竜探しのお話

hachijam

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6章.隠された都市

25.

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「どこが?」

ファムが聞いた。

「うーん。なんて言ったら良いのか分からないんですが…。何となく…」

だんだんと自信なさげな声になっていく。何かあったろうか、その辺りを掃除していた時の事を思い出そうとする。特に印象は無い。そもそも、何か明らかに変であればその時に気づいていただろう。こうやって、全体を見なければ、怪しいと思わなかったはずだ。だったら、リラの気のせいではないかと思った。自信なさげな態度を見ると更にそう思った。

「いずれにしろ、私とサントで一度様子を見てくる。それからどうしようか決めよう」

リラの発言が気にながらもファムが言った。リラはその後もしばらく地図を見ながら考えていたが、自分が感じた物が何なのかは良く分かっていなかった。



一方、ラテアはその日も遅くまで働いていた。襲撃による混乱で一時期は大変だったが、ヌラはそんな事は気にならないように働いていた。表面上では、変化が見られなかったが、内部ではいくつか変化があったようだ。ラテアが働き始めた日に、襲撃があったために、その前の状態を詳しくは知らなかったが、聞いた話としては、人員の配置がいくつか変わったようだ。はっきりした事情は分からなかったが、襲撃に備えてというのが、ラテアが耳にした話だった。それにより、ヌラを手伝う人の数が減り、そのため、ラテアに掛かる負担が増え、残業が増えているという事のようだった。

「ふむ」

いつもと同じようにヌラは難しい顔をしていた。だんだんとラテアは作業に慣れて来ていた。そうすると自分が行っている作業がどういうものなのかが分かってきた。それと同時にひとつの疑問も感じるようになってきた。作っている部品のひとつひとつの大きさが、大きいのだ。それだけの部品を組み合わせたゴーレムとなると、かなりの大きさになってしまう。そんなのを作る事が出来るのか疑問に思ったのだ。

単純に大きさだけであれば可能にも思える。普通の所では無理だろう。それだけの設備が整っていないと不可能だ。しかし、ここではそれだけの設備が整っていた。襲撃によって、それらの設備を壊されたが、すぐに次の物が準備されたほどである。それが、当たり前のように行われているところにここの凄さがあった。本来の鈍色鼠の姿がここにあるというのは間違いないと思った。

だとすると、ドレロの研究と結びつく物があるのかと、ふと思った。一瞬、何かが思い浮かびそうだったが、ぼさっとするなと言うヌラの声で、その事を忘れてしまう。何か思いついたような気もしたが、ラテアはすぐに作業に戻った。
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