異世界最強勇者の逃亡生活 〜旅する仲間は俺の弟子〜

かなちょろ

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第11話【弟子の苦悩】

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 港町ダーナーではサハギンキングと言う魔物に困っていた。 そのサハギンキングを倒した俺は港町を満喫しながら2人の修行を続けていたが、2人の様子がおかしい。
 そんなある夜、2人が話しをしているのを聞いてしまった。

「はぁ~……今日もダメだったよ……」
「兄さん、私もよ……」
「本当に僕達、師匠のようになれるんだろうか……?」
「……無理よね……」
「「はぁ~……」」

 ふむ……どうやら、サハギンキングとの戦いで見せた俺の実力と自分達の実力を重ねてしまっているって感じだな。
 さて……どうしたもんか……。

「2人に話しがある」
「師匠なんでしょうか?」
「はい……」

 覇気のない返事だ。

「そろそろここで2週間が経つ。 少し予定より早いが2人とも海の良さや怖さもわかっただろう。 新しい町に行こうと思うがどうだ?」
「新しい町ですか?」
「山の向こうの【エイダ】の町でしょうか?」
「いや、ここをさらに北に向かい、運河を越えた先に【ミネストルーネ】と言う町があるらしい。 少し遠いがどうだ?」
「先生、そこになにかあるんですか?」
「ふむ、ミネストルーネは隣の国の町だ。 新しい町に行ってみてもいいんじゃないか?」
「わかりました」

 またしばらく旅が続く。
 今回の旅は考えがあった。

「今回は2人に旅の準備を全て任せる」
「準備を全て……ですか?」
「そうだ。 そろそろ旅にも慣れて来ただろう。 だから今回の準備は2人に任せる。 必要な物は言ってくれれば金は出す。 ただし、俺の空間魔法は使わないからな、良く考えて準備してみてくれ。 3日後に出発だ」
「わかりました!」
「やってみます!」

 この夜、2人は話し合いを始め必要な物を考えているようだ。
 どうなるかな……?

「まず必要な物は食料と水だよな」
「そうね、でも私達には先生のような空間収納は無いからミネストルーネまでの丁度良い分を用意しなきゃ」
「ミネストルーネまではどのくらいかかるんだ?」
「明日調べてみましょ」

 2人とも頑張ってはいるが、早く寝ろよと伝えて俺は1人夜の町にくりだした。
 波の音が心地いい。
 まさか異世界で弟子が出来るとは……わからないものだ……。
 でもこんな穏やかな旅なら悪く無い。
 俺は星を見ながら酒場に入って行った。

 翌朝、早くから2人は調べ物や買い物に町を走り回っていた。
 一応金は少し渡してある。
 町の外に出なければこの町の中なら安全。
 俺の連れと言うのも知れ渡っているから、変な奴も絡んできたりはしないし、むしろ2人に優しく接してくれているしこれなら安心だ。
 夜には帰ると2人に伝えて久しぶりの1人時間を満喫する予定。

「さて、ちょっと行ってみるか……」

 俺は本来向かうはずだったエイダの町に転移を繰り返して向かった。
 魔法陣を展開しながら転移を繰り返し、町から少し離れた場所に到着する。
 いきなり町の中に現れたら驚かれてしまうしな。

「しかし……なかなか立派な城壁だ」

 この国【マールデ】を守護するかなめ的な役割を持つ町らしく、城壁は頑丈に出来て町を囲っている。
 出入りする人は冒険者が多く、ギルドも結構大きいようだ。
 町の治安も他より良く商人も多い。
 ただ兵士が多く少し物物しい。
 ま、せっかく来たんだ。 2人にお土産でも買って行ってやるか。

 エイダの町に入るには国が発行している身分証のような物が必要だ。
 もちろん俺はそんな物持っていない……が、ちゃんと偽造の入国書を持っている。 なぜ持っているか? それはこのマーデルに来た時に裏の人に作ってもらったからだ。
 楽々町に入ると……そこら中に指名手配書が貼られていた……。

【この者 ガルフの町にて領主を殺害後、金品を奪った極悪人】

 似顔絵と共にこう書かれていた。
 多分俺のことだろうけど……似てないよな……。
 描かれている似顔絵は、目が吊り上がって髪はモジャモジャ、頬に傷があったりする……。
 俺こんなか?
 自分の似顔絵に少しショックを受けながら、町を散策していると美味しそうな串焼き屋を見つけ1本購入。

「美味い!」
「お、そうかい! 嬉しいねえ、もう1本どうだい?」

 せっかくだしお土産にでもするか。

「もう4本……いや6本たのむ」
「あいよ!」

 屋台のオヤジは嬉しそうに焼き始めた。
 ついでだから聞いてみるか。

「この町には初めて来たんですが、随分物物しいですね」
「前はこんなに物物しくは無かったんだがよ、町のあちこちに貼ってある手配書を見たかい? なんでも極悪な奴がこの町に来るかも知れないって話しでね……」

 屋台のオヤジは声を小さくして話し始めた。

「噂では裏ギルドの連中まで出て来てるって話さ」
「裏ギルド?」

 初めて聞くな。

「なんだい、裏ギルドの事知らないのか? ギルド職員の中でも特別に強い奴らって話さ」
「そんな人達がいるんですね」
「あくまで噂だけどな」

 裏ギルド……裏切るど? ……ダジャレか?
 自分で考えて少し寒くなった所で、あまりいない方が良さそうだと串焼きを買ってバーレーの町へ戻った。

「師匠!」
「先生!」
「2人とも戻ってたか、これお土産な」

 2人に串肉を渡し、旅の準備は順調か聞いてみた。

「もちろん順調です!」
「僕達に任せてください!」
「ふむ……よろしく頼むぞ」

 任された事で少しは自信がついたかな?

「師匠はどこに行ってたんですか?」
「俺はエイダの町にちょっとな……」
「エイダの町に? この時間で行って帰って来たんですか?」
「そうだよ。 この串焼きはエイダの町で売ってたからお土産に買って来たんだ」
「はぁ~……やっぱ師匠にはかなわないや……」
「そうね……先生に追いつこうなんて無茶だったわ……」
「そうだよな……僕達は僕達のペースで頑張ろう」

 2人ともなんか吹っ切れたようだ。

「準備が出来たようなら明日出発しよう」
「「はい!」」

 2人は寝る前に鞄やリュックの中身を確認して準備忘れが無いか確認をしていた。
 用意周到なのはいい事だ……旅は任せられそうだな。
 翌朝、早速バーレーの町を後にして旅に出た。
 途中、この辺りのゴブリンが巣にしている森の中にある洞窟へ寄って2人の修練の成果を見よう。
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