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今日の9時頃秋人さんに[お誕生日おめでとう。今日ははやく帰って来れる?]とLINEを残していたが20時になっても未だに既読がつくことは無かった。
21時
[今日も遅くなる?]
22時
[忙しい?これみたら連絡ください。]
23時
[不在着信]
未だに既読もつかないし折り返しの電話もない。
もうすぐ今日が終わってしまう。椅子に座り冷めた料理達を見つめる。
……本当に嫌われちゃったのかな。もう帰ってこないかもしれない。今他の誰かに祝って貰っているのかもしれない。
俺の事もう要らないのかも。
……あの時ちゃんと連絡していればこんなことにはならなかったのに。
本当は今日一緒に遊園地に行って沢山遊んで笑って少し贅沢な料理を食べて家に帰ったら沢山イチャイチャできたのかな。
初めて好きな人の誕生日を祝うんだ。最高の思い出にしたかったのに。俺が壊してしまった。俺のせい、自業自得だ。
ネガティブな思考に陥り、悶々としているといつの間にか0時を回っていた。
ハッとして携帯を見てみるが秋人から一切連絡は来なかった。
玖音はそれでも秋人を待ち続けた。
時計のチクタクという音がやけに大きく聞こえる。
冷めてしまった料理たちは作った時の美味しそうな匂いはもうしていなかった。
1時
「不在着信」
2時
「不在着信」
3時
「……!」
1時間おきにかけていた電話が繋がることなく3時になる。諦め半分で電話をかけるといつもとは違い電話をとる音が聞こえた。
「もしもし!あ、あき…」
「こんな夜中に誰ですかぁ?」
「え…」
聞こえてきたのは秋人の声ではなく酔っているような女性の声だった。一瞬で絶望に叩き落とされる。
……なんで、女の人が………?
「……あ、え、えと、、秋人さんのど、同居人の氷室と言います…‥あ、秋人さんはいますか…?」
「あ~同居人の方ですか!秋人はぁ今私の隣で寝てますよ?今日はもう帰らないと思いますよぉ」
ふふっと楽しそうな女性の声に心臓がバクバクと鳴り目の前が真っ暗になっていく。
嘘だと思いたかったが秋人さんの「、、……?誰…?」というかすれた声が聞こえて現実を突きつけられる。
どんどん声が遠のいていく。
目の前が暗くなって何も見えない。息ができない。
電話を切ることもせずその場にスマホを置いたままフラフラとベランダに向かった。
小さい頃から嫌なことがあると夜風に当たりたくなってよくべランダでうづくまっていた。
誰にも相談できず塞ぎ込んでしまう性格の玖音はそうやって苦しいことからどうにか逃げていた。
大きくなってからもその癖は治らず今も嫌なことや悲しいことがあればベランダでうづくまっている。
秋人と同棲を始めてからは秋人に風邪をひくよ、と途中で抱きしめられ、部屋の中で寝れるまで頭を撫でながら体を優しくぽんぽん、と子供をねかしつけるように叩いてくれていた。
塞ぎこまないで相談してくれてもいいのに、と優しく声をかけてくれた。何も言えなくても分かっているように頭を撫でてくれた。
秋人の温もりと優しさにいつも助けられていた。
今はそうしてくれる大好きな人はいない。
自分の行いで手放してしまった。
嫌だ秋人さんに嫌われたくないこれからも一緒にいたい。
………でももう秋人さんは俺のことなんかもう好きじゃないのかも。
「ごめ、んなさい、きら、わ、れたく、ない」
夜に1人気持ちが沈んだまま後悔に頭が埋め尽くされてとても悲しくなってしまった。とめどなく溢れてくる涙は止まらない。女性と一緒にいることが分かり今まで我慢していた分の涙が全て流れているようだった。
「あ、いたい、よ…、」
涙を流しながら秋人に募らせた思いを1つづつ口に出す。
こんなことになるならあの日、真っ直ぐ家に帰ればよかった。
別れよう、と言われたらどうしよう。好きな人が出来た、と女の人を連れてきたらどうすれば。
俺はきっと悲しくて辛くて壊れてしまう。死んでしまうかもしれない。
別れを受け入れるしかないと思っていたけどいざ現実になってしまうと受け入れるのは難しそうだ。
胸が痛くて締め付けられる助けて欲しい誰か助けて。
それでも今は頭を撫でてくれる手も抱きしめてくれる身体も優しく声をかけてくれる人はいない。
玖音はただ一人泣くことしかできなかった。
21時
[今日も遅くなる?]
