俺だけを見て

まさお

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プロローグ2

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連れてこられた場所高くそびえ立ったビルの地下だった。
狭い部屋の中へと入れられ、手錠をかけられた。床や手錠の冷たさが俺の体を芯から冷やしていく。

「…逃げようなどと考えるな。無駄だからな。」

俺を捕らえた男はそう言うとどこかへと電話をかけていた。
そいつの他に4人が、ドア付近に立っている。
こんな状態で逃げられないことなんて馬鹿な俺でも分かる。
それに今更逃げたところで帰る場所もないのだから、その必要が無かった。

それから間もなくしてまた1人大人が増えた。

その男は俺の前にしゃがみ、「お前の名前は?」
と聞いてくる。

……名前なんて知らない、と首を振るが信じてもらえる訳もなく前髪を強く引っ張られ強制的に上を向かせられる。

「…名前がわからないのか?喋れないのか?その口は飾りか?」

ー知らない。わからない。
と口をパクパクと動かしても声は出ない。
いつからか、声を出すことが出来なくなったのだ。
ただ、わからないと首を振る。
掴まれた髪がブチブチと抜ける音がする。

「…会長、嘘をついているようには…」

「…あぁ、本当のようだな。お前、声は」

ー出せない。

信じて貰えたのか、髪を掴む手は離される。
今度は自分の意思でその男を見て、口を動かす。

「そうか。では、字は?」

ー書けない、ごめんなさい。

「謝るな。お前は悪くない。だが、盗みは良くないな。」

ーはい。ごめんなさい…。

盗みは良くないことだとわかっていてもお腹がすいてもお金がなかった。
言い訳しか出てこない俺は謝ることしか出来なかった。
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