異世界最強勇者の逃亡生活 〜旅する仲間は俺の弟子〜

かなちょろ

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第33話【魔族対裏ギルド】

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 ディーンとリアンのスキルを確認する為に山を迂回した先にある【クジュラの村】の教会へムーンさん以外のメンバーと向かう事になった。
 ムーンさんにはルヴァクとルスヴィズの世話を頼んでおいた。

「よっと……やっと山まで着いたな、あとはこの山の反対側か」
「やっぱ師匠の転移だと早いや」
「私も先生みたいに使えたらな~」
「マシオ殿はどうやって魔法を覚えたのですか? 前に聞いた話では始めは使えなかったと聞きましたが?」
「そうなんだけどね……ある日突然自分が使える魔法が自然に頭に浮かんできたんだよ」
「そんな事が!? だから私達が使う魔法とは違うのでしょうか?」
「そうかも知れないな」

 俺が覚えた事は魔法そのものと言うより魔力の流れでそこに教えてもらった魔法を重ねている。
 だから呪文に魔力を繋げる本来の魔法とは違うのだろう。

「ライラやリアンならその内に使えるようになるかも知れないな」
「が、頑張ります!」

 転移を繰り返して疲れると少し休み、また転移でやっと山の反対側まで到達すると、煙が上がっているのが見える。

「師匠あれ!?」
「ああ、何かあったか……俺が見てくるから皆んなはここで待っててくれ」
「あ! 師匠!」

 俺は度重なる転移で少し疲れてはいたが、この煙が村から上がっていたら大変だと急ぎ向かった。

「オラァ! これでどうだあ!!」

 激しい炎と炎のぶつかり合い。
 戦闘は村よりだいぶ離れていたが、炎の流れ弾で村が焼けたようだが火は消し止めたようだ。
 村が大丈夫なら今は2人の戦いを見る為に少し離れて様子を伺うことにした。

「人間にしてはやるな、前に戦った人間より手応えがあるぞ」
「当たり前だ! 俺様は裏ギルドが1人ほむらの【レッパ】だ! てめえら魔族はこの俺様が根絶やしにしてやらあ!」
「ほう……根絶やしにか……なかなか面白い。 俺は十二闘魔神じゅうにとうまじんのガルマンダだ。 地獄への土産にするといい」
「はっ! ふざけんな! 魔族の名前なんてどーでもいいんだよ!」

 レッパは無数のファイヤーボールを飛ばすが、ガルマンダは腕を回して結界のようなシールドを張るとそのファイヤーボールを防ぐ。
 ガルマンダの実力ならシールドを張る必要なんて無いと思うが……、……あのレッパが使うファイヤーボールは何か違うな……。
 一撃の火炎の威力が強いのはガルマンダだが、手数で優っているのはレッパだか……ガルマンダの攻撃を回避しながらでは体力も落ちて来ている。
 そろそろ手を貸すか……?

「ちっ! 俺と同じ炎とは厄介な相手だぜ……、リリア! 出番だ!」
「もう! だから最初から私に力を貸してくれって言えばいいのに!」
「細かい事はいいからさっさと準備しろ!」
「いちいち命令しないで! まったく……、……それじゃいくわよ!」

 もう1人いたのか……ほとんど魔力を感じなかったぞ……あの2人の魔力が高くてわかりづらかったのか?
 それより……なんだアレは?

 リリアはレッパの目の前に魔法陣を展開、そしてガルマンダの周りには無数の魔法陣を展開した。

「くらいやがれーー!!」

 レッパのファイヤーボールが目の前の魔法陣に消えて行くと、ガルマンダの周りに展開されている魔法陣からファイヤーボールが四方八方に飛び交う。
 あの魔法陣は転移の魔法陣のようなものか。
 四方八方からのファイヤーボールに避ける隙も無く、ガルマンダに直撃して行く。

「ぐうううう! おのれ!」

 ガルマンダは魔法陣から抜け出そうと空中に飛び上がるが、リリアの魔法陣もガルマンダの素早い動きに合わせて動くので回避出来ていない。

「オラァ! どんどんいくぜーー!!」

 ガルマンダはどんどん傷を負ってファイヤーボールはガルマンダを削り取って行く。
 あのファイヤーボールは土魔法でもかけ合わせてあるようだ……それをあんなに連射で撃てるとは……これが裏ギルドの力か……。

「い……いい加減に……しやがれーー!!」

 ガルマンダは体を丸めて防御をしたかと思ったが、自分の魔力を爆発させてレッパやリリアを巻き込んで周りの魔法陣をかき消し、辺りを焼け野原へと変えた。

「ハァー……やってくれたな……」

 もうもうと立ち込める煙の中、ガルマンダの全身はボロボロになって地上に降りて来た。

「だが、これであの人間も死んだか……」

 煙が風によって流れた時、俺の結界で2人を守った。

「な……キサマはあの時の勇者か?」
「久しぶりだなガルマンダ……あの日以来か」
「まさか勇者もいるとはな……部が悪いか……」

 4対1……しかもガルマンダはダメージも受けていて魔力もだいぶ消費しているだろう。

「おい! てめえ邪魔するんじゃねぇ!」

 いきなり後ろから罵声を浴びせられた……。

「ちょっと、助けてもらったんだからそんな言い方はないでしょ!?」
「リリア今の魔族の話しを聞いただろ! こいつはあの勇者だってよ! そんな奴に助けてもらうなんてよ!」
「まぁそうだけど……でも助けてもらったならお礼くらはしないと……」
「そんな事を言ってる場合じゃねえだろ! こいつも倒さなきゃいけない相手なんだからな!」

 レッパは俺を勇者と聞いて激高している。
 助けてやったんだけど……、……だがこれで1対2対1と三つ巴の戦いになる……。
 レッパが俺に敵意を向けている事に気がついたガルマンダは少し驚いたようだが、これで迂闊に動けなくなった……。
 お互いの睨み合いが静かに続く….。

「……おやおや、人間相手に何遊んでいるいる?」

 突然姿を現した魔族……鳥顔のアイツは!?