22時
[忙しい?これみたら連絡ください。]
23時
[不在着信]
未だに既読もつかないし折り返しの電話もない。
もうすぐ今日が終わってしまう。椅子に座り冷めた料理達を見つめる。
……本当に嫌われちゃったのかな。もう帰ってこないかもしれない。今他の誰かに祝って貰っているのかもしれない。
俺の事もう要らないのかも。
……あの時ちゃんと連絡していればこんなことにはならなかったのに。
本当は今日一緒に遊園地に行って沢山遊んで笑って少し贅沢な料理を食べて家に帰ったら沢山イチャイチャできたのかな。
初めて好きな人の誕生日を祝うんだ。最高の思い出にしたかったのに。俺が壊してしまった。俺のせい、自業自得だ。
ネガティブな思考に陥り、悶々としているといつの間にか0時を回っていた。
ハッとして携帯を見てみるが秋人から一切連絡は来なかった。
玖音はそれでも秋人を待ち続けた。
時計のチクタクという音がやけに大きく聞こえる。
冷めてしまった料理たちは作った時の美味しそうな匂いはもうしていなかった。
1時
「不在着信」
2時
「不在着信」
3時
「……!」
1時間おきにかけていた電話が繋がることなく3時になる。諦め半分で電話をかけるといつもとは違い電話をとる音が聞こえた。
「もしもし!あ、あき…」
「こんな夜中に誰ですかぁ?」
「え…」
聞こえてきたのは秋人の声ではなく酔っているような女性の声だった。一瞬で絶望に叩き落とされる。
……なんで、女の人が………?
「……あ、え、えと、、秋人さんのど、同居人の氷室と言います…‥あ、秋人さんはいますか…?」
「あ~同居人の方ですか!秋人はぁ今私の隣で寝てますよ?今日はもう帰らないと思いますよぉ」
ふふっと楽しそうな女性の声に心臓がバクバクと鳴り目の前が真っ暗になっていく。
嘘だと思いたかったが秋人さんの「、、……?誰…?」というかすれた声が聞こえて現実を突きつけられる。
どんどん声が遠のいていく。
目の前が暗くなって何も見えない。息ができない。
電話を切ることもせずその場にスマホを置いたままフラフラとベランダに向かった。
小さい頃から嫌なことがあると夜風に当たりたくなってよくべランダでうづくまっていた。
誰にも相談できず塞ぎ込んでしまう性格の玖音はそうやって苦しいことからどうにか逃げていた。
大きくなってからもその癖は治らず今も嫌なことや悲しいことがあればベランダでうづくまっている。
秋人と同棲を始めてからは秋人に風邪をひくよ、と途中で抱きしめられ、部屋の中で寝れるまで頭を撫でながら体を優しくぽんぽん、と子供をねかしつけるように叩いてくれていた。
塞ぎこまないで相談してくれてもいいのに、と優しく声をかけてくれた。何も言えなくても分かっているように頭を撫でてくれた。
秋人の温もりと優しさにいつも助けられていた。
今はそうしてくれる大好きな人はいない。
自分の行いで手放してしまった。
嫌だ秋人さんに嫌われたくないこれからも一緒にいたい。
………でももう秋人さんは俺のことなんかもう好きじゃないのかも。
「ごめ、んなさい、きら、わ、れたく、ない」
夜に1人気持ちが沈んだまま後悔に頭が埋め尽くされてとても悲しくなってしまった。とめどなく溢れてくる涙は止まらない。女性と一緒にいることが分かり今まで我慢していた分の涙が全て流れているようだった。
「あ、いたい、よ…、」
涙を流しながら秋人に募らせた思いを1つづつ口に出す。
こんなことになるならあの日、真っ直ぐ家に帰ればよかった。
別れよう、と言われたらどうしよう。好きな人が出来た、と女の人を連れてきたらどうすれば。
俺はきっと悲しくて辛くて壊れてしまう。死んでしまうかもしれない。
別れを受け入れるしかないと思っていたけどいざ現実になってしまうと受け入れるのは難しそうだ。
胸が痛くて締め付けられる助けて欲しい誰か助けて。
それでも今は頭を撫でてくれる手も抱きしめてくれる身体も優しく声をかけてくれる人はいない。
玖音はただ一人泣くことしかできなかった。
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