竜探しのお話

４章．竜の研究者

３．

ドレロは奥にある研究所の一室にサントたちを連れて行った。その途中、一人の若者とすれ違った。とても偉そうな雰囲気の人物で、サントたちの姿を見ると、どこか見透かしたような冷たい視線を送ってきた。ドレロがその視線に気づき、慌ててその若者に事情を説明すると、冷たい視線のまま何も言わずにその場を過ぎ去っていった。

ドレロに誰なのか尋ねると、ここの所長のリアリだという。若い所長と言うのは聞いていたが、そこまで若いとは思っていなかった。副所長であるドレロよりは１０歳以上若く見えた。

天才と言う話は聞いていたが、いかにも気難しいという雰囲気で、サントたちに良い印象を与えなかった。ドレロは弁明するように、リアリの非礼を詫びていたが、ドレロが謝る必要はないのではとサントは思っていた。能力に関してはサントたちには分からなかったが、確かにとても分かりやすい天才という雰囲気の若者だったが、あの態度じゃ、ドレロは苦労しているんだろうなとも思った。

ドレロが案内した一室にいたのは、若い女性の研究員だった。ドレロはその研究員に話をして、サントたちを噂話を集めているという人物のところまで案内するように告げた。

その研究員はホウミ・シャレンと言う名前で、ドレロの指示に頷くと、すぐに準備して案内してくれることになった。ドレロは後は彼女に任せますというと言い研究室を後にした。突然の事に嫌な顔一つせず、対応してくれたホウミに対して、少し申し訳ないと感じたサントたちだったが、不慣れな町では案内してもらえるのはありがたいとも思った。

ラテアは研究所で研究している事に興味があったが、他のメンバーがあまり興味を示さなかったので、今回は諦める事にした。機会があれば、一人で来た方がいろいろと話を聞けるだろうとも思った。いつでも、好きな時に尋ねてくださいと、別れ際、ドレロが言っていたので、社交辞令かもしれないが、その言葉に甘えようと思っていた。

ホウミが案内してくれたのは、バナ・ララソと言う研究者のところだった。リアリ魔導研究所が町の中心部にあったのに対して、バナの研究所兼自宅は町の外れにあった。結構な距離が離れていて、しかも、分かりやすく古い家だった。本当にこんなところで研究を行っているのかと疑いたくなってしまう。ホウミの案内が無ければ、すんなりとたどり着けたか分からないし、ここが本当に研究所かと戸惑ってしまったかもしれないと思った。