86 / 155
4章.竜の研究者
46.
しおりを挟む
「おいおいおい、不正を正したいと言ってきたのは、ホウミお前だろ?私はどっちでも良かったんだ」
リアリは意地悪そうに言う。
「そ、そうですけど、こんな事をするなんて思わなかったんです」
ホウミはどこか苦しそうに言う。
「こういう悪知恵に関しては、ドレロの方が上だからな、全部明るみにするには、これぐらいやらないとな」
本当にそうだろうか、若干、楽しんでいるような言い方をしているリアリにサントは思った。いずれにしろ、詳しい事は良く分からなかったが、ドレロの不正を追及するために、リアリとリラが仕組んだ事のようだ。話の流れが少しわかった。
「さて、ドレロ。切り札は無くなったが、どうする?それとも、まだ、とっておきのものがあるのか?」
リアリは更に意地悪そうに顔を歪める。切り札を無くし、青ざめた顔のドレロは、その場に立ち尽くしていた。
「…、そうですか、全てはあなたの掌で踊らされたに過ぎないという事ですか…。もう、何もかもおしまいですか…。だったら、お前だけでも道連れにしてやる」
そう言うと、手に持っていた黒い石を飲み込んだ。
「…、はぁはぁはぁ。私自身の体で、実験の結果を見せてやる。お前だけは絶対に許さない…」
ドレロの体から黒い煙が出てくると、その体が変質していった。
「分かるぞ、力が溢れてくる。そうだ、最初から私が試せばよかったんだ。やはり、私は選ばれた人間なん…」
あふれ出る力を感じながらドレロが叫んだが、叫び終わる前に
「ぎゃぁ」
と言う悲鳴が響いた。リアリが全てを聞き終える前に一撃を加えていた。
「ん。やっぱり、無能だな」
いつの間にか、リアリは右腕の怪我は回復させていたようで、何の不自由さも感じないで攻撃を加えていく。
「で、誰が選ばれた人間なんだって?」
ドカッと、更に重たい一撃を加えて、リアリが尋ねる。
「お、おのれ…」
ドレロの体は大きく醜く変化していったが、リアリは気にしないように攻撃を加えていく。ドレロはその攻撃を避ける間も無かった。一気に倒されて、のたうち回っている。
「えっ…」
一方的な戦いにサントたちは動く事が出来なかった。今、どういう展開になっているのか良く分からなくなっていた。確か、ドレロが悪だくみをしていたはずだ。しかし、リアリとホウミによって、その悪だくみが阻止された。それでドレロが最後の手として、自らの体を化け物にしたところまでは何となく分かった。ただ、その後はなぜかリアリが一方的に攻撃していて、むしろ、ドレロの方が被害者のように見えてしまうくらいだった。
「ふぅ」
息を一つ吐いて、苦しむドレロを眺めているリアリ。止めをさすかどうか悩んでいるようにも見えた。
リアリは意地悪そうに言う。
「そ、そうですけど、こんな事をするなんて思わなかったんです」
ホウミはどこか苦しそうに言う。
「こういう悪知恵に関しては、ドレロの方が上だからな、全部明るみにするには、これぐらいやらないとな」
本当にそうだろうか、若干、楽しんでいるような言い方をしているリアリにサントは思った。いずれにしろ、詳しい事は良く分からなかったが、ドレロの不正を追及するために、リアリとリラが仕組んだ事のようだ。話の流れが少しわかった。
「さて、ドレロ。切り札は無くなったが、どうする?それとも、まだ、とっておきのものがあるのか?」
リアリは更に意地悪そうに顔を歪める。切り札を無くし、青ざめた顔のドレロは、その場に立ち尽くしていた。
「…、そうですか、全てはあなたの掌で踊らされたに過ぎないという事ですか…。もう、何もかもおしまいですか…。だったら、お前だけでも道連れにしてやる」
そう言うと、手に持っていた黒い石を飲み込んだ。
「…、はぁはぁはぁ。私自身の体で、実験の結果を見せてやる。お前だけは絶対に許さない…」
ドレロの体から黒い煙が出てくると、その体が変質していった。
「分かるぞ、力が溢れてくる。そうだ、最初から私が試せばよかったんだ。やはり、私は選ばれた人間なん…」
あふれ出る力を感じながらドレロが叫んだが、叫び終わる前に
「ぎゃぁ」
と言う悲鳴が響いた。リアリが全てを聞き終える前に一撃を加えていた。
「ん。やっぱり、無能だな」
いつの間にか、リアリは右腕の怪我は回復させていたようで、何の不自由さも感じないで攻撃を加えていく。
「で、誰が選ばれた人間なんだって?」
ドカッと、更に重たい一撃を加えて、リアリが尋ねる。
「お、おのれ…」
ドレロの体は大きく醜く変化していったが、リアリは気にしないように攻撃を加えていく。ドレロはその攻撃を避ける間も無かった。一気に倒されて、のたうち回っている。
「えっ…」
一方的な戦いにサントたちは動く事が出来なかった。今、どういう展開になっているのか良く分からなくなっていた。確か、ドレロが悪だくみをしていたはずだ。しかし、リアリとホウミによって、その悪だくみが阻止された。それでドレロが最後の手として、自らの体を化け物にしたところまでは何となく分かった。ただ、その後はなぜかリアリが一方的に攻撃していて、むしろ、ドレロの方が被害者のように見えてしまうくらいだった。
「ふぅ」
息を一つ吐いて、苦しむドレロを眺めているリアリ。止めをさすかどうか悩んでいるようにも見えた。
0
あなたにおすすめの小説
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる