竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

10.

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夕方になりサントたちが戻ってきた。すぐにラテアはドンゴに言われた事を相談した。その話をして、苦笑いを浮かべたのはサントだった。そして、サントたちもあった事を話した。

「盗賊団?」

思わずラテアは聞き返してしまった。

「凝りもせず」

そうサントは呟く。

「でも、みんなの役に立つんですよ」

リラはどこか楽し気に言った。

図らずも、ドンゴに言われたコトの見守りと言う役割は果たせそうだった。

「じゃあ」

「わざわざ、断る理由もないね、それに、この街の事を探るには私たちだけじゃ無理だ、それとなく探ってみたけど、実感て分かったよ」

ファムが言うには、話を聞こうとすると割と簡単にいろいろと答えてくれる。一見すると簡単に情報を集められそうだと思えた。しかし、街の外の情報については何でも簡単に話してくれるのだが、街の内部の情報についてはそう簡単では無かった。急に口を閉ざすというような怪しい感じでは無く、話はしてくれるのだが、その中身は、ありきたりで平凡で、表側の話題しか出て来なかった。

それが不自然では無く自然だったのが厄介な所だった。話だけを単純に信じれば、裏表の全くないと思える街であり、それは、ファムが感じていた不自然な街と一致していた。おそらく、それがこの街では当たり前なのだろう。サントはコトに案内された店の裏側を思い出した。ああいうのが当たり前で、それは話す事ではないというのが常識と言う街なんだ。ファムが言う事が理解できた。

結局、ドンゴの提案に乗るという話はすんなりと決まった。ただし、ドンゴにどういう協力を求めるのかと言うのは、難問だった。目的を明らかにして、鈍色鼠の事を聞いても大丈夫なのだろうか。それは危険な気がした。かと言って、何も要求しないというのも疑われる気がした。善意で協力したいと言っても、それが仮に本当でも信じないだろうと思った。

最終的に決まったのが、鈍色鼠について詳しく知りたいという事だった。リラが嘘をつくのは良くないと言ったことや、あまり遠回りしても意味が無いというファムの言葉が決め手となった。ただし、はっきりと目的までは告げない事にした。こちらのすべてを明らかにしたくないのと同時に、そのぐらいの曖昧さを残した方が向こうも信じやすいだろうというラテアの意見を参考にして決めた。珍しくリアリも賛同を示していた。

話が決まれば、その後の事はすぐに決まった。ドンゴは条件を聞き、詳しい事までは探る事はしなかった。恐らく必要となれば、自分で探ろうと考えているだろうとサントは思った。コトには内緒でと言う条件も付け加えられた。それはお互いに納得した事だった。

これでようやく調査を始める事が出来るサントはそう思った。同時に改めて緊張感が高まっていくのを感じた。
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