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宙の彼方のまだ見ぬ友人たちへ
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ある日
見たこともない機械が空から降ってきた。
すでにオンボロだった機械は
役割を終えて、流れ星となってほとんどが燃え尽きた。
いくつかの残骸だけが、地上の街に突き刺さる。
瓦礫の中を探れば、やたらと厳重に包まれた金属の箱が一つ。
なにせ正体不明の物体だ。
どんな危険があるかもわからない。
様々な危険を想定し、技術を駆使して遠隔から物体を解析し
細心の注意を払ってから、回収を行った。
大半の科学者達は、興味津々で箱を観察した。
彼らの好奇心は生き物としての防衛本能をたやすく越えるらしい。
レーザーのメスで、箱を切りひらく。
すると、中には金色をした円盤が入っていた。
解析を進めていくと
円盤の驚くべき正体が判明した。
それは、遥か宇宙の果てからの手紙であった。
どうやら「地球」という星に、我々と同じような知的生命体が
様々な文化を築いていたようだ。
金色の円盤の仕組みを解明してみたところ
聞いたこともない言語の数々や音楽とおぼしき音を再生できた。
彼らにとって、空は神聖なもの。
そして、宇宙は侵すことのできない領域だった。
いくら優れた技術があっても、手を伸ばすことなど考えもしなかった。
「しかし、我らは手紙を受け取った」
はるか遠くの星にいるであろう
隣人たちへと思いを馳せる。
禁忌をものともしない科学者が組み立てていた
空の彼方に向かうための理論と技術。
それを使えば、あるいは。
議論に議論を重ねて
彼らはひとつの決断を下した。
空の彼方はあまりに遠く、恐ろしく長い時を越えて
奇跡の確率で受け取った手紙に返事を出そう。
彼らが生きている間には届かないかもしれない。
まして、再度返信が来ることなど、とても期待できない。
それでも、遠い宇宙の果てにいる隣人たちと
いつか友人になれる夢を見た。
「ロマンと、笑うべきだろうか」
天を仰ぎ見れば、一閃の光が宙を貫いていく。
届くかもわからない未来に向けて
不可侵の空を越えて
希望が今、旅立った。
見たこともない機械が空から降ってきた。
すでにオンボロだった機械は
役割を終えて、流れ星となってほとんどが燃え尽きた。
いくつかの残骸だけが、地上の街に突き刺さる。
瓦礫の中を探れば、やたらと厳重に包まれた金属の箱が一つ。
なにせ正体不明の物体だ。
どんな危険があるかもわからない。
様々な危険を想定し、技術を駆使して遠隔から物体を解析し
細心の注意を払ってから、回収を行った。
大半の科学者達は、興味津々で箱を観察した。
彼らの好奇心は生き物としての防衛本能をたやすく越えるらしい。
レーザーのメスで、箱を切りひらく。
すると、中には金色をした円盤が入っていた。
解析を進めていくと
円盤の驚くべき正体が判明した。
それは、遥か宇宙の果てからの手紙であった。
どうやら「地球」という星に、我々と同じような知的生命体が
様々な文化を築いていたようだ。
金色の円盤の仕組みを解明してみたところ
聞いたこともない言語の数々や音楽とおぼしき音を再生できた。
彼らにとって、空は神聖なもの。
そして、宇宙は侵すことのできない領域だった。
いくら優れた技術があっても、手を伸ばすことなど考えもしなかった。
「しかし、我らは手紙を受け取った」
はるか遠くの星にいるであろう
隣人たちへと思いを馳せる。
禁忌をものともしない科学者が組み立てていた
空の彼方に向かうための理論と技術。
それを使えば、あるいは。
議論に議論を重ねて
彼らはひとつの決断を下した。
空の彼方はあまりに遠く、恐ろしく長い時を越えて
奇跡の確率で受け取った手紙に返事を出そう。
彼らが生きている間には届かないかもしれない。
まして、再度返信が来ることなど、とても期待できない。
それでも、遠い宇宙の果てにいる隣人たちと
いつか友人になれる夢を見た。
「ロマンと、笑うべきだろうか」
天を仰ぎ見れば、一閃の光が宙を貫いていく。
届くかもわからない未来に向けて
不可侵の空を越えて
希望が今、旅立った。
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