣の杏ママ
いつも私を自分の娘なんだと語ってくれてたママ
こんなに泣く程心配してくれた事を知り
私はこの人の娘なんだな、と実感する

ママが大号泣の間
恋人達は再び席を外してくれてリビングに
3人残り杏にした話をママにもする