98 / 155
5章.盗賊見習いと竜見習い
5.
しおりを挟む
村に着いたサントたちは積極的に情報を集める事にした。サントたちのように、アリアドットを目指す途中にこの村を訪れる者もいるらしく、盗賊の情報などは比較的簡単に得られた。
村人にとっても、盗賊の動向は気になる物であるらしく、また、その情報でちょっとした手間賃を稼ごうと考えている者もいるようであった。そんな一人、調子よく情報を喋ってくれた村人に酒を奢ると、ここだけの話として内緒の話をしてくれた。
その内緒の話によると、アリアドットを襲撃しようとしている盗賊団がいるのだという。その盗賊団の詳しい事までは分からないが、新参者の盗賊団のようである。その盗賊団とアリアドットを守ろうとしている盗賊団の争いが水面下で行われているらしい。その二つの盗賊団の争いと言うのが、周囲に影響してパミロア山での大規模な盗賊の活動は控えめになっているそうだ。
アリアドットに着いてからどうなるのかと言う点で、不安に思う部分はあったが、ひとまず、アリアドットへたどり着くまでの危険性が薄れたと感じたサントやラテアはそれは朗報だと思った。でも、ファムは少し複雑な表情をした。良くも悪くもちゃんとした組織となっている盗賊であれば、ある程度の決まりによって行動する事が多い。例えば、通行料を払えば、襲撃はされない、安全は守られるという暗黙の了解があったりする。理不尽に感じるところもあるが、それによって安全が確保されると考えれば、無用な争いを避けるための費用と割り切れば良い。
ファムはそう言った情報を得られることを期待していた。でも、場所が混乱しているとなると、そういう秩序が無くなっている可能性があった。その場合、小規模な盗賊などが襲ってくる事も考えられる。成り上がるために、危険を恐れなかったり、若さで粋がっていたりすると相手をするのが面倒になるだけでなく、想像以上の危険に巻き込まれる事もある。
サントはその説明を受けて危険性の回避と言う意味では理解する必要がある気がしたが、理不尽な所に納得できない気もした。旅人を襲う盗賊は悪で、それに加担するような事はするべきではないと考えていた。それは正しいとファムは言ったが、それだけで全て上手くいかないのも現実だとも言っていた。いずれにしろ、ここで引き返すという事は頭の片隅にも無かったサントたちは、この麓の村で無駄に時間をつぶす事はせずに、アリアドットに向かうためパミロア山に翌日から入る事を決めた。
村人にとっても、盗賊の動向は気になる物であるらしく、また、その情報でちょっとした手間賃を稼ごうと考えている者もいるようであった。そんな一人、調子よく情報を喋ってくれた村人に酒を奢ると、ここだけの話として内緒の話をしてくれた。
その内緒の話によると、アリアドットを襲撃しようとしている盗賊団がいるのだという。その盗賊団の詳しい事までは分からないが、新参者の盗賊団のようである。その盗賊団とアリアドットを守ろうとしている盗賊団の争いが水面下で行われているらしい。その二つの盗賊団の争いと言うのが、周囲に影響してパミロア山での大規模な盗賊の活動は控えめになっているそうだ。
アリアドットに着いてからどうなるのかと言う点で、不安に思う部分はあったが、ひとまず、アリアドットへたどり着くまでの危険性が薄れたと感じたサントやラテアはそれは朗報だと思った。でも、ファムは少し複雑な表情をした。良くも悪くもちゃんとした組織となっている盗賊であれば、ある程度の決まりによって行動する事が多い。例えば、通行料を払えば、襲撃はされない、安全は守られるという暗黙の了解があったりする。理不尽に感じるところもあるが、それによって安全が確保されると考えれば、無用な争いを避けるための費用と割り切れば良い。
ファムはそう言った情報を得られることを期待していた。でも、場所が混乱しているとなると、そういう秩序が無くなっている可能性があった。その場合、小規模な盗賊などが襲ってくる事も考えられる。成り上がるために、危険を恐れなかったり、若さで粋がっていたりすると相手をするのが面倒になるだけでなく、想像以上の危険に巻き込まれる事もある。
サントはその説明を受けて危険性の回避と言う意味では理解する必要がある気がしたが、理不尽な所に納得できない気もした。旅人を襲う盗賊は悪で、それに加担するような事はするべきではないと考えていた。それは正しいとファムは言ったが、それだけで全て上手くいかないのも現実だとも言っていた。いずれにしろ、ここで引き返すという事は頭の片隅にも無かったサントたちは、この麓の村で無駄に時間をつぶす事はせずに、アリアドットに向かうためパミロア山に翌日から入る事を決めた。
0
あなたにおすすめの小説
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜
黒城白爵
ファンタジー
異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。
魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。
そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。
自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。
後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。
そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。
自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる