異世界最強勇者の逃亡生活 〜旅する仲間は俺の弟子〜

かなちょろ

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第20話【逃亡の理由】

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 召喚された国が魔族の侵攻で火の海となり、滅ぶ姿を見た俺はひと月かけて隣の国へと移動していた。
 隣の国【ザマンサ】は魔物に対抗するために兵士を募集しており町中に溢れている。
 もちろん冒険者ギルドも魔物に対抗するために募集をかけているようだ。
 俺は冒険者でもして生計を立てようとしていたが、冒険者ギルドには俺の顔に似ているような似ていないような似顔絵が貼られており、指名手配として賞金もかけられていた……。

「……なんでバレたんだ?」

 もしかして生き残った奴が俺が国を滅ぼしたとか報告でもしたんだろう……。
 ギルドに入るのは無理だな……とは言え、生きて行くためには金は必要だ。

「そうだ! 宝物庫に行ってみるか……」

 転移ですでにボロボロに滅んでいる城に戻ると、宝物庫を探した。

「ここか?」

 扉を開けるとすでに財宝は無くなっていた。

「なんだ、盗賊でも入ったか?」

 諦めかけたその時、サーチで確認するともう一つ部屋がある事に気がついた。
 転移してみるとそこには凄い金貨の山があり、黄金や宝石がわんさかあった。
 ここはどうやら隠し宝物庫のようだ。
 俺はこれを稼ぐために使われていたって事か……。
 ここの財宝を全ていただき、旅に出ることにした……。

「……ってわけさ……それから逃亡者として旅をしている」
「「…………」」

 3人はダンマリだ……。

「もしかして幻滅したか? 俺が罪のない町の人や城の人も見殺しにしたことを……もしそうならここで別れた方がいい……」
「いえ! そんなことありません!」
「師匠がそんな道具のように扱われていたなんて……」
「国を建て直すには上の者をどうにかしないといけませんが、国そのものが腐っていたら仕方ないことです」
「……そうか……それじゃまだ弟子って事でいいのか?」
「もちろんです! 私は先生の弟子です!」
「僕だって師匠の1番弟子です!」
「私もマシオ殿について行きます」
「わかった、これからもよろしくな」
「「はい!」」

 どうやら俺の過去を聞いても幻滅はしなかったようで皆んな弟子として残るらしい。

「それじゃ、ミネストルーネに向かう前に俺の力をもう少し見せておく」

 3人以外誰もいない山賊の砦で3本の魔剣の能力を見せた。

「この内の1本が城で貰った物だ。 そして残りの2本蛇腹の剣、魔力を放出する剣はまた別に貰った物になる」
「貰った? こんな凄い魔剣をどこで……?」

 ライラは出所を気にしているようだが秘密なのだ。

「こめん、それは今は言えない。 代わりに他のスキルも教えておく。魔法は何度か見せているからわかると思うが、回復の魔法は火、水、風、土の4大魔法とは別スキルになっている。 この回復は傷を癒すだけでは無く、毒なんかも消す事が出来るが、自分には十分の一程度しか発揮しない……痛み止め程度だな。俺にはリアンの回復の方が効くはずだ。 それと魔力圧縮スキルだが、これは4大魔法を圧縮出来る。 1番使うのは火の魔法を圧縮して放つ魔法だな」
「それは僕にも出来るんでしょうか?」
「わからない……ディーンは俺と同じく火魔法が得意だけど、別の方向で考えた方がいいだろうな。 自分だけの技を身につけるんだ」
「はい! ……自分だけの技……」
「他に聞きたい事はあるか?」
「はい! 先生!」

 リアンが勢いよく手を上げる。

「先生の話にあった白い鎧はどうなったんですか?」
「ああ、あれは発現しなくなった……あの鎧は勇者の鎧、俺が勇者として相応しく無くなったからだろうな」
「先生は私達の勇者様です!」
「そうは言っても鎧の方はそう思っていないんだろう……だから代わりの鎧がある」
「代わりの鎧ですか?」
「今まで身につける必要も無かったからな、ふむ、皆んなに見せるのはこれが初だな」

 俺は空間魔法で黒い色と白いラインの入った鎧を取り出した。

「これが先生の鎧なんですか?」
「そうだ。 これも剣と一緒にもらった物になる」
「師匠、この鎧はどんな力があるんですか?」
「この鎧は魔法がほとんど効かない。 それこそ鎧を壊す位の威力がないとな」
「魔法が効かない鎧……何処かで聞いた事があります……、……思い出しました! 確かドワーフの秘宝の一つだと……」
「ライラさんは知っていたか」
「はい、しかしドワーフの国は魔族に滅ぼされたはずでは?」
「国は滅んだがドワーフは生きていたんだよ」
「初耳です! ドワーフが生きていたなんて……」
「ふむ、この話しはまた今度な」