「どうやらそっちの人間には勇者に恨みがある様子。 それなら、勇者の相手はあの人間に任せてあなたは戻って来て下さい。 ちょっと邪魔な相手がいるんですよすよ」
「ふざけるな! 俺は勇者もあの人間も倒す!」
「……まったく仕方ないですね……これはあの方の意思なんですよすよ」
「……仕方ねえ……俺の獲物は勇者あ! お前だ! いずれ決着をつける! 覚えておけ!」

 ガルマンダは鳥顔の魔族と消えて行った……。
 あの鳥顔の魔族……倒したはずじゃ……。

「……どうやら邪魔な魔族はいなくなったようだな……、これで心置きなくてめえの相手が出来るぜ!」

 レッパとリリアは俺の方を向いて、ガルマンダにやった魔法を展開して来た。

「勇者のてめえはこれをどう躱すか見せてもらうぜ!」

 俺を取り囲むリリアの魔法陣。
 そこから無数の特殊なファイヤーボールが俺を襲う。
 俺はすかさず結界を展開して四方八方からくるファイヤーボールを防いではいるが……。

「オラァ! どんどんいくぜぇ!」

 無数のファイヤーボールは俺の結界にヒビを作り、結界は砕けた。
 その瞬間、俺は転移で2人の後ろに周り込んで剣を構えたがリリアの魔法陣が転移した俺の周りに現れた。

「私の魔法陣からは逃げられないわよ!」
「そう言うわけだ! もう一度くらえ!」

 俺も転移を繰り返してここまで来ていた為に、魔力がだいぶ落ちている……結界も転移もあと数回しか使えないだろう。

「……使うか……」

 空間から現れた黒く白いラインの入った鎧が現れ、俺の全身を覆う。

「……ハァハァ……どうだ……、……なっ!?」
「う……そ……」

 レッパのファイヤーボールが息つく暇も無く襲い、止んだ時に俺はその場に平然と立っていた。

「悪いな、この鎧は特別性で魔法はほとんど効かないのさ」
「なんて奴だ……」
「これが勇者の力なの……?」

 実際は勇者の力でもなんでも無く、ドワーフの技術力の力なんだけど……だが、この魔法が効かない鎧にこれだけの傷を付けるとは……同じ事をあと3、4回やられたらこの鎧ももたないかも知れない……。

「くそっ! もう俺様の魔力がほとんどねぇ……リリア、てめえだけでも逃げろ!」
「な、何言ってるのよ! 私だけ逃げるわけにはいかないわよ!」
「てめえは攻撃手段持ってねぇだろ! 俺がやられたらどうしようもねえ.…、安心しな、てめえが逃げるだけの時間位は稼いでやる……」
「でも!」
「いいか、この事を隊長に話すんだ! てめえの役割はそれだ!」
「わ、わかった……、いずれ屍は拾ってあげるわ!」

 リリアは走って逃げて行った……。

「よっしゃ! これで勇者とは1対1でやりあえるな! かかってきやがれ!!」

 ……この裏ギルドの中で俺はどんな立ち位置なんだ?
 魔王にでもなった気分だ.…。

「おい、そんなボロボロで俺とやりあえるわけないだろ! さっきの人と一緒に行ったらどうだ? 追うつもりはないぞ」
「そうはいくか! 俺達は命をとして民を守る使命があるんだよ! このままてめえを野放しに出来るか!」

 ……まったく….面倒臭い奴だな……。
 言ってる事、やってる事は正しいけど……。

「仕方ないな……」

 俺はレッパの背後に転移して、剣の柄で殴って気絶させた。
 その後、村まで担いで連れて行き燃えていない宿屋に寝かせ、ディーン達を迎えに行った。

「師匠、なんだか凄い事になっていましたけど、何があったんですか?」
「それは後で説明する。 俺の魔力も尽きかけだ……少し休まないとな……」

 宿に泊まり何があったのか説明をすると、ディーン達は魔族と裏ギルドとの三つ巴に驚き、裏ギルドの1人をこの宿に寝かせている事にまた驚いていた。

「裏ギルドの奴が起きて俺がいる事を知るとまた戦いを挑んで来そうだから、教会には皆んなで行ってくれ。 ライラにそのお金は渡しておく」
「先生はどうするんですか?」
「先に町まで戻ってるよ。 帰りは4人でちゃんと戻って来るんだぞ」
「わかりました」
「先生がいないのは少し不安ですが……頑張ります!」
「リアンさん、こよ4人のぼうけんも悪くないかと思いますよ」
「私がいるから大丈夫、大丈夫」

 翌日、レッパが起きる前にライラにお金を渡し、俺はひと足先に町へと戻る事にした。
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