 ディーンは鎧を触ったり持ち上げたり興味津々で調べている。

「マシオ殿、鎧がドワーフからもらった物だとすると、その2本の剣もドワーフからと言う事になりますよね?」
「ライラは気がつくか……」
「ドワーフ達は気難しい事で有名でしたのに……」
「気にはなるかも知れないが、ドワーフが生きていた事とか秘密だからな。 人に話すんじゃないぞ」
「はい、わかりました」

 ライラとリアンは俺の話しをよく聞いていたので秘密と言う事はわかってくれたようだが、ディーンは相変わらず鎧を調べている。

「師匠、この鎧は胸の部分だけなんですか?」
「いや、身につければ全身を覆う鎧になるぞ」
「へ~……僕にも着られないかな?」
「それは無理だな。 この鎧は俺用に調節されているから、ディーンがもっと大きくなれば着れるかも知れないが」
「早く大きくなって着てみたいな~」

 一通りの説明を終えて、ミネストルーネに向かい歩き始めると、リアンが俺の隣に来て手を繋ぐ。

「どうしたリアン?」
「えへへ、先生が勇者だったなんて嬉しくて」
「今は勇者じゃ無くて逃亡者だけどな」
「それでもいいんです! 先生が勇者と言うのは嬉しいですが、勇者じゃ無くても好きですから!」
「そうか? ありがとうな」

 そんなやりとりをライラは後ろから見ていたようで、ライラもリアンの反対側に来ると、手を繋いできた。

「あ、あの、マシオ殿、私も手を繋いで構わないでしょうか?」
「ま、まあいいけど……」

 もう繋いでるし……ライラさんはリアンと違って緊張するな~。
 ライラとリアン、そんな2人はなんだかお互いを睨み合っているように見えた。

「2人共何やってんだよ、師匠が歩きづらそうじゃん」
「兄さんは黙ってて!」
「それでは手じゃ無くて腕を組めばいいですか?」

 ライラさんが腕を絡めて来ると、それを見たリアンも一生懸命に腕にしがみついて来る。
 俺はフラフラと左右に揺れながら歩いていた。
 旅の途中に出て来る魔物は3人で充分に倒せたので、俺の出番は無し。
 このままだとなまりそうなので、夜は1人で転移を繰り返して魔物を倒しに行っていた。
 ついでにミネストルーネの町の外側も見て来た。
 今の位置からだとあと5日はかかるだろうな。

 変わらぬ旅を続けてあと2日でミネストルーネに到着する夜、俺は森の中なら誰かに見つかりにくいと考えて転移魔法で魔物を倒しに森に向かっていた。
 魔物を探すためにサーチをかける。

「いたいた、今日の反応は2つ……やけに魔力が大きいな……」

 今までに戦った魔物はここまで反応は大きく無い。
 少し近づいてみるか……。
 この反応がディーン達の所に行けば3人が危ない。
 少し近くの木の上に転移して、様子を見ようとすると、反応が1つこちらに向かって来ている。

「気づかれた!?」

 まさか向こうもサーチが使えるとかか?
 この反応の2人を相手にしても負ける事は無いだろうが、俺も相当の痛手を受けそうだな。
 まるで前に会ったガルマンダと同じくらいの強さはあるかも知れない……違うのは魔力の質か?
 とにかく一度戻っておいた方がいいな、下手に相手をして刺激したくは無い。
 俺は3人の元に戻り、直ぐに出発の準備をさせて、ミネストルーネに急いだ。

「師匠が逃げることは無いですよ! 戦いましょう!」
「先生が逃げる程なんですか?」
「そんなに強い魔物が?」

 3人は俺が急がせた事を気にしているようなので説明をした。

「俺1人ならなんとかなるかも知れないが、3人は恐らく勝てない。 相手の反応は2つあったから、1つが俺と戦っている時にもう1つが3人を襲ったら死ぬぞ」
「そ、そんなに……」
「ああ、それほど強い反応だ」

 強い反応があってから昼夜問わず走り、ミネストルーネには1日で到着した。

「皆んなお疲れ様、ここまで来れば大丈夫だろうからゆっくり休んでくれ。 リアンにお金渡しておくから宿を探してゆっくり休むんだぞ」
「先生はどうするんですか?」
「俺はもう一度行って様子を見て来る。 あの反応がここに来たら大変な事になりそうだからな」

 俺は反応があった場所まで転移した。
